音楽教室運営奮闘記

不定調性論からの展開紀行~音楽と教育と経営と健康と

<一貫性バイアス>昔から自分は(あの人は)○○○だった、を信じるな〜音楽制作で考える脳科学11

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前回

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参考にするのは「自分では気づかない、ココロの盲点 完全版 本当の自分を知る練習問題80」です。

 

脳は自己理想化が好き、という話と

地位の高い人ほどモラルに欠ける行動を取る傾向がある、というお話です。

 

彼女はデビューする前からすごかった。

彼はヒットを飛ばすようになってからモラルが崩れた。

的な話は良く聞きます。

そして次のように巧みな言い回しで言われたことはありませんか?

〜だから君も彼女を見習って○○○していかないとダメだ...とか

〜だから君が売れても彼のような真似はするなよ...とか

 

このように他人を事例に出して「だからこうすべきだ」みたいな論法はバイアスだらけです。

これを見破る一つの方法は、その言い回しが"言い慣れているか"どうかです。

もし口を伝ってサラサラというようなトピックであれば、他の人にも言っています笑。

試しに周囲の人に聞いてみましょう。

「あ、それ自分も言われた!」とかって話が出てきたら、笑ってトイレに流しましょう。そのアドバイスにあなたは従う必要性がありません。その人は誰にでもそう言って、そのアドバイスが当たる人が当たればいい、と思っているだけです。

言い慣れているから巧みに心に響かせてきますから困ります。

 

その人にはその人にあった生き方があるのですから、先例にねじ込もうとせずに、一人一人にあったやり方を見つけてくれるアドバイザーかどうかがとても重要です。

 

ここには、一貫性バイアス(Consistency Bias)というものが関わっているそうです。

脳は自分が非定常で不安定な存在であることを嫌うのです。趣味や習慣、ひいきのチームや歌手、技能や思考パターン、政治や宗教の信条など、自分は以前から一貫していて変わらないと、過去を歪めて自分像を想起します。

自分のことをこういう人もいますよね。自分もそうかも笑。

「私は以前からジャズが好きだった」

とか笑。

「昔は俺はワルだった」

みたいな話も話半分に聞いておいた方が良さそうですね(これは変化バイアス-Change Bias-)。こういうのは心理的な自己防衛機能なんだとか。だいたいそんなに言うほどワルではないのだとか笑。

 

先の話もこの応用です。デビューする前の彼女はもっとダメダメだったかもしれません。でも売れてヒットしてバリバリやっていると、周囲の記憶も書き換わってきます。

最初は「でも彼女は最初はダメダメだったよな?」と彼も周囲に言ったかもしれません。しかしその周囲の人が「いや、でも結構頑張っていたよ?」とか(この人の記憶が書き換わってる笑)言われると、そうだったかな??なんて最初は思ってもやがて「彼女はすごかった」と若手に話しているうちによくわからなくなります笑。

本当に困ったものです。

中には、今売れていてもあまり信頼していない人にかかると

「今は売れているけど、彼女は最初ダメダメだったから、どこまで持つかなぁ」とかって斜め上の「視点自慢」をする人もいます笑。これは逆パターンですよね。

 

===

 

また売れてしまった彼が天狗になって、不倫をしたり、飲酒運転をしたり、みたいなことになってしまうタイプもいます。

これは「上流階級バイアス(Upper Class Bias)」というそうです。

横断歩道で手を挙げている歩行者が渡り終わるのを待たずに通過してしまう確率は、普通車が35%だったのに対し、高級車は47%でした。交差点で割り込む率も普通車は12%、高級車は30%でした。

運転に限らず、一般的に、社会的地位の高い人ほどモラルに欠ける行動をとる傾向があります。

 

「自分は社会的地位が高い」と思って行動してもらうと、下級階級の人でも貪欲さが増し、非道徳的な態度になるそうです。

 

モラルの低さは生得的なものではなく、「人よりも上にいる」という特権意識によってもたらされるわけです。

 

だから彼は天狗になっているのではなく、自分の成功を確信しているうちに、この「上流階級バイアス」が働き、自分は人よりも多くの責任を抱えている、だから人より優先されなければならない、多少のことは許してもらえる、といった発想に知らず知らずに寄っていってしまうのでしょう。

 

考えさせられます。自信を持って威張って堂々と大舞台をこなして、大仕事をこなして、たくさんの人の生活を支えるためには、猿山の大将のように尊大にしていなければ務まらないのかもしれません。

それによって事故や、犯罪につながってしまうケースもあるのでしょう。

 

また相談した人が「ああ、この人に相談してよかった」と思わせる効果をバーナム効果(Barnum Effect)と言うそうですが、これも巧みにいかにもな言葉で言いくるめられていることがある、と言うことです。

脳は普遍的な事実を指摘されたとき、「自分にだけ適合する」「自分のための言葉だ」と信じてしまう傾向があるそうです。同書では占い師の言葉などを例に挙げています。

占い師でなくても、プロデューサーやクリエイター、上司や先輩などに、こうした効果を巧みに使ってしまうタイプの人がいます。無意識に笑。

 

これから事務所で育成に入る、と言う方、それから今調子がバリバリ当たっている!売れてきた!と言う方、また育成を行う方、指導をする先輩方、脳の習慣の勉強と思って心の何処かに置いておくと良いのかもしれません。

また著名人のモラル問題のいくつかもこういったことをその都度注意することによって本人がそれを理解できるなら防げることもあるのではないでしょうか?

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