121. Ballad Z / Pat Metheny
メセニーのジム・ホールとのデュオ曲です。文字多いですが、別に難しいこと書いてません。
Jim Hall & Pat Metheny - "Ballad Z"
まず次のコードを聴き比べて下さい。
Cadd♭9omit3(構成音c,d♭,g)...動けぬほど狭く真っ暗闇
Cadd9omit3(構成音c,d,g)...暗く狭い
Cm...暗い
C△...明るい
Csus4,,,明るく広い
Csus#4(構成音c,f#,g)...まぶしく
これらの印象を感じたとします。
これらの区別を用いて次のコードを弾いてみて下さい。
1,Cadd9omit3 |E♭add9omit3 |Fadd9omit3 |A♭add9omit3 |
2,Cm |E♭m |Fm |A♭m |
3,C△ |E♭△ |F△ |A♭△ |
4,Csus4 |E♭sus4 |Fsus4 |A♭sus4 |
5(参考),Cadd♭9omit3 |E♭add♭9omit3 |Fadd♭9omit3 |A♭add♭9omit3 |
6(参考),Csus#4 |E♭sus#4 |Fsus#4 |A♭sus#4 |
次に、"暗く狭いコード"にさらにグラデーションを付けてみましょう。
CM7(♭9)omit3)(構成音c,d♭,g,b)...押し黙り動かぬ闇
CM7(9)omit3...静かで暗く狭い
CmM7...静かで暗い
CM7...静かで明るい
Csus4M7...静かで明るく広い
Csus#4M7(構成音c,f#,g,b),,,キラキラしてまぶしく壮大な
これも同様に、先のコード進行にして弾いてみて下さい。
1,CM7add9omit3 |E♭M7add9omit3 |FM7add9omit3 |A♭M7add9omit3 |
2,CmM7 |E♭mM7 |FmM7 |A♭mM7 |
3,CM7 |E♭M7 |FM7 |A♭M7 |
4,Csus4M7 |E♭sus4M7 |Fsus4M7 |A♭sus4M7 |
5(参考),CM7add♭9omit3 |E♭M7add♭9omit3 |FM7add♭9omit3 |A♭M7add♭9omit3 |
6(参考),Csus#4M7 |E♭sus#4M7 |Fsus#4M7 |A♭sus#4M7 |
===以下飛ばしてください===
さらに、それぞれで七度が変化します。
Cadd♭9omit3(構成音c,d♭,g)...動けぬほど狭く真っ暗闇
■CM7(♭9)omit3(構成音c,d♭,g,b)...押し黙り動かぬ闇
■C7(♭9)omit3...空虚で狭く真っ暗闇
■C6(♭9)omit3...?????
■C(♭6)(♭9)omit3...?????
Cadd9omit3(構成音c,d,g)...暗く狭い
■CM7(9)omit3...静かで暗く狭い
■C7(9)omit3...空虚で暗く狭い
■C6(9)omit3...?????
■C(♭6)(9)omit3...AbM7(b5)
Cm...暗い
■CmM7...静かで暗い
■Cm7...空虚で暗い
■Cm6...切なく空虚で暗い
■Cm(♭6)...AbM7と同化
C△...明るい
■CM7...静かで明るい
■C7...空虚で明るい
■C6...切なく明るい(優しい光?)
■C(♭6)...AbM7(#5)と同化
Csus4,,,明るく広い
■Csus4M7...静かで明るく広い
■C7sus4...空虚で明るく広い
■C6sus4...切なく明るく広い(優しい光の空間?)
■C(♭6)sus4...Fmadd9と同化
Csus#4(構成音c,f#,g)...まぶしく
■Csus#4M7(構成音c,f#,g,b)...キラキラしてまぶしく壮大な
■C7sus#4...空虚でまぶしく壮大な
■C6sus#4...????
■C(♭6)sus#4...????
さらに五度がこれに変化を付けます。コードネームで比較的可能なものにここで絞ってみます。
C7(♭9)omit3...空虚で狭く真っ暗闇
■C7(♭9)(♭5)omit3...F#△/Cと同化
Cadd9omit3(構成音c,d,g)...暗く狭い
■Cadd9(♭5)omit3...暗く狭く考えこむ
■Cadd9(#5)omit3...暗く狭く焦る
CM7(9)omit3...静かで暗く狭い
■CM7(9)(♭5)omit3...静かで暗く狭い中考え込む..Bm/C
■CM7(9)(#5)omit3...静かで暗く狭い中焦る...G#dim/C
C7(9)omit3...空虚で暗く狭い
■C7(9)(♭5)omit3...空虚で暗く狭い中考え込む...F#aug/C
Cm...暗い
■Cm(♭5)...暗く、考え込む...Cdim
■Cm(#5)...暗く、違和感...A♭△
CmM7...静かで暗い
■CmM7(♭5)...B△/C..静かで暗い中で考え込む
Cm7...空虚で暗い
■Cm7(♭5)...空虚で暗く物想い
■Cm7(#5)...空虚で暗い中でも温かさ...Abadd9
Cm6...切なく空虚で暗い
■Cm6(♭5)...Cdim7...切なく空虚で暗い焦燥感
■Cm6(#5)...Ab△/A...切なく空虚で暗い別の焦燥感
C△...明るい
■C△(♭5)...Calt..明るいながらも考え込む
■C△(#5)...Caug...明るいながらも不可思議に思う(悩ましい)
CM7...静かで明るい
■CM7(♭5)...静かで明るいながらも考え込む
■CM7(#5)...静かで明るいながらも不可思議
C7...空虚で明るい
■C7(♭5)...空虚で明るいながらも考え込む
■C7(#5)...空虚で明るいながらも不可思議に思う
C6...切なく明るい(優しい光?)
■C6(♭5)...優しい悩み
■C6(#5)...????(神秘的)
Csus4,,,明るく広い
■Csus4(♭5)...明るく広い考え事
■Csus4(#5)...Fm
Csus4M7...静かで明るく広い
■Csus4M7(♭5)...????(神秘的)
■Csus4M7(#5)...????(神秘的)
C7sus4...空虚で明るく広い
■C7sus4(♭5)...F#M7(b5)...Cm7(b5,11)...空虚で明るく切ない?
■C7sus4(#5)...空虚で明るくとことん不思議(神秘的)
C6sus4...切なく明るく広い(優しい光の空間?)
■C6sus4(♭5)...????(神秘的)
Csus#4(構成音c,f#,g)...まぶしく
■Csus#4(#5)...????(神秘的)
Csus#4M7(構成音c,f#,g,b)...キラキラしてまぶしく壮大な
■Csus#4M7(#5)...????(神秘的)
C7sus#4...空虚でまぶしく壮大な
■C7sus#4(#5)....????(神秘的)
コードの響きは、不可思議で、奥深いです。それをち密に繊細に感じて、頭の中に風景が浮かぶようにしてください。
明るい、暗い、ではなく、あなたの頭の裏に浮かんだ何とも言えない表現をしっかりと掴んで、確かに感じるようにしてみてください。そんなこと誰も言っていなくても、そのあなただけの不可思議な印象に「価値」を置いてみて下さい。
これが出来れば、「今夜何が食べたいか」と聞かれた時、
は、、、カレー・・・ってフッと言いたいことが言えますから。
却下されたらすみません。相手のイメージが強いんです笑。
AD
テーマを書いてみましょう。
========
EbM7(#5) |Dm7(b5,11) |AbM7(13) D/Eb |GbM7 DbmM7 |
EM7(b5) E7(b9)/A |AmM7 Dm7 |
D/E EM7(#11) |CM7(#11)/E |
Am7 |C#m7 |E/F# |GM7/B |
DbM7(b5) |AM7(b5) |D/C Eb/B |D/Bb Gb/Ab |
DbM7(b5) C6(b9) |Eb/F EM7(#11) |
EbM7 |Dm7(b5) G7(b9) |Cm7 |
Db(b5) AbM7(b5) |AM7(b5) FM7(b5) ||EM7(b5) ||
=====以上。
分量が多いので、セクションAとして、最初の二行。
EbM7(#5) |Dm7(b5) |AbM7 D/Eb |GbM7 DbmM7 |
FM7(b5) G6(b9)/A |AmM7 Dm7 |D/E Ebm7/E |CM7(#11)/E |
を題材にやってみましょう。
こういう曲、どう聴けばいいの??
って思います?笑、思いますよね。
まずギター2本でチマチマ弾いてるじゃないですか。音も別にどっちも同じような感じだし。
もっとEDMの激しい感じの曲ないの?
とか言わないように。まあちょっとだけお付き合いください。
この音楽を素直に受け入れてみましょう。
ギターのサウンドはジャズなんだけど、なんだか調性感がはっきりしないから、夜の霧の中の何も起きない風景をずっと見ている、ような印象ありませんか?絵画鑑賞のような心の状態になりませんか?ならない?笑、絵画鑑賞してみてください。ジム・ホールが聴こえます。
難しい解釈はやめましょう。
EbM7(#5) |Dm7(b5) |AbM7 D/Eb |GbM7 DbmM7 |
FM7(b5) G6(b9)/A |AmM7 Dm7 |D/E Ebm7/E |CM7(#11)/E |
M7がなだらかにアクセントを置いていますよね。
サウンドが同じ和音が、ある種「共通の単語」みたいに響きます。
「沈黙」「湿気」「悶々」「だるさ」「遠吠え」
みたいに、これだけ聞いてもなんとなくこの人がハッピーじゃないのは分かりますよね笑。
こうしたサウンドを捉えて、機能とか、調とか、モードとかしっかり勉強したら、それらのコードをあなたなりに「翻訳」してください。
それが理解になります。
名画「モナリザ」の真実の話、まあそれがあったとして、「これが正しいモナリザの鑑賞の仕方である」って言われても、なんだかつまらないでしょ?
音楽なんて、さらに根拠が曖昧なんですから。
音から聞こえてくるストーリを読み解けば、それでOKだと思うのです。
そこから、自分でやってみてもいいし、自分で音楽理論を研究しても良いと思います。自分なりにですよ。
「このEbM7の五度が変化した響きは、不可思議感を醸し出す、と考えると、静謐で考えさせられる響き、というような導入を感じます。」
とか言ってもいいですから。面倒くさいやつだなあ、ってしか思われないでしょうが笑。
もちろんメセニーにはメセニーのコード感、コード進行ロジックがあるはずです。それはそれ。あなたはあなた。
DbM7(b5) |AM7(b5) |D/C Eb/B |D/Bb Gb/Ab |
DbM7(b5) C6(b9) |Eb/F EM7(#11) |
このセクション、どんどん上向していくような感じになってますよね。なんだか進行感で「明調」を作っているかのよう。和音で長調を表現するのではなく、流れで表現する。
でも相変わらず、街は霧の中。私は前向きになりたいのに、なんでこの町は霧が晴れないの?そんな葛藤。感じません?
もちろんすげーハッピーだ!!って感じたら、それでいいんですからね。
和音勉強すると、この流れ聴くと、もうジェットコースターしか思い浮かびません!!でもいいんです。
EbM7 |Dm7(b5) G7(b9) |Cm7 |
Db(b5) AbM7(b5) |AM7(b5) FM7(b5) ||EM7(b5) ||
最後にDm7-G7-Cm7って。。。
キターーーーーーーーーーーーーーー
って感じしません?ここでマイナー明示かよ!!!カッコよすぎるだろ!!!みたいな、
一気にセツナイ感じ爆発ですよね。
米津さんのLemonでも書きましたが、どこに何を持ってくるか、って本当に大事。
9thぶつかってるー!ぶつかってるー!!
みたいに感じちゃう人は、初期学習の末期です。そこから先にもっと穏やかな世界が広がっていますから、速く抜け出てきてください笑。
なんでb5thばかりなんだろう、と思うかもしれません。
まあ、当時の流行りです。
半音でM7タイプのコードをぶつけているのも、半音での変化がダイナミックさを作るからです。動きが小さいのにダイナミックになる、みたいな。
当時の最先端の和声観が結集された一曲ですね。