音楽教室運営奮闘記

不定調性論からの展開紀行~音楽と教育と経営と健康と

Connectability Cadence~変格ハーモニーのその先へ(夏休み企画4)

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これにヴォイシングしてみましょう。

不定調性論的には、「もしあなたがそうしたいと思うヴォイシングがあるならそうすればいい」という精度を上げていくことになるわけですから、まずは一歩踏み出してください。そしてもし勉強の時間が取れて、ガッツリ伝統和声、ジャズハーモニーを学習できるなら、ぜひ頑固な先生に一度みっちり教わってください。きっと気が付くでしょう。「あ、自分が最初に思っていたやり方で良かったんだ」って。

 

さて。まずオーソドックスにハ長調でやってみましょう。

下記は必ず、打ち込むか、楽譜を自分で演奏するか、してみて下さい。

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順当にCに五度で解決していくように、綺麗に作ろうと思うと、ルートがaに該当する部分でアヴォイドなf音が入ってきてしまうので、それを避けてA7にしてb13というテンションを作る・・・とこの辺ぐらいまでは勉強してきてください。

 

で、その裏をかきますと、

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とやっても

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とかってやっても、違和感を感じない人が多いと思います。

 

ここでの考え方ですが、

まずF/Aと、ここだけ分数コードがあるのがなんか表記のバランスとして変かな?

と感じましょう。またAm7(+5)とかを使ってもいいですが、

このコードだけなんか変化和音になってて見た目が重いなぁ‥

などと感じられるようにしましょう。

バランス

類似性・伝統的さ

シークエンス

対称性・西欧文化的

シンプルさ

こういったことに私たちは戦後ある種の敗戦コンプレックスの結果、先進世界の標準的な美を感じさせられています。

しかし真のクールジャパンの新しい美は眼帯を付けた綾波レイを再発見して世界に拡散したことで(お岩さんとかからある文化ですが)改めて目覚めました。知らないと思っていたことを思い出したのです。つまり、

アンバランス

独自性・排他性

アンシークエンス

非対称性

難解さ・不可思議さ

「はかない美」=「いとおかし」。

日本人はもともとこの「幽玄さ」を知っていたのですが、西洋文化にあまりに同化しすぎていて忘れていたわけですが、アニメや同人文化の自在な発展性の中でそのことに若い世代が共感をした、というところに日本人の創造性の底力を感じます。日本人の創造性の高さは、芸術に経費を割こうとしないもう一方の権力思想=芸能は卑俗な身分の者が就く職業という思想がぶつかっているからです。

 

話それましたが。

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これもそういう意味では「アンバランス」の美です。これを

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こうすると、全体が四声である、というバランスが崩れますが、コードネームの感じは交互にテンションが配置された感じになりバランスが取れます。

この辺から日本人の「幽玄さ」が発揮されます(西欧人にない、とは言いませんが、私たち独自の感性があるはずです-世代によって違いますが-)。

 

これを作りながら考えるのがヴォイシングの一番面白いところです。

これらのバランスの美とアンバランスの美をどこにどう使って、どう使い分けるか、に無数の方法論が生まれます。

あなた自身が自分の方法の開発に取り組んでください。

 

次です。

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まずこんなふうに旋律に対してベースラインを決めます。これでコードネームシステム的には、

Cなんちゃら Ebなんちゃら |Dなんちゃら Dbなんちゃら |C

と行きそうな感じができますね。これは裏コードで行けそうですね。

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このように分かりやすいところから割り当てて、だいたい後ろも揃えていきます。

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だいたいこうかな・・・とか予想して。

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これであからさまでいかにもな進行が完成。

 

 

 

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こうしたら??ベースラインはなんとなくです。メロディが下がってくるから、対称的に上がっていくベースライン。これも機能的に考えれば、

AbM7   F/A  |F#m7(b5) G/B  |C

みたいに考えることもできます。しかし、それではひねりがないので、

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あらかじめこんなふうに最後と最初を決めてから作ってみましょう。

(もちろん、これは創作の脳や集中力を導くための"マザーメロディ"ですから、作りながらその過程で浮かんだヒラメキによってほかの音に代替される場合もあります=これこそが創造性。)

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もうちょっと機能的でソリッドなほうが良い、という場合は、

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まずこう作って。

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こういう構造を発見して、「よし、このマイナートライアド活用しよう」ってなって

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これマイナートライアドが平行移動してるだけです。

 

でもこれじゃあまりに平行移動が単純すぎるので、

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こんなふうにトライアドを変化させたりして縦の機能を放棄し、横のシークエンスをよりきつく縛っていくことでベースラインとの兼ね合いで不思議な連鎖を作ることができます。

で。これに作り手が慣れてしまうと、あとはいかにギリギリの感じを出すか、ということの聴覚との戦いになります。

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これらに対して、四度和音や二度和音などのコンセプチャルなコードタイプでストイックにヴォイシングする手もあります。しかしながらそれらの形の固まったコードは

自分の音楽性<規則の保持性

になってしまうので、「美的外観を備えているから、自分の音楽性よりも高に違いない」「多少音は変だが、美的価値観が勝る」みたいな意識も入り込んできます。

ここで「自分らしさ」と「自分らしさとは関係ない外観の美しさ」がせめぎあうことになり、時に「なぜ前曲ではあれほど自分の主張が大事とかいって、今回は自動的な四度和音使ってんだ」みたいになってしまいます。

大切なのは、あなたの音楽活動の信念がどのように変化し、どのような流れで今流れているか、が分かれば良いのではないか、と思います。

 

様々な高度なヴォイシングを学んでも自分の思考に合わない技は使えません。

150cmしかない身長の人にLLサイズの服は着れません。

 

番外編。これを二長調でやる(全音上げ)。

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やろうと思えば、どのキーでもできるでしょう。

ルールの厳密さをどこで縛るかが微妙です。

ここまできると「ゲーム」だと思いますので、勉強の一環としてやってみてはどうでしょう。

 

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ヴォイシングする

音楽のコンセプトに(合わせる・合わせない)

誰のいつの作品をリファレンスにする(作曲家A、作曲家B、作曲家C、アーティストA、アーティストB、アレンジャーA、アレンジャーB、動画投稿者A、動画投稿者B、オリジナリティ?......)

合わせて何年頃の音楽をリファレンスにする?(1600年代以前、1800年ぐらいまでのクラシック、2000年代までのジャズ・ポピュラー、オリジナリティ?)

ジャズ・フュージョンならいつぐらいのスタイルにする?

(1940年以前、1940-60、1960-1979、1980-2000、2000年以降、オリジナリティ?)

 

みたいなことを考える事に本当はなるのですが、面倒なのであまりやらないでしょう。又は参考曲2,3曲用意して、さっさと作り始めないと締め切りに間に合いません。結果として新しくなったり、ならなかったりします。

音楽の学習は、20世紀以前はシンプルだったのでしょうか。ベートーヴェンしか世界に存在しなかった時代は奥深く勉強できたのでしょうか。それゆえにルールを難解にして方法論が乱立していったのでしょうか。

20世紀に現代音楽、ジャズが生まれてからはもはやどう勉強したらいいか分からないでしょう。ましてや人間が一生で学べる量が限られてしまったので、「君はこんなことも知らないのか」というのが他者批判がやりやすい時代でもあります。

だから批判する側に回ることは容易です。そもそも全てを掌握することは不可能です。基礎すら知らないままやっている大御所だっています。

自分がやらなくてもすごい人は隣にいます。だからこそ自分が何をやるかに特化できる時代でもあると思います。