2017.12.14→2020.7.1更新
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サヴォイ・トラッフル - Savoy Truffle
ジョージの不定調性ナンバー。
E7 |E7 |F# |F# |
A |A |G |G |
B |B |
Em C |Em6 C |C |G |E7 |~
キー表記はEメジャーですが、F#コードから早速キー感覚が壊れます。
これらのコードを自在に弾きながら、繋がった感じを模索し、歌いながら曲を作る、というのは、機能和声的、というよりも不定調性的発想、と考えていただいた方が良いでしょう。
こういった「テキトー」的な作風を、機能和声論は上手に分析しようとしません。
だから自分たちもすごく肩身が狭い思いをしました、
オレ、ちゃんと勉強していないのに、なんか一曲できちゃったよ...
ぜったい、これテキトーだよなぁ。よくないよなぁ、こういうの....
皆はきっとイイって言ってくれるだろうけど、
でも「お前のはインチキだ」っていわれたらどうしよう...
ちゃんと勉強しなきゃなぁ、っておもって今日まで来てしまったことに対して、感じなくてもいい罪悪感を感じ、インターネットの音楽理論のページを見て、雑誌の楽譜解説のページを見て、テレビでイケイケのラッパーが音楽理論的な事を話しているのを見て、
ああ、ちゃんと勉強しないとなぁ...
なんて感じてませんか!!!!????
でも不定調性論がある限り、
そんなこと思う必要は1ミリもないですよ!!
と、過去の自分に言って聞かせて頂きたいです。
"一曲できたんだ、それを歌って、もっと上を目指してどんどん次の曲を精進すればそれでいいじゃないか!!"
私が言っても説得力ないでしょうから、頭の片隅にそっと、でもガッツリとそういう「オレの部屋」を作っておいてください。
いい曲ができなかったことを理由に勉強に逃げないでください。それは才能のない自分自身と向き合っているというだけです。
次の曲でもっともっと自分の醜いところと向き合って、どんどん正直になって、より自分自身をストレートに、理屈ではなく音楽表現できる自分に向かって進んでいってください。そしてヒット曲が作れて、来週 いよいよ 雑誌のインタビューだ、となったら、音楽理論を勉強するといいと思います。
この「直感的制作」に対して「あ、今テキトーにやった」と思わず、「お!今直感が働いた、これはこれまで音楽で悩んできた計算データが一挙に答えを出したんだ!」と思ってください。直感は当てずっぽうでは起きません。脳というスーパーコンピューターがはじき出したあなたへの答えです。私が云うとうさん臭いですね。
クライ・ベイビー・クライ - Cry Baby Cry
サビ
G Am |F G |Em A |2/4 F |
Aメロ
Em EmM7 |Em7 Em6 |C7 G |~
センターコードはGです。
Em-E6は「クリシェ」、不定調性論では「掛留概念の拡張」進行と言ってます。クリシェという考え方だけではこのクリシェ自体の魅力を説明しきれないからです。
ここでもどこかで聴いたことのあるような進行を匂わせながら、新しい印象観を作り出しています。
この曲はC7が強烈ですね。
いきなりブルージーでロックな厳ついサウンドです。
ここで下記のような配置がされ、コードが使用されます。
G=I
Am=IIm・・・GメジャーキーのIImの印象
F=VIIb・・・同主短調のVIIbの印象
Em=VIm・・・平行短調の印象
A=II・・・GメジャーキーのドッペルドミナントII7の印象
これらの印象を借用し、つなぎあわせているんですね。
それが機能和声論じゃないか!
そうとも言えるし、そうでないとも言えます。
イイなと思ったコード展開を組み合わせているだけです。
ここで一番大事なのはいいなと思える心を あなたが失っていないかどうか、だと思います。
機能和声論は、いいなと思えなくても誰でも音楽を作ることはできます。
不定調性論は、いいなと思える心がある人にとっては便利に活用できるものだと思います。