音楽教室運営奮闘記

音楽と教育と経営の雑記ブログ~不定調性論からの展開

人生の熱い決断の瞬間を歌にしている~ユーミン歌詞・コード考63

ユーミンの不定調性コード進行研究

ユーミン歌詞・コード考 / アルバム「VIVA! 6×7」

 

 

太陽の逃亡者
(ユーミンレポートより)

Aメロ(アルバム収録タイム 1:00-)
E♭m7 |E♭m7 |E♭m7/A♭ |E♭m7/A♭ |
D♭M7 |Cm7 |F7sus4 |F7sus4 |
B♭m7 |B♭m7 |B♭m7/E♭ |B♭m7/E♭ |
A♭M7 |Gm7 |C7sus4 |C7sus4 |
この曲も「Corvett1954」(事例23)と同様、ボーカルのキーに合わせたかのような移調されたメロディラインで構成されている。前半がD♭キー、後半がA♭キー。

これが7sus4コードを介して五度の移調が行われている。メロディラインが同じであるため、一聴しただけでは聴き逃してしまうかもしれない。


恋の苦さとため息と
「ダイヤのため息 のみ干すマティーニ はじめて知ったの 恋の苦さを
あなたに心を奪われてから」
「あなたに心を奪われてから それだけで足がふらつく最上階の窓」
「私の恋は輝きながらにこぼれてゆくの」

ビリー・ジョエルの「ニューヨーク52番街」に"ザンジバル"という作品があるのですが、あの曲を思い出しました。


「混沌」てジャズの速い4ビートが示すポップ音楽的な一つの表現手段となるのかもしれませんね。だから心の混沌とかを表現する時に、ジャズとしての4ビートを使うのではなくて、音楽表現としての4ビートを、そうした表現手段で使ってみるのは、とてもおもしろいと思います。

心が震える→心がふらつく→最上階の窓

というクオリアがリンクしているところなどは歌詞のテクニックとして勉強させていただきましょう。書けそうで書けません。

 

Choco-language
「思いもよらないあなたと恋に落ちていた 私の理想ことごとくこわすひとなのに」
「わかる 周波数みたい それは きっとあなたが私にくれたランゲージ」

 

灯りをさがして
「人は耐えきれない痛みを 与えられはしないの」
「あなたの笑顔が向けられないなら つらすぎるかもしれない」
「それでも私は思い出をたよりに灯りを探すの」


このアルバムは単品でCMソングやイメージソングになっている作品が多く、小説で云えば「短編集」のような雰囲気ですね。
この曲のAメロの始まりについて、
GM7 |% |Cm6/G(またはGaug-add9) |%|
と流れるのですが、このaug系のコードが「なぜ」感をしっかり出していて、歌詞とバッチリスクラムを込んだ展開になっています。こういうのはすぐ参考にできますね。

 

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永遠が見える日
「つれてって 川辺まで 大事な言葉 云おうとしたときに 大輪の光が
あとから あとから はじけ 枝垂れて」
「あなたがいて私がいた 夜空の中に 何も云わず誓い合った 儚い夢に」
「咲いていて いつまでも 祈るように目を閉じたら その瞬間 永遠を見せて」
「紺の水面に落ちてゆく花火こんな哀しいなんて あなたに会うまで知らなかったの
綺麗だね こわいほど」
「輝いて もう少し そばにいて 抱きしめて この世にいる 意味をおしえて」
「浮かんでいて いつまでも 涙ぐんで目を閉じたら
その瞬間 永遠を見せて 消えないで もう少し この胸に焼きつくまで
一度だけの永遠を見せて」

 

こうなってくると、

「輝いて もう少し そばにいて 抱きしめて この世にいる 意味をおしえて」

というのも、「叱って」系と類似した"教えて""指示して""導いて"系、と言えるかもしれません。相手に願いを伝える、というのは勇気や決断が必要です。

ユーミンソングには人生の一大アクションがあって、一つの人生の熱い瞬間、決断したその時があるのだなぁ、なんて感じます。"そのとき歴史が動いた"の、まさにその瞬間

の心の動きが歌になっている、と言えばいいでしょうか。

 

というか、歌そのものはそういう瞬間が一番歌になるなぁ、なんて。

これ結構な気づきじゃない?

 

この曲のAメロ頭の部分、
Eb |F/Eb |Ab/Eb |Eb |
Cm7 |D7 |Gm7 |Ab/Bb |
という流れがありますね。最初の四つのコードはこのブログではビートル進行なんて云っていますが、ユーミン楽曲でも時折使われる進行です。雰囲気が定まってしまうので、歌詞の内容を選ぶ進行です。

何かの続きにこれが起きて、
とか
そうしてこうしてこうなった、
というような過程を説明する雰囲気のような流れを私は感じるのですが、この歌詞を読んでも私は違和感は感じません。


Summertime

この曲のAメロ部分は、
Ab7sus4 |Ab7 |Ab7sus4 |Ab7 |
Db |C7 |Fm7 |Db7 |
Ab7~
となっていて、これも言ってみれば不定調性進行による「掛留概念の拡張」進行になっています。

 

ひまわりがある風景
「ひまわりが影を伸ばしてる 小さなバス停で あなたと別れた」
「陽炎に溶けてゆくバスは思い出も乗せずに 行ってしまった」
「ひまわりが咲くと 思い出す あのときの風景と止まった時間」

車って機械的なだけに、心情がマッチする、って言う直感的な気づきが天才的だなぁ、と感じます。


Invisible Strings
「シルクのような雨 耳を澄ましたら 街の喧騒はかすれてゆく
それはほんのひととき あなたの想い出 微笑ませてくれる」
「私たちの時計 止まったまま 高原の花のように 湖のように
霞んでゆれている」

この比喩な。


霧の中の影
「今は ああ今は 声にならないさよなら
だから云わないで きかせないで本当の終りを」

孤独というのはずーっと憑いてまわるんですね。
ネガティブに考えれば、「自分はひとりぼっち」なのでしょうが、ポジティブに考えれば、「自分という存在は独りしかいない」ということでしょうか。
それを「孤独」と言うか、「唯一」というか、そうした発想だけで人生だいぶ変わってくるのだ、とユーミン楽曲は教えてくれます。

 

VIVA!6×7