音楽教室運営奮闘記

不定調性論からの展開紀行~音楽と教育と経営と健康と

<不定調性論用語/概念紹介73>四度領域の和音進行分類

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教材より四度領域の話を抜粋します。

 

157,四度領域の和音の再発見

下部テトラコード c  d  e♭ e  f

上部テトラコード         g  a  b♭ b  c

機能和声論はペンタコード(5度の音域)とテトラコードを使い分けて音階と和声を作ってきたと言えるでしょう。主要和音はペンタコードから作られました。

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 C7からeを抜いた時、これはCu4であり、メジャーでもマイナーでもない四度領域でできた和音である、という解釈が成立する、という意味です。

 

基音cのとき、完全四度の基礎和音は低音から以下のようになります。

Cu4 構成音 g  b♭ c

これが四度における「主和音」となります。

この領域の基音cは上部にあります。この高音部に基音のある配置は、機能和声論の「低音優先」と真逆です。ここでは「上部に基音がある世界」を考え直さねばなりません。

 

159,四度領域の基礎進行

Cu4  Fu4  Cu4

五度領域では、I-V-Iが一般的な進行であったものを、四度領域を考える最初の段階では、I-IV-Iという進行を主体において考えることで度領域を扱った時と同じ感覚で進行論を展開できます。

 

Cu4  Fu4  Cu4を上方四度のリアクティブモーション

Cu4 Gu4 Cu4を下方四度のリアクティブモーションとすることができます。

 

構成音はc  e♭ f  g  b♭で整合性が現れます。

その代わりVがドミナント的ではなくIVがドミナント的となる、という逆の発想になります。教材ではこの発想から四度領域の音楽を考えていきます。

 

162,四度領域の不定調性進行分類 

この分類は五度領域音楽と完全に呼応しますので、これによって五度の音楽と四度の音楽が確立できることになります。

<四度領域不定長調>

・表面的回帰性長調展開の例

Cu4  Fu4  Cu4

Cu4  Gu4  Cu4

※四度領域のリアクティブモーションです。

 

・四度領域側面的回帰性長調展開の例

Cu4  Au4  Cu4

Cu4  Du4  Cu4

Cu4  Eu4  Cu4

 

・四度領域裏面的回帰性長調展開の例

Cu4   F#u4   Cu4

Cu4   C#u4   Cu4

Cu4   Bu4   Cu4

 

<四度領域不定短調>

・四度領域表面的回帰性長調展開の例

Cl4  Fl4  Cl4

Cl4  Gl4  Cl4

 

・四度領域側面的回帰性短調展開の例

Cl4  Al4  Cl4

Cl4  Dl4  Cl4

Cl4  El4  Cl4

 

・四度領域裏面的回帰性短調展開の例

Cl4   F#l4   Cl4

Cl4   C#l4   Cl4

Cl4   Bl4   Cl4

 

中心に戻ってこない展開(非回帰性展開)例。

Cl4   Gl4   Dl4   Fl4  A♭l4・・・ 

 

<四度領域上方系不定領域>

基音は自由で、上方領域を優先した反応領域を固定しない進行。

・四度領域表面的回帰性領域展開での例

Cu4  Fl4  Cu4

Cu4  Gl4  Cu4

 

・四度領域側面的回帰性領域展開での例

Cu4  Al4  Cu4

Cu4  Dl4  Cu4

Cu4  El4  Cu4

 

・四度領域裏面的回帰性領域展開の例

Cu4   F#l4   Cu4

Cu4   C#l4   Cu4

Cu4   Bl4   Cu4

 

またこれはそのまま和声単位作曲技法にも応用でき、

C△ A△ C△

という進行がお気に入りで、あなた自身に解決進行を見いだせる、という場合、

C△/E  A△/E  C△/E(構成音を根音に)

C△/F#  A△/F#  C△/F#(センタートーンcの裏面領域を根音に)

という流れなどを作ることができるでしょう。難解で調の定まらない進行は原初の単純な進行からイメージを膨らませる、というのが本書で紹介している作曲の方法になります。

 

<四度領域下方系不定領域>

基音は自由で、下方領域を優先した反応領域を固定しない進行。

・四度領域表面的回帰性領域展開での例

Cl4  Gu4  Cl4

Cl4  Fu4  Cl4

 

・四度領域側面的回帰性領域展開での例

Cl4  Au4  Cl4

Cl4  Du4  Cl4

Cl4  Eu4  Cl4

 

・四度領域裏面的回帰性領域展開の例

Cl4   F#u4   Cl4

Cl4   C#u4   Cl4

Cl4   Bu4   Cl4

 

<四度領域内定調性>

基音は固定され、各領域を優先した進行。

・四度領域上方系内部回帰性展開の例

Cu4  Cl4  Cu4

 

・四度領域下方系内部回帰性展開の例

Cl4  Cu4  Cl4

これは長二度で移行するような和声進行になります。

Cu4  Cl4  Cu4 ⇒ Cm7  Dm7  Cm7、C7  Dm7  C7

Cl4  Cu4  Cl4 ⇒ Dm7  Cm7  Dm7、Dm7  C7  Dm7

 

163,四度領域の動和音/進行形態

五度領域のときと同様です。

・その和声の裏面領域音を単数有する和音のことを「第一種動和音」とします。例;C7(=Cu4+M3) 、Cm7(♭5)(=Dl4+♭5)

・その和声の裏面領域音を複数有する和音のことを「第二種動和音」とします。例;C7(#11)、Cm7(♭5,13)

・その和声の裏面領域音を基本和音と同数持つ和音のことを「完全動和音」とします。例;C7(♭9,#11)

・その和声の側面と裏面の領域和音を有する和声を総じて「第三種動和音」とします。例;Cu4(♭9)、Cl4(13)≒Dm7(13)

・その和声の中に裏面領域を新たに付加して作る和音を「第四種動和音」とします。例:Cu4(9,♭13)、Cl4(9,♭13)

※なお四度領域和声単位も短三度を含むため、常に静和音となります。

 

<四度領域の動進行と静進行>

・静和音から静和音への静進行(S-S-S=3S)

Cu4  CM7omit3  Cg 

Cl4  C#M7omit5 C#mM7omit5 

・静和音から静和音への動進行(S-S-A=2SA)

Cu4  Du4  Eu4

Cl4  Al4  Fl4

・静和音から動和音への静進行(S-A-S)

Cu4  Calt7omit3

Cl4  Dalt7omit3 

・静和音から動和音への動進行(S-A-A=S2A)