2017-8-10→2019-8-9(更新)
前回
なぜ四度和音は使いづらいか
完全四度で積み重ねてみましょう。低音から、
c-f-b♭-e♭-a♭-d♭
となり、cとd♭が短九度になり、不協和になります。
これが理由で増四度を"時々"入れて不協和が混雑しないよう「調整」するわけです。
しかし、増四度を二つ重ねると、
c-f#-c
と一巡してしまいます。
バリエーションとしては、
c-f-b♭-e♭-a♭-d
c-f-b♭-e♭-a-d
c-f-b♭-e-a-d
c-f-b-e-a-d
c-f#-b-e-a-d
つまり四度のコードバリエーションを作ろうと思うと、
c-f-b♭
c-f-b
c-f#-b
という三種類しか無いんですね。
ですから三度和音と同じように拡張しようと思ったら、四度を基調に三度や二度を織り交ぜるしかありません。つまり、
c-f-b♭、c-f-b系統
c-f-a=F△/C
c-f-a♭=Fm/C
c-f-g=Csus4
c-f#-b系統
c-f#-b♭=C7(b5)omit3
c-f#-a=F#dim/C
c-f#-a♭=A♭7omit5/C
c-f#-g=???
となり、どうしても三度堆積和音の影を背負ってしまいます。
ゆえに四度和音と云う概念だけで音楽を作るのであれば、三度堆積和音的な考えも混ぜながら作ったほうが良い、となってしまい、「四度和音」の世界観にこだわればこだわるほどどんどん四度性は薄まっていき、三度の自在さに改めて気が付くわけです。
四度和音の深部
三度堆積和音論はc-gを五度と見て考える音楽論です。これを五度と見て、自然倍音列の和音で分割すると、
c-e-g
となり、これはC△です。
では同じようにc-gを四度と見るとどうなるでしょう。音の配列は下記になります。
c-b-b♭-a-a♭-g
これらの分割音の中で、同様に自然倍音の音(基音の振動数の整数倍に近い音)で分割すると、
c-b♭-g
になります。
そしてこれらの二つの和音を独立させます。
c-e-g-=C△
=拙論では・・・Cu5(C upper 5th)
c-b♭-g=C7omit3
=拙論では・・・Cu4(C upper 4th)
とするわけです。
ポピュラーミュージックは七音音階と、五音音階の二つの音階世界を駆使して、ブルージーでロック、ロック的なバラード、ソウルフルなポップ、と言った世界を作ってきました。
つまり五度の領域と四度の領域が絶妙に絡まっているんです。
これによりドミナント7thとブルース7thの違いを考えることもできます。
不定調性論では、属七和音は五度領域から生み出したもので、ブルース7thは四度領域から生み出したもの、とすることができるので、二つの和音のニュアンスの違いを同じ理屈で考えることができるようになります。
三度が"無い"のではなく、もともと三度など必要のない体系=四度の領域がある、と考えれば良いわけです。
では、四度領域和音的な和音を実際並べて弾いてみてください。
ここでは分かりやすく、X7omit3と表記します。
C7omit3 | C7omit3 |Eb7omit3 |Eb7omit3 |
F7omit3 |F7omit3 |D7omit3 |Db7omit3 |
なんともロック的で、ブルースの匂いもしながらも、フュージョンな響き??です。
この和声感を「四度領域和音の響き」と考えるところからブルース和声を考える土台ができるのが不定調性論の考え方です。
四度と五度はちがうもの、と捉えてイメージを膨らませてみると、西洋音楽理論とは違った音楽理論が見えてくると思います。
実際には音の組み合わせは自由です。それが音楽理論の限界にもなります。
それ以降必要なのは、人の意思であり、その"意思"に注目する方法論の一つが不定調性論です。
smoke on the water だから煙がゆらゆら揺れているから、パワーコードのように安定した和音ではなく、パワード4thが良い、その方が曲名を象徴的に暗喩している感がある、からここはパワード4thが適切である、みたいに評論してもいいです。
四度和音等について、さらに書かせて頂いた内容がこちら↓↓↓にございます。