音楽教室運営奮闘記

音楽と教育と経営の雑記ブログ~不定調性論からの展開

I am the walrusの機能和声分析と心象連環分析(不定調性)(2017-2019)★★★★

2017-12-08-2019.10.16更新
ビートルズはメロディ、歌詞、レコーディング、ミックス、プロモーション、あらゆるポイントを本来学習すべきアーティストです。私はビートルズの音楽学校での位置付けの迫害感をどうにかしたくて、その根本ともなっている和音の連鎖を不定調性論という考え方をもとに独自に説明するアイディアをまとめ、それらを音楽全体の理解に活用いただくべく活動しています。   

 

 

I am the walrus

open.spotify.com


イントロ
B   ||2/4 B  |B  A   | G  F  |E    |E7   |D  |D7   |
Aメロ
A  A/G |C   D E| A  A/G |C  |D  |A   |~

A'メロ
A  A/G | D   F G| A  A/G |F    |B  |B   |~

サビ
C |D   |E    |

これを1コーラスとして見ていきましょう。

まずはこれを機能和声的に考えてみましょう。なるべくシンプルに書きますね。

==無理くりアナライズ==

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最初オルガンがB△的なのでキーは一瞬Bメジャーに感じられます。

このBをII解釈してみると、全体がくっきりAキーで統一できます。最後にD7でc音=AメジャーキーとAマイナーキーがいかにも入れ替わる三度音cが登場するので、D7をSDmと考えられる解釈をしました。

これが上手に曲中のA始まりに繋がります。次。

 

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メロディがiv#音を持っています。基調がAリディアンと解釈もできます。最後のAでivがメロディに現れます。AリディアンからAアイオニアンへの同軸モーダルインターチェンジといってもいいです。

 

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迷うとこですが、メロディにリディアン的な要素が残ったまま、同主短調和音をそれまでのパートに追随して使っています。こういうのは、関連させて使った、というよりも、意味を与えるために、使いまわした方が面白い、というような直観に従って類似性が出ている、と考えたほうが私には自然です。全体として統一感がありながら、イントロで指摘したVIbからのドッペルドミナントともいえるIIへの増四度進行が奇妙感を演出しててウォルラス感、マジカルミステリーツアー感爆発です。

コードを二小節続けることでII7というよりもV7感、I7感が増します。ビートルズが後期よく使った、機能感を創出させていきたいところへ行けるようにしてしまう和音、の使い方です。

C  |Dm7  |G  |G   |G   |G   ||

とやたら最後のGを伸ばすとGが独立してしまい、脳内でIに変えることができる人もおられるでしょう。「細かすぎて伝わらない画期的な技」はたくさんあります。

 

解釈のモードはがらりと変わっていきますが、使用音はモードが変わった感を感じさせません。こういうのはSteely Danに受け継がれてより変態的に使われてます。

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Bから半音上がったCはIIIbというよりもIIb感、VIb感があろうかと思います。これも慣習の活用です。コード連鎖の既視感を利用して繋げていきます。聞いた人「どっかで聞いたことがある進行だなぁ」と感じるので、ちょっと違和感があっても受け入れてしまうものです。このような「心象」を不定調性論では、「音楽的なクオリア」と呼んでいます。これでまた見事に2コーラスのAにつなげていきます。

 

だから、これVで1コーラスが終わってるんですよ。変わってますでしょ?

 

曲が解決せずVで終わることで、「ああ!もうどーにもならん!」という気持ちになって、また2コーラス目にいくことで「今度は失敗すんなよ」感を聴き手に潜在的に当てます。そして1-2コーラスが意識の深いところでつながっているようにも感じさせます。

 ======

。。。。とかって機能和声分析できますよね。

 

実際こう分析できたとして、

「なあ、オレ、知ってるコードがいくつかあれば、いくらでも曲作れるぜ、だってコード弾いてりゃ、メロディが勝手に出てくるんだからさ」

といわれたら、今行った分析は単に「機能和声言語への翻訳」にすぎず、ビートルズが語りたかった精神性とか技法とかを適切には伝えていないことになります。だってサブドミナントが云々とか、って作ってる最中考えていなわけですから。

それでは分析はできても曲は作れません。

作曲に向けた意識の在り方を磨く上で、持つべき理解はそこではないのではないか、と考えたのです。

 

では違う考え方をしましょう。

"おはようございま~す!"

にメロディを付けて歌ってみて下さい。すぐできますよね。

「まーす」で音を上げますでしょ?

それで、なぜ今あなたは語尾をあげたのですか?

理論的に、機能和声的に考えました?

それ、感覚でやっていませんか?なんとなくでそうできたりしていませんか?

そうなんです、作曲で鍛えるべきはあなたの「自在に生み出されるあなたの感性」を鍛え上げるべきなんです。もちろんこれは私の主観です。既存の学習でこそ正当な作曲ができる、と信じる方は正当な方法で行ってください。

 

私はこう考えました。

人は最初から全部持っている、それをあなたのものでない知識が一旦あなたの感性をリセットしてしまうのだ。

もちろん教育は社会的生活を営む上で必要です。手当たり次第気に入らない人を殴るようんな人になっては結果的にその人は自分を歩むことができないからです。

だけど、普通に生きていくだけで良いなら、あなたの感性まで社会に自分をいかしてもらうための生贄として捧げる必要はないのではないか、と思うのです。

 

じゃあ、I am the walrusをどう考える?というと

「自分が今知ってるコードで気持ちよく感じる流れを作っていく」

と考えてコードを並べてみてコード進行を作ってみてください。この方法、

そんなの頭使わねーじゃん、朝メシ前だよ、そんなアホでも思いつく方法で作曲が許されるわけねーだろ??

なんて思ってきませんでした?これまでは。しかし

オッカムのカミソリ、です。

シンプルな答えが最も真理に近い、です。

 

不定調性論ではこうした同一和音(この曲ではメジャーコード)の連鎖を「和声単位旋律」と呼びます。同じタイプの和声だけを並べていくことで「音楽的脈絡」をつくる方法です。その時の「連鎖させる動機と脈絡」は、機能でもダイアトニックの法則でもなくあなたの感性のみです。ただし鍛え上げられていることが重要です。

スティービー・ワンダーなどは同じことをm7でやったりしています。

またこうして和音をつなげてメロディがうまく出てこない人は、一度レッスンをしてもらって自分の可能性を確かめるといいでしょう。

 

<不定調性論的にみてみます>

この曲、例えばイントロから作ったとしましょう。

その時Bコードをジャーンと弾いたとします(こういう作曲の起点となるコードを「センターコード」と言います、キーや機能には関係なく、あなたが起点としたという意味において、です)。意識の真ん中に置かれるコードです。「さあ作るぞ!」っていうときに弾いた和音がセンターコードです。ここから展開していきます。

B   ||2/4 B  |B  A   | G  F  |E    |E7   |D  |D7   |

Bから始めて全音ずつ下がっていきます(変拍子はジョンがこの頃こだわったテクニックだと思います)。ギターなら2フレットずつ下にずらすだけです。このシンメトリー、パターン、を不定調性論では「模様感」などと形容します。なんとなく規則があることで音楽的な脈絡を感じる人のための形容方法です。あなたが「いいね」って感じたら、それは理論的根拠にかかわりなく容認される、というのが音楽的なクオリアを捜索の動機にする拙論ならでの思考です。答えはあなたが持っているんです。

そしてFのあとEにいくのはギターだとそのまま全音下がってE♭を弾きづらかったから、かもしれませんよね(Ebはギターだとハイフレットに移動しなければならない)。

これがピアノで作曲だったらE♭に行っていたかもしれませんね。行ったら行ったでまた別の音楽ができます。

 

Aメロ
A  A/G |C   D E| A  A/G |C  |D  |A   |~

A'メロ
A  A/G | D   F G| A  A/G |F    |B  |B   |~

A-A/Gは、最初A-Gだったかもしれませんね、またはA-A7。

このときはAが意識の真ん中、センターコードになっているようにも思えます。

A'メロの最後にはF-Bという増四度進行が見られます。これは「ちょっとこの辺で、普段絶対行かないところ行って作ったろ」と思ったとしたら、それも自在にできます。それが拙論の面白いところ。また危険なところ。

 

イントロで全音ずつ降りてきて、歌い始めも全音下がるの、なんかマンネリじゃね?とあなたが思ったら、変えればいいんです。いや、この曲はひたすら全音下がりでいく!と決めたらそれでもかまいません。結果どのような思考をとってもあなたが音楽的脈絡を感じるなら、それが今のあなたにとっての正解です。

それがバンドであれば、メンバーが「いいね」といえば答えになります。そこにすごいプロデューサーがいて「それいいね」といえばそれが答えです。

でもここには社会的な法律も伝統的な知識の応用も何もありません。皆それぞれの感じ方で「いいね」と言ったのです。根拠には彼らの勉強の成果もあると思いますが、それよりも結果的に「いいね」と思えば、それ以上の答えはその現場にはありません。

それを逆に全国民にネットで投票をして100%いいねをもらえるなら、曲を作ろう、とは誰も思いません。なぜですか?皆同じ教育を受け、同じ社会で共存しているのに。人は一人一人違うからです。だから完全な正解を作ることができません。

では最後は何で「いいね」を見つけたらいいのでしょう。

やっぱり、あなたがいいねと感じるかどうかしか頼れないのではないでしょうか。

     

あとはコード進行のパターンが作る脈絡を知っていること、です。

A-A/GはI-I/VIIb

C-D-EはVIb-VIIb-I

D-E-AはIV-V-I

これらは様々なとこで見かける「機能和声進行の断片」です。

これが弾かれた時、ちゃんと自分なりの心象、印象を感じられるのであれば、それはあなたにとっての意味を持ちます。たとえば、

|:C   |C/Bb  |C   |C/Bb  :| テンポ130,ハネ

音源はこちら

I am the walrusの分析記事参考音源 | 

この進行にあなたはどんな「印象」を感じますか?

わたしは「白い壁の回廊を緊張感を持って歩く」というイメージを持ちました(明日は変わるでしょう)。これを不定調性論で心象連環分析といいます。音楽的知識で音楽を捉えるのではなく、まだ未解明な人間の感性の何らかの機能が反応しているその効果によってあなたの心の上に浮かんでくる様々な心象をが曲の理解の助けにし、それらの材料をも飛び異聞で曲を作っていこう、という考え方です。

(新しい用語ですので、以後記事に登場してくると思います。古い記事も書き換えます。)

他のコード進行分析記事もこの考え方でお読みいただければ、何となく不定調性論の感成分析の意味がわかると思います。

 

機能和声はこれを、

CはトニックのI、C/BbはI7の転回形、またはVIIb7(9,#11,13)のアッパーストラクチャートライアド。

 と解説します。この説明は、あなたがいつ、どんな時にこの進行が利用可能な説明だ、ということを述べていません。

それよりもあなたがこの進行に対して「ふわっと浮いたような進行感」「固いどっしりとした基底部と、柔軟な上部の揺れ」とかって自分の言葉で理解できれば、この進行をラブソングの冒頭で使おうとしたら

"変わりそうで、何も変わらない毎日に"とかってメモ歌詞とメロディを作り、「あなたが現れたのだ」何てつなげる導入部かな?

とか

やっぱり「この進行はBメロで使って、あなたに出逢って、揺れ動き始めた私の心を表現する、みたいな感じかな!!」と理解できます。

そうなると、いつ使えばいいか、曲を作りながらインプットされていきます。

機能や記号で音楽を知った先にはあなた自身の心にあるものに帰ってきてください。

あとはあなたが感じるままに作り続けていくだけです。

それが評価されるかどうかはあなたの日頃の鍛錬とプロモーション次第です。

 

そうすると、

「ギター弾く人は、そのコードがトニックコードか代理コードかが分かってもどうしようもない」のではなく、

「そのコードがどんなイメージを自分に与えてくれるかがわかったら、他の曲でもそういう状況においてそれを使えばいい」

となります。

また、

「エンジニアはコードのキーが分かってもボーカルにどのコンプを使えばいいのかなど関係ない」

というのも視点を変えて

「こういう声に、このコンプのこのプリセットを加工して使うと、マッチしてとてもしっとりとした印象になる」

と知ることでそれがノウハウになります。

これも心象分析同様に「あなたが感じたこと」を応用しているに過ぎません。

コンプの知識とコード進行の知識は二つの全く異なる文化で統合がされていませんが、最後はあなたの心で判断することは同様です。だからコンプのそのつまみを回してもどんな効果になるのかは知らないが、「なんかしっとりする」ことさえわかれば、他でも応用が利きます。その上で、専門的な知識に興味を持って学習すれば「なぜしっとりしたのか」がアタックの調整によるものだった、などと知ることができます。

「しっとり」が適切な表現でない可能性もあります。商品のCMアタックつまみの説明に「これを回すとしっとりする」では誤解を招きます。そうした時の表現は社会的学習によって得ていくべきですが、あなたが作業するときには関係ありません、結局あなたの作業を24時間判断できるのは、あなたの心以外になからです。

だからこそ、こうした感性を磨いて、様々なに適切な表現をできるように勉強、トレーニングして行けばいいだけです。

 

 

ちょっとあまりに一般論からかけ離れているのでピンとこないかもしれませんが(または当たり前のことを言い過ぎて馬鹿らしいと思うかもしれませんが)、しばらく不定調性論のやり口にご注目いただければ幸いです。