2017-06-18→2019-7-25(更新)
ネガティブハーモニーの写像が判明します。
最初の記事。
d→f
e→e♭
f→d
g→c
a→b♭
b→a♭(逆の矢印も成り立つ)
さらに半音的に展開すると、d♭→g♭がここに加わります。
完全1:1対応になります。変更は許されません。つまりモードがガッチガチに決まってしまうわけです。
人の意思と関係なく対応音が決まってしまいます。
当時はDTMがなかったですから仕方がないですが、現代ですと人の意思と関係ない作業は機械がやってくれます。ネガティブハーモニーなら今はトランスポーズボタンで一発です。
下方に置き換える音階を、別のモードにすると可能性は広がります。
そしてそれをやると上下の対称性が崩れてしまって、単純にポリコード、ポリトーナリティを配置しただけにすぎない、とも言えます。このとき問題になるのは、
「どのように音楽が変わるか予想できていないのに変換してしまった結果を受け入れなければならない」
という音楽表現をあなたが許諾できるか、できないかです。
偶然性の音楽のようです。
これは屁理屈ですが、
c (全)d (全)e (半)f (全)g (全)a (全)b (半)c
⬇️ ⬇️ ⬇️ ⬇️ ⬇️ ⬇️
g (全)f(全)e♭(半)d (全) c (全)b♭ (全)a♭(半)g
この並びを「Cアイオニアン上行とGフリジアン下行を対応させる並べる」とすれば、eとe♭の真ん中が中心、というネガティブハーモニーは必要ありません。
また逆に、eとe♭の間を中心だ、と考えるなら、aとb♭の間がもう一方の中心だ、と考えることもできます。これはF#△のM3rdとm3rdにあたります。
つまりこのcとgの軸は、同時にf#とc#のもう一つの軸を作っていることになります。
これは中心軸システムとなっていきます。
CメジャーのキーのF#メジャーキーと対応させる、とかです。
何が課題なのか
もともと音現象に意思や決まりごとはない
ということからスタートすることでネガティブハーモニーは使いやすくなると思います。
いつも同じ思考では同じ響きしか得られません。
そこでいつもと違うやり方の方程式を使って、その函数から導き出された響きに驚嘆する、という体験がネガティブハーモニーの一つの希望でもあります。
例えば
Dm7 G7 |CM7 |をネガティブハーモニーにすると、
Bb6 |Fm6 |AbM7 |
となります。 新鮮です。
また「ネガティブハーモニーを混ぜる」というやり方があるでしょう。
Dm7-G7-CM7において、
ネガティブハーモニーBb6=Dm7(11,b13)ですから、Dエオリアン的ですから、
Dm7-G7-CM7においてDエオリアンを弾く、というちょっとアウトな感じが「ネガティブハーモニーコンセプトを加えたアウト奏法」と言っちゃうこともできます。
また、
Fm6=G7(b9)ですから、GフリジアンM3や、オルタードドミナント的に弾けばこれはネガティブコンセプトである訳です。ジャズのオルタードドミナントは、ネガティブハーモニーだった、と言説しても良いでしょう(ただし理論的な軸が同じなのでこれはあくまで"どこを視点に見るか"の違いだけです)。
G7(b9)は、
「G7+Fm6と考えネガティブハーモニーFm6のm3rdをb9thに用い、cを省略したのだ」
と言うことすらできます。
これって、
Fm6/Gという拡張型アッパーストラクチャーコードなんじゃないの?とも見えます。
また、Fm6を用いて、
Dm7 G7 CM7をDm7 Fm6 CM7にしたら...ネガティブハーモニー独自になるか、というと、これは普通にIVm6のサブドミナントマイナーですね。実はシンプルなコード進行でネガティブハーモニーを使おうと思っても、だいたい現代の機能和声論が網羅しているんですよね。
機能和声最強。大体の娘に手を出してる感笑。
調性概念の拡張とクリエイターのジレンマ
問題は、反転した結果が予測しづらい、ということです。
予測できるようになるのは相当訓練がいりそうです。
そこにあなたは時間を割けますか?
・また、反転した結果のサウンドが自分は好きになれないかもしれない
という問題もあります。
この変化した音をいじっても良い、と言っているのが不定調性論です。
「こうしたい」と思ったらやる、それが拙論です。
「理論で禁止されているから、やりたいけどやりません」
という禁欲的考え方はしません。
すごくストレスが溜まりそうだからです(個人差あり)
ネガティブハーモニーは同主短調を軸にひっくり返して自分が予測できない響き作って刺激してくるハーモニー
と考えてみてください。
私は機能和声で作ったものをひっくり返す行為に現状メタファは感じません。
だから自分の音楽ではネガティブハーモニーは使わないと思います。
また不定調性論ではベルトチェンジという方法論で同様な意外性を作ることもできます。
ただ面倒なのでよほどアナグラム的な仕掛けを作りたい時以外は使いません。
「ネガティブハーモニーってすごい理論だから、俺が私が考えた方法論より優れている」というように考えないでいただきたいです。
あなたが頭を絞ってアレンジしたものの方があなたの人生には合っている、と思います。自分自身が生み出したものを何より大切にしていただきたいです。それができている人はまたネガティブハーモニーの意義も把握しやすいのではないでしょうか。
<まとめ>
数理の美を見極める
既存の学習は「これが一般的です」と言っているだけで、「あなたに合う」とは一言も言っていないはずです。
私にとっての音楽理解法は不定調性論です。
あなたにはあなたの方法論があると思います。
自分がこうしたい、という想いは、ジェイコブ氏の言う「言いたいこと」です。
これがないとプリセットをいじることは出来ません。
そしてそこだけは本気で自分で探さないと見つかりません。
そしてそれはいつも足元に最初からあります。
他者の方法論を刺激にして、ご自身のやり方を探ってみてください。