2018.6.8⇨2020.8.27更新
不定調性論では上方と下方のオクターブレンジ3までを和音作成のために扱う、と決めています。
これは私が勝手に決めたことです(全て思考錯誤して考えた上で、ですが。)
この、どこまでの範囲を決めて良いか、を作成者自身が自由に決められる、というのが不定調性論の基本的な立場です。
この考え方を発展させると、「独自の範囲を独自に決めて良い」という発想に見事収まりますので、各位は各位の独自論を構築することができます。
基音cなら
c-e-g-a#-c
がオクターブレンジ3です。
これをgで分けて、
c-e-g=上方完全五度領域 (この三和音の表記=Cu5)
g-b♭-c=上方完全四度領域(この三和音の表記=Cu4)
とします。
そしてこれら四音をすべて使ったC7(教材ではCu7と表記)、また領域の混合和音e-g-b♭という和音もこの領域が作る和音とします。
これが不定調性論最初の三和音です。これらの三和音を「和声単位」と呼びます。
Cu7=Cu5+Cu4
であり、Cu7≠C7
です。これはあくまで内在している概念が異なる、という意味程度の不等号ですが、とても大切です。
c,e,g,b♭だから属和音の機能を持つのだ、と脊髄反射的に感じない習慣をつけよう、という意味が含まれています。
またレンジ2でのc-gという和音は「原素和声単位」と呼びます。パワーコードですね。
このc,e,gもc,b♭,gも「基音がcと断定できる」という点について共通している集合です。
これを「和音を作る基準の一歩として、伝統理論の解釈を拡大して扱える思考素材」という意図からこれらの和音を作りました。
もしあなたがポピュラージャズの7thコードの構成音を言えるのであれば、特に新たに覚える必要はありません。
長三和音を用いる、というのは「レンジ3を活用する」という意味と同等であり、そこで同じ範囲にc,g,b♭という三和音も存在しますので、それも同様に確立しました。
この四度を持つ三度のない和音はブルースの解釈などで用いることができます。
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独自論の形成
慣習として、音楽理論では、
A⇨Bは◯◯◯進行と呼ばれるが、A⇨Cは「あまり用いられない」
という言い方がされます。
Cを用いてはならない、とは書かれていませんし、Cを用いるのは誤りである、とも言われていません。
これは「法」ではもちろんなく「理論」というよりやはり「concept」です。
あまり用いられない和音を見定めて用いるのは誰の判断で行うべきでしょうか。
「誤りではない」としたら、誰がどのようにジャッジするのでしょうか?
近代音楽やジャズの登場で理論の定義のいくつか、
「個々の現象を法則的、統一的に説明できるように筋道を立てて組み立てられた知識の体系。」や「狭義には、明確に定義された概念を用いて定式化された法則や仮説を組み合わせることによって形作られた演繹的体系」
が破られてしまい(破ることで進化した)、音楽理論はバージョンアップすることなく「この理論の中で通じる音楽を正統」とするように分化してしまいました。
対位法のルールに従えば、対位法的な音楽ができます。
ジャズ理論に従えば、ある程度ジャズの響きを再現できます。
ポピュラー音楽理論を用いればポップスができます。
不定調性論的思考に従えば、近代音楽的な響き、ポストビバップ的、フリー的音楽が再現可能です。
音楽理論はジャンルごとに分化しています。つまり音楽理論の新たなる整備は、新たなるジャンルの確立を意味します。「個人」というジャンルです。ジャンルという考え方自体商業音楽的なのであまり意味はないのですが、考え方としては、
「従来の音楽理論を基にして、自分の音楽方法論を作ることまでが音楽理論の学習」
ということは言えないでしょうか?
高校・大学の7年間で、ある程度音楽を専門的にやれば達成されるでしょうが、私は三十年近くかかっています。
よって、より早い段階で「音楽理論はその習得だけでなく、制作過程で独自性を打ち出すところまでが学習」と考えていただき、独自論の形成を並行して進めていただきたく、不定調性論の体系は公開されています。特に独自性が強い不定調性論のような携帯まで行かなくても音楽作成は可能です。
より一般言語として共有性の高い独自の音楽方法論を早期に草案し、制作発信活動に移ってください。
また上方和音同様下方領域も和音作成が可能です。