音楽教室運営奮闘記

不定調性論からの展開紀行~音楽と教育と経営と健康と

スーパーアッパーストラクチャートライアド(拡張型冠状三和音)の一覧表

拡張型のアッパーストラクチャートライアド(UST)分類表の紹介です。

正統?のジャズ理論のUSTの考え方は下記ページからご覧ください。
www.terrax.site

 

USTって便利?難しい?

USTの活用法は、上記ページでご覧いただき、ここではそれを拡張します。

 

C  |G/B |Am   |G |

などの「G/B」を置くことでベースをc→b→aと下降させることができます。

コードの流れもスムーズになりクールな印象を与えます。

G/Bは「分数コード」「転回形」と呼んだりします。

  

USTのアイディアはコードの上部解釈法です。

Dm7   |G7   |CM7   |

を、

 Dm7  |(C#△-D#△-E△-F△)/G7  |CM7

等と解釈にして、分子の部分のコードのアルペジオをサックスなど演奏し、分母のコード部分をピアノ、ベースが担当することでバンドのアンサンブル全体でハイブリッドなドミナント空間を演出する、とかです。

 

拡張型UST一覧表1

ここでは長三和音、短三和音以外の全てを混合した表を作ってみます。

表1

表の左端は主なダイアトニックコードと該当するモードが必要に応じて書かれています。

黄色いセルは、上部に作成可能なUSTがディグリーで書かれています。

この表では、ジャズセオリーではUSTとして一般的ではないディミニッシュ、オーグメントトライアド、sus4なども掲載しています。各位の音楽性においてトライアドのみに限りたい場合は、aug,sus4などの特殊なトライアドを省いてください。

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<算出の根拠>

例えばCM7のコードスケールはCアイオニアンですから、構成音は、

c,d,e,f,g,a,b

です。この場合のボトムである主和音(I△)は除きます。

アボイドはivのfです。

9th=dと13th=a、あとコードトーン(c,e,g,b)を使って作ることのできる拡張アッパーストラクチャートライアドは、

Dsus4=IIsus4、

Em=IIIm、Esus4=IIIsus4、

G=V、Gsus4=Vsus4、

Am=VIm、Asus4=VIsus4、

ですよ、ということです。

その他旋律内で連続する短い音価(終止音や一発音としてavoid noteを用いると目立って違和感になる時があります)で用いることができるようにアヴォイドノートが乗った和音も表では赤文字で示しています。

 

クリックして拡大してご覧くださいませ。

 
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拡張型UST一覧表2

次は表1の表をCのキーで書いたものです。

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CM7で主に使用可能なUSTは、Dsus4、Em、Esus4、G、Gsus4、Am、Asus4であることが分かります。つまり、

Asus4/C△

というようなコードがIM7のアイオニアンでは作れますよ、ということです。

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例えば、USTでC△を持つ和音でコード進行を作ると、
Dm7 |C |FM7(9) |G7sus4(13) |
などが、
C△/D |C△ |C△/F |C△/G |
などの分数コードに展開できることが分かります。


また、
C△ |Eb△ |A△ |Bb△ |
は同一和声単位の進行(ジャズ用語?=コンスタントストラクチャー)と不定調性論でいうことができますが、これをこじつけて解釈すれば、其の三の表から、この進行は、
C△ |G7(alt)   |G7(lyd) |G7(comD) |
というただのI-Vである、というような機能和声の拡大解釈も可能なわけです。

 

こちらでのページもご参考に。

soundquest.jp(復帰おめでとうございますm(  )m)

 

Blackadder Chord??

「Blackadder Chord(イキスギコード?)」についてですが、これを、

IIaug/I

と解釈すると、これはUSTをオーグメントコードまで拡張する事でUSTの表に収めて解釈できる和音にすることができます。(ただし分子が単音なので厳密な意味でUSTの定義の上ではUSTではない)

 

これを

G7   CM7

で述べるなら、このBlackadder Chordは

G7(9,#11)  CM7のaugを用いたUSTの拡張されたコード、とすることができます。

これを分数コードにしますと、

 

G7(9,#11)=g,b,d,f,a,c#=g,b,d+a,c#,f=G△+Aaugで

 

Aaug/G△のテンション部分をトライアド化した

Aaug/G  CM7 

となります。 

厳密にはD♭augとして表記するのが正しいのでしょうが、転回が自在に可能なaugトライアドの呼び名をいちいち規定するのも瞬間的に行動しなければならないような現場的に窮屈かなと思います。

先の表ではリディアンm7thスケールを用いる際のIIaugに該当します。

 

拡張されたUSTをピックアップ

他の可能性を探りますと、

G7各種において、たとえば、

Absus4、Asus4、A△(b5)、Bbsus4、Bb△(b5),Baug、Db(alt)

といった新たなスーパーUSTがみられます。

これらはすべて

Absus4/G、Asus4/G、

A△(b5)/G、Bbsus4/G、

Bb△(b5)/G、Baug/G、

Db(alt)/G

というようなスーパーUSTコードとして使用される可能性が出てくるわけです。

 

ここでのBaug/Gはオーグメントコードの転回可能性から、

Baug=D#aug=Gaug

(と解釈できる流派)で、IIIaug/Iとなり、また違うaug感も探せるかもしれません。 

こういうのをアイドル曲にガンガン使うことで、ソリッドでカッコよく感じる、という効果が最高ですね。 可愛い声が日常を越えてヒーロー感が出ます。

これがまた男性ヒーロー物で使うと、少し殺伐として来るのかもしれません。歌詞の内容によるのかな。。

 

その先がこちら。

www.terrax.site

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参考

www.terrax.site