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不定調性論からの展開紀行~音楽と教育と経営と健康と

<不定調性論用語/概念紹介74>ブルースフィールとジャズフィールの分類-レッドノートの発見

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教材より四度領域の話を抜粋します。

 

165,下方四度領域のレッドノート

基音cにて、下方の四和音はCl7という表記の和音になります。

Fm6またはDm7(♭5)という既成の和音のサウンドに近づきます。

基音cのとき、Fm6またはDm7(♭5)

基音fのとき、B♭m6またはGm7(♭5)

基音gのとき、Cm6またはAm7(♭5)

これが「下方領域ブルース」の主要和音ともいえます。

これらを調向階段モデルに沿い同様にコード進行にすると、

 

短調的進行

Fm6  B♭m6  Cm6  Fm6

または

Dm7(♭5)  Gm7(♭5)  Am7(♭5)  Dm7(♭5)

長調的進行

Fm6 Cm6  B♭m6  Fm6

または

Dm7(♭5)  Am7(♭5)  Gm7(♭5)  Dm7(♭5)

これらを三和音で弾けば、より機能和声的になります。

短調的進行

Fm  B♭m  Cm  Fm

長調的進行

Fm Cm  B♭m  Fm 

 

下方五度領域を用いた三和音としたことで、余計な音が混入します。

Fアイオニアン/ミクソリディアン=f  g  a  b♭  c  d

Fm=f  a♭ c

B♭m=b♭ d♭ f

Cm=c  e♭  g

これらの集合を、fを中心に音階化すると

f  g  a♭ a  b♭  c  d♭ d  e♭

これでマイナーコードを主体にするとFエオリアン+M3+M6のスケールとなります。

弾いてみると分かりますが、非常に厳しいサウンドになります。

f:id:terraxart:20201125111917p:plain

ちょうどブルースとは正反対でサウンドも裏返ったような不思議な旋律感があります。

これらの音をブルーノートに対して教材では「レッドノート」と表現します。

 

 

166,レッドノートの応用

CのエオリアンスケールにM3とM6を付けたイメージで旋律にしてみました。

f:id:terraxart:20201125112021p:plain

マイナーコード上でM3rdを用いるという単純ですが非常に危なっかしいコンセプトです。ブルーノートの雰囲気とまったく真逆に作用しています。

♭9thや♭13thが下降して解決するようなアプローチともいえます。

f:id:terraxart:20201125112349p:plain

ジャズにおいてはすでに一般化しています。

つまりブルースの「カッコよさ」=ブルーノートであるとしたら、ジャズのスリリングなオルタードフレーズ感=レッドノートとするとジャズの特徴を分類しやすいです。

これらの特徴を機能和声進行に混ぜるのがアメリカンミュージックです。

 

173,ブルー/レッドノートの和声利用

正格ブルーノート=m3rd、m7th

変格ブルーノート=♭5th、♭9th

レッドノート=M3rd、M6th 

 

CM7 Cm7 CM7 Cm7|E♭M7 Dm7 E♭M7 Dm7|

|Gm7  G7  Gm7  G7|CM7                  |

これは二つの和声を連続させ、ブルーノートの和声的利用を行ってみたものです。

|CM7(#9,♭7) |Dm7(♭9,♭13)  |G7(#9,♭13)    |

そしてこれはブルーノートを和声に組み込んでみました。

 

 

|Am7     A7(#9)      |Dm DmM7 Dm7 DmM7 |

|E7(♭9,♭13)  E7(9,13)|A7(#9,13)  Am6|

これはレッドノート的アプローチです。コンテンポラリーなジャズでは既に用いられたサウンドである、ということが分かります。

 

Im7でM6thを含ませるアプローチがジャズにはあります。

Dm7(♭5)  G7  Cm  Cm6

メロディを6thで句読点のように締めるフレージングです。こういった使用もまさにレッドノート的なアプローチといえるのではないでしょうか。

 

 

175,ブルーノート存在の数理からの展開

数理親和音モデルを今一度ご覧ください。

f:id:terraxart:20201125113027p:plain

この表にはe♭,g♭,b♭という音が現れています。いわゆるブルーノートと解釈される音です。 

ここでの1音が作る音集合を音階にしてみると、

c  d  d#  e  f  f#  g  g#  a  a#  c

となります。これがcにおける最大限にまで拡張した数理的な使用可能音であることが分かります(これを基音領域音階とします)。

f:id:terraxart:20201125113237p:plain

これを例えば、iとivの四度領域のみを反応させれば(色つきセルを除く)、

c  e♭ f  g  b♭

というマイナーペンタトニックが出てきます。これはCu4+Fu4という和声の集合と同じです(色つきセルを除く)。

f:id:terraxart:20201125113255p:plain

次に各五度領域のみを反応させると(Cu5+Fu5+A♭u5)、

c  e♭ e  f  g  a♭ a 

というブルージーな音階が出てきます。ここにはレッドノートであるM3とM6が現れます(色つきセルを除く)。さらに、

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これは下方四度領域の各上方四度領域を反応させたものです。

ここではCドリアンが出てきます。

 

これはもともとの音階がII♭とVIIを持たない集合だからです。

もともとブルーノートはサージェントが指摘したように、旋律の中で生まれる存在でした。それらが研究され、音楽の中で用いられた結果、現在のブルーノート利用が固まってきました。