「So What」のテーマは、D DorianとEb Dorian
を行き来しますよね。
これをDマイナーとEbマイナーのキーがチェンジする、と考えてしまってはモード音楽の解釈を誤ってしまいます。
このDm7→Ebm7を考えてみましょう。
それぞれV7を置きます。
A7→Dm7
Bb7→Ebm7
これが混ざるわけですから、この二つが切り替わるときに、
Ddorian |Ddroian |E♭dorian |E♭dorian |
という切り替え個所において、
A7 |A7 |Ebm7 |Ebm7 |
というようなことも起きるわけです。
これはDm7に行くと見せかけて、Ebm7に移行する意外性、スリリングさ、楽しみがあります。
つまり、コード進行として、
A7→Ebm7
が成り立つ状況が生まれている、と解釈することができます。
つまり、
あるキーのV→別のキーのI
という進行が音楽的に生み出せるわけです。
「複数のキーの間の機能コードを連鎖させる進行が一つの方法論として展開できる」
ということになります。
やってみましょう。
Cメジャーキーのスリーコード(I,IV,V)
C F G
Aメジャーキーのスリーコード(I,IV,V)
A D E
Bbメジャーキーのスリーコード(I,IV,V)
Bb Eb F
ではこれをI-IV-V-Iで自在に連鎖してみましょう。
C |D |E |C |
これはCメジャーキーのIとAメジャーキーのIV,Vを用いた例です。
C |Eb |F |C |
これはBbメジャーキーのIV,VをCのIと組み合わせた例です。
まるでビートルズ進行ですね。
では、マイナーキーも入れてみましょうか。
Cメジャーキーのスリーコード(I,IV,V)
C F G
Aメジャーキーのスリーコード(I,IV,V)
A D E
Bマイナーキーのスリーコード(I,IV,V)
Bm Em F#m(またはF#7等)
C |D |F#m |C |
これはAのキーのIVとBマイナーキーのVm用いた例です。
えーそんな進行あり得ないよ、いうかもしれません。
そして
Cメジャーキーにおいて、ivの音、viの音を有する和音がサブドミナント機能を持つ和音とされます。
つまりf音とa音です。
これを拡張しますと、fとa音を持つ和音は広義な意味で、Cメジャーキーにおけるサブドミナント機能を代替する可能性を含有していると考えることもできる、という理解に発展させられます。
たとえば、F7、FM7、Dm7、DmM7、A7(b13)、G7(9)、BM7(b5)...などなどいくらでも出てきます。
これをどこで線引きしても、伝統理論の制限を活用する必要があります。
そしてその制限を設けないと、
Cアイオニアンから発生する和音、
Cの他のモードから発生する和音、
機能的に関連モードから発生する和音
という段階によって、マトリックスを作って表にすることができます。
教材の付録についています。
こういうやつです(抜粋)。
機能感は、ただの刷り込みである、とします。
この刷り込みを活用することで、さまざまなコード進行が可能であり、それによって音楽表現を展開できるわけですから、それが出来る以上、それをまとめた表にしておく必要があります。
一つ例を出しましょう。Cメジャーキーのとき、
例;Dm7 |G7 |CM7 |
というときのG7をA7(9,b13)におきかえます。
例;Dm7 |A7(9,b13) |CM7 |
G7はf,bのトライトーンを持っているが故にドミナントです。不定調性ではこのf,bを持つあらゆる和音を列挙した表があります。その中にこうしたA7(9,b13)も列挙できるわけです。
さらに、CM7はBメジャーキーのIIbM7でもあります。ということは、Dm7-G7-CM7のとき、このCM7はBメジャーキーに転調している、と想定することもできます。すると、G7の位置にBメジャーキーのドミナントを持ってくることもできます。すると、
例;Dm7 |F#7 |CM7 |
という進行も拡大解釈すれば設定することもできます。
これらを用いた進行を「不定調性希機能進行」とも呼んだりしています。
このマトリックスは、作ることに意味がありました。教材には全ての機能でまとめて巻末に表を作っています。
モードマトリックス
参考