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音楽と教育と経営の雑記ブログ~不定調性論からの展開

アッパーストラクチャートライアド(拡張型冠状三和音)の一覧表

拡張型のアッパーストラクチャートライアド(UST)分類表の紹介です。

USTって便利?難しい?

USTの便利なところは、例えば、

CM7(9,#11,13)=c,e,g,b,d,f#a

というコードを

D△/C△=d,f#,a+c,e,g

と表記することができます。分子/分母です。和音/和音です。

でも最初は難しいので

和音/単音

という形から慣れて行きます。

C  |G/B |Am   |G |などの「G/B」

これはベースをc→b→aと下降させるために生まれるコード進行。

G/Bはただの「分数コード」ですが、こういった声部の動きを最初に理解するのが分数コードの学習でした。ここからハイブリッドなコードの学習に展開していきます。

これをみてわからない人はUSTはしばらく無理です。

「ヴォイスリーディング」と検索して色々動画を見たり勉強してみてください。

すぐわかります。

 

USTは和音/和音です。ピアノでは左右の手でそれぞれを弾けばいいのですが、ギターだと弦の数が足らない場合が多くまた押さえにくいので、和音/単音として4-5音で活用する場合が多くそれらはUSTとは呼ばずハイブリッドコードとかと呼ばれたりします。まあ省略型USTとかって言ったりしていますが。あまり名前はどうでも良いです。

 

USTは見た目の整合性から、

D△/C△  |Eb△/C△   |E△/C△(分母を統一、分子が半音上行)

とか

D△/C△  |D△/Bb△   |D△/Ab△(分子を統一、分母が全音下行)

 といった対称性やバランスを持たせた上での特殊な和音進行も作れます。

アイディア次第です。

ジョン・コルトレーンなどが得意とした解釈法でした。

Dm7   |G7   |CM7   |

というコード進行の時、

 Dm7  |(C#△-D#△-E△-F△)/G7  |CM7

というような解釈にして、分子の部分のコードのアルペジオをサックスが連続し、分母のコード部分をピアノ、ベースが担当することでバンドのアンサンブル全体でハイブリッドなドミナント空間を演出する、とかです。

基本的にはジャズの手法で用いられるものですが、昨今はアニソンなどでも使用されているようです。しかし基本的にはマニアックなサウンドになります(普通一般的にはイメージできないサウンド)ので、まだまだポピュラー音楽で可能性のある方法論でしょう。イキスギコードとかはいわゆるハイブリッドコードですからシンプルな響きの分、イメージしやすいわけです。アイディアの勝ち!ですね。

この記事ではそうしたアイディアを活用するための一覧表を作っています。

   

 

(余談)ジャズ理論におけるUST

いきなり余談ですみません。でもこの区分けは重要です。

伝統的なアッパーストラクチャートライアド(Upper Structure Triad=UST)の定義

「基本のコードサウンドの上に、コード構成音やテンションを使ってトライアドを作る声部配置のこと。」

 

<UST生成の基本的ルール>

下記は不定調性論ではなく、ジャズ理論に基づくルールです。

・三和音はMajor、minorのみ。コード機能に合致したテンションとコードトーンを用いる。

・冠状部と基部の重複音があっても良い。冠状部に三度、七度の音を置く場合、基部に五度を配置しても良い。

・各音の間でb9thが生じないようにする。ただしドミナント7thコード、フリジアン、ロクリアンスケールが適用されるコードでの短二度などは除く。

・それぞれ転回形も可能。開離配置も可能だが、広がれば広がるほどUSTとしての意味合いは希薄になる。

・声部は基本六声。五声では、五度を省く。四声ではニュアンスが出ずテンションコード的な硬いサウンドになる。重複での七、八声も可。

・稀に冠上部にトライアドを配置するためにテンション以外の音を使う時がある。

(例;リディアン時のB△/C△=冠状部にd#音を追加している。または、アイオニアンでもf#とd#を追加しこの和音をつくる時がある。基底部和音の構成音の半音下の音になれば、問題はない、とする発想から。)

 

伝統ジャズ理論におけるアッパーストラクチャートライアドの群はこちらに書いてあります。

www.terrax.site

以上のような"ルール"がある、と私は学びましたが、どこまでを守りどこまでを崩すかはやっぱり最後は自己判断になります。

 

ここから本題です。

 

拡張型UST一覧表1

上記のルールを把握した上で、長三和音、短三和音以外の全てを混合した表を作ってみます。ここからが不定調性論(又はその他の独自論を含む)です。

表1

表の左端は主なダイアトニックコードと該当するモードが必要に応じて書かれています。

黄色いセルは、上部に作成可能なUSTがディグリーで書かれています。

この表では、ジャズセオリーではUSTとして一般的ではないディミニッシュ、オーグメントトライアド、sus4なども掲載しています。各位の音楽性においてトライアドのみに限りたい場合は、aug,sus4などの特殊なトライアドを省いてください。

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<算出の根拠>

例えばCM7のコードスケールはCアイオニアンですから、構成音は、

c,d,e,f,g,a,b

です。この場合のボトムである主和音(I△)は除きます。

アボイドはivのfです。

9th=dと13th=a、あとコードトーン(c,e,g,b)を使って作ることのできる拡張アッパーストラクチャートライアドは、

Dsus4=IIsus4、

Em=IIIm、Esus4=IIIsus4、

G=V、Gsus4=Vsus4、

Am=VIm、Asus4=VIsus4、

ですよ、ということです。

その他旋律内で連続する短い音価(終止音や一発音としてavoid noteを用いると目立ってしまう時があります)で用いることができるようにアヴォイドノートが乗った和音も表では赤文字で示しています。

   

クリックして拡大してご覧くださいませ。

 
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拡張型UST一覧表2

次は表1の表をCのキーで書いたものです。

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CM7で主に使用可能なUSTは、Dsus4、Em、Esus4、G、Gsus4、Am、Asus4であることが分かります。つまり、

Asus4/C△

というようなコードがIM7のアイオニアンでは作れますよ、ということです。

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例えば、USTでC△を持つ和音でコード進行を作ると、
Dm7 |C |FM7(9) |G7sus4(13) |
などが、
C△/D |C△ |C△/F |C△/G |
などの分数コードに展開できることが分かります。


また、
C△ |Eb△ |A△ |Bb△ |
は同一和声単位の進行と不定調性論でいうことができますが、これをこじつけて解釈すれば、其の三の表から、この進行は、
C△ |G7(alt)   |G7(lyd) |G7(comD) |
というただのI-Vである、というような機能和声の拡大解釈も可能なわけです。
コルトレーンらが展開して、ビートルズが世界に広めた新たな和声解釈と連結方法です。

 

こちらでのページもご参考に。

soundquest.jp(復帰おめでとうございますm(  )m)

 

Blackadder Chord??

「Blackadder Chord(イキスギコード?)」についてですが、これを、

IIaug/I

と解釈すると、これはUSTをオーギュメントコードまで拡張する事でUSTの表に収めて解釈できる和音にすることができます。(ただし分子が単音なので厳密な意味でUSTの定義の上ではUSTではない)

 

これを

G7   CM7

で述べるなら、このBlackadder Chordは

G7(9,#11)  CM7のaugを用いたUSTの拡張されたコード、とすることができます。

これを分数コードにしますと、

 

G7(9,#11)=g,b,d,f,a,c#=g,b,d+a,c#,f=G△+Aaugで

 

Aaug/G△のテンション部分をトライアド化した

Aaug/G  CM7 

となります。 

厳密にはD♭augとして表記するのが正しいのでしょうが、転回が自在に可能なaugトライアドの呼び名をいちいち規定するのも現場的に窮屈かなと思います。

先の表ではリディアンm7thスケールを用いる際のIIaugに該当します。

 

拡張されたUSTをピックアップ

他の可能性を探りますと、

G7各種において、たとえば、

Absus4、Asus4、A△(b5)、Bbsus4、Bb△(b5),Baug、Db(alt)

といった新たなUSTがみられます(USTって言っちゃいけないのかな・・笑)。

これらはすべて

Absus4/G、Asus4/G、A△(b5)/G、Bbsus4/G、Bb△(b5)/G,Baug/G、Db(alt)/G

というような拡張されたUSTコードとして使用される可能性が出てくるわけです。

 

 

ここでのBaug/Gはオーギュメントコードの転回可能性から、

Baug=D#aug=Gaug

で、IIIaug/Iとなり、また違うaug感も探せるかもしれません。 

こういうのをアイドル曲にガンガン使うことで、余計にソリッドでカッコよく感じる、という効果が最高ですね。 可愛い声が日常を越えてヒーロー感が出ます。

これがまた男性ヒーロー物で使うと、少し殺伐として来るのかもしれません。歌詞の内容によるのかな。。

 

その先がこちら。

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