2017.8.25→2020.3.18(更新)
四度和音概略
まず通常の三度堆積和音を考えてみましょう。
C△
c(長三度)e(短三度)g
Cm
c(短三度)e♭(長三度)g
Caug
c(長三度)e(長三度)g#
Cdim
c(短三度)e♭(短三度)g♭
これらの和音は長三度と短三度でできています。
この三度和音の慣習に飽きて(?)しまったから、四度や二度で堆積した和音の活用が試みられました。
現代ではこれらの和音を自在にミックスして表現する方法がとられています。
イントロだけとか、Aメロにとことんsus4とか。エンディングの和音だけ四度和音とかクラスター、とかやってみるのが最初はわかりやすいと思います。
四度和音の構成
三度和音は長三度と短三度で区分けしましたね。
四度和音は完全四度と増四度で作ります。
c-f=完全四度=P4
c-f#=増四度=+4
しかしc-e=減四度も四度ですが、これは長三度ですから除外されます。長三度が入ると世俗音楽の響きになるから避ける、なんて作曲家の言い分もありあす。
それならc-f#も減五度であり、四度と言えないじゃないか、なんてツッこめますが。
純粋な四度(?)だけの三和音を作ってみましょう。
C-F-Bb
C-F-B
C-F#-B
この三種類だけです。
機能和声論的に考えると、四度和音の低音はルートにはならない、としなければなりません。
C△はcを基音にして第三倍音、第五倍音を用いて作ることができる、と考えることができます。ゆえにcがルート、根音になる、というわけです。しかしc-fとなると上記の自然倍音を用いた理屈上は、fを基音とした時にcが第三倍音になるわけですから、c-fという和音のルートはfということになってしまいます。
つまりc-f-bのcはルートにならない、としなければならなくなるので、コードネームシステムでの表記で表現ができなくなります。コードネーム表記はルートが定まらないと書き表せません。(この辺が機能和声論の限界でしょう)
あえてコードネーム表記すると、c,f,bは
Csus4M7(omit5)
などとなりますが、これではcが根音だよ、と宣言しています。これではいずれ三和音が出てきてしまいます。それを避けるための四度和音ですから、コードネームで表記しないようにしたわけです。
Csus4もc-f-gで、fはeが変化した音、c-gがあるから基音はcという考え方で作られています。これ自体がかなり恣意的です。
協和音が美である、という17-18世紀の考え方の名残です。本来Csus4が本当にcが根音である、と証明しようとすると不定調性論の「反応領域」という考え方が必要になります。
表記と実用
1;C-F-Bb
2;C-F-B
3;C-F#-B
わたしは四度和音は下記のように書きなさいと教わりました。
これで構成音は低音からc,f,b♭です。
これだとc,f#,b。増四度、完全四度の積み上げ。
この表記の構成音はc,f,b♭,e♭です。
「エクステンション」が加えられています。四度和音のテンションです。
根音に重力をある通例の和音のテンションとはわけて「エクステンション」と考えるそうです。
これだと、c,f#,b,fです。
では最初の (c,f,b)は一体どう用いるのでしょう。
いきなり四度和音を音楽的に用いるのはなかなか大変なので、最初はダイアトニックスケールから四度和音を作ってみましょう。
c-d-e-f-g-a-b
から四度系和音を順に抜き出してみます。コードネームに表記すれば、
Csus4
D7sus4
E7sus4
Falt(M7)omit3
G7sus4
A7sus4
です。
では四度和音系のコード進行を作ってみましょう。
Csus4 |E7sus4 |D7sus4 |G7sus4 |Csus4 |A7sus4 |D7sus4 |G7sus4 |
簡素化したコード進行の後半繰り返し後はソロが乗ってます。
ソロ前半
ソロ後半
ソロの使い方は、
・微妙に調の感じを出す。
・微妙に聞いたことある感じのフレーズシークエンスを使う。
・微妙に時々外す。
・適度に四度重ねフレーズを使う。
です。これは私が教わった内容を砕いて表現しているだけです。
モードを厳密に使う人、よりコーダルにやる人、いろいろです。
私は不定調性主体です。
まずは親しんだコード進行の中で四度和音を用いて慣れてみてください。
たとえば、
CM7≒CM7(9,13)=c,e,g,b,d,a
これを、低音からa-d-g-cと積み上げると四度和音の出来上がりです。
これでCM7(9,13)を四度和音にできます。
これらをすぐに把握するためには、
・どの和音にどんなテンションが乗るか理解できていること
・楽器のポジションや音がポピュラー音楽理論と一致して把握できていること
等の知識とスキルが必要です。
=おまけ=
P4と+4を使った四度の三和音。
1. c(P4)f(P4)b♭
2. c(P4)f(+4)b
3. c(+4)f#(P4)b
4. c(+4)f#(+4)c
4.は二和音ですから除外します。では減四度=-4を加えたらどうなるでしょう。
5. c(-4)e(-4)g#=Caug
6. c(-4)e(4)A=Am/C
7. c(-4)e(+4)a#=C7omit5
8. c(P4)f(-4)A=F/C
9. c(+4)f#(-4)b♭=C7(b5)omit3
となります。Am/CやF/Cなど急に機能和声論が顔を出し、どこかで聞いたことのあるようなサウンドになります。これらは抽象的な音楽を目指した四度音楽界隈では最初避けられました。