音楽教室運営奮闘記

不定調性論からの展開紀行~音楽と教育と経営と健康と

<コラム>『クリスマスキャロルの頃には』でオルタードを学ぶ

参考

www.terrax.site

稲垣潤一, 広瀬香美 - クリスマスキャロルの頃には - YouTube

open.spotify.com

上記youtubeでは、0:46ごろ。

このspotifyでは0:45のフレーズ。

広瀬さんが参加している冒頭でキーが上がり、稲垣さんが歌う寸前のオルタードのフレーズで、原曲のキー(さらに-1)に戻す荒業が展開しています。

 

spotify

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Youtube

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www.ufret.jp

音を見てわかる通り、完全にV7のテンションを中心にメロディを作っています。

 

これこそがビ・バップから来た「伝統技能」です。

 

Billy Joel - Just the Way You Are (Audio) - YouTube

一か所例にとれば、こちらの3:30の歌に戻るところ。

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これはさらにジャズ的で、Em7/Aの上で、A7解釈で流れる柔らかいテンションを含んだフレーズです。オルタードテンションは経過音的に使われています。

特にレ#の音。

 

ここでは貼れませんので公式原曲を探してみてください。

この曲の0:30に次のようなフレーズが出てきます。

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パーカーは、わざとテンションを使ったフレーズをいつでも繰り出せるように猛練習していました。これを「パーカーリック」などと呼んだりしてます。

今回のキャロルフレーズの起源も結局ここに辿り着きます、

 

パーカーは、II-VをVだけに解釈したり、II-VをIIm7/Vへとまとめて解釈したり、コードを越えてスピード感で押し切るような新たな旋律感を生み出してきます。

一度吹き終わっても間違ったり、気に入らないと戻って吹き直したりしたような人だったのだとか笑、どこまで彼の意図が譜例に反映されているか微妙ですが、彼の曲を10曲も聴けばわかります。

 

 

「チャーリー・パーカーの技法」に詳しく。

www.terrax.site

 

 

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そうしてオルタードドミナントスケールが出来て、

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こういうオリジナルフレーズも許容されるようになったわけです。

 

その中で、今回の「クリスマスキャロルの頃には」のフレーズは、すんなり入ってくるし、クリスマスの切なさとかもどかしさ、みたいなものも表現していません??

ジャズの難解なオルタードフレーズをポップスに昇華してくれたフレーズですね。

 

オルタードという存在について最初のディスカッションをかわすときには、この「クリスマスの頃には」が良いと思います。

もはやこれ「そのまんま」使うって恥ずかしいんですよね笑・・。