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M-Bankユーミン楽曲(コード進行・歌詞)研究レポート公開シリーズ19~ユーミンの名作詞

日本人の心の情景を変えたシンガーソングライター(改訂版)

―研究レポート;ユーミン楽曲の和声分析と音楽的クオリアが紡ぐ作曲の手法―

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7歌詞の音楽的風景 その8

ユーミン楽曲はこちらから

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アルバム『POP CLASSICO』より

<Babies are popstars>

「ママとパパとが恋におちて そしてわたしが生まれて来た 雲の上から探していた ママとパパとを選ぶために」

 

<Laughter>

「いつもふたりは さよなら云って 二度と会わないと決めるのに 明日になれば 何事もなく 冗談とばしあった」

「過ごした日々が 夢だったのか それとも今が夢だったのか 明日になれば 何かが違って また笑い合っていそう」

「声でわかった すぐ 最後の電話 あなたの声は なぜそんなにやさしいの」

 

<Your Eyes Are Magic ~ 終止符をおしえて>

「枯葉舞う駅で 偶然見かけたの 急ぎ足のあなた こちらに気づいて 昔のまなざしで 止まった ふたつの時」

「いつまた逢えるの 10年先くらい 急ぎ足で生きるわ 振り返らないで しばらく前を見て 離れる ふたつの時」

「何もきかずに 逸らした わけも知らずに うらんだ  あれからもう あきらめ あきらめていたのに」

「Your eyes are magic, oh magic Your lips are music, oh music お願いおしえて 終止符の位置 哀しい恋の おわり」

   

<Discotheque>

「ブギもサンバも スカもチークも 卒業して 髪も服も 仲間たちも 地味に変えた でも あるはずの リアルな幸せなんて 辿り着くたび 幻」

 

<Early Springtime>   

「まわり道したのは ようやく気づくため 取り戻せない時間なんて なにひとつもないこと」

「なぜ あなたといると 涙がでるの 独りだった日々が いじらしくなるの」

「2羽のカモメ 回っている 5時の鐘が 響いている ゆっくりと ペダル ゆっくりと踏んで 家へ帰ろう」

 

<MODELE>

「靄に咲く 睡蓮のように たゆたう世界 そこだけ止めて 待ち続ける 君のまなざし 私の全て 描ききるまで」

「時と呼べない うたかたのとき でも いくどとなく 夢で逢う花になるわ」

「愛と呼べない 不確かな距離 でも手をのばせば ふれる程そばにいたい」

※アルバム最後の曲が、象徴的であるのは、いつ最後の曲となっても良い、いつ天から「終止符を教えて」もらっても良い、という覚悟からであろうか。前作の「ダンスのように抱きしめたい」という曲もそうであった。この曲もまた美しく、アルバムを締めくくるにふさわしい荘重さを持っている。

 

アルバム『宇宙図書館』より

<Sillage 〜 シアージュ>

「すれ違うジェット機のロザリオ」

嗚咽がこみ上げるような表現。飛行機には多数の命と希望が乗っていて、空を駆けていきます。

『ひこうき雲』がユーミンソングの一つの象徴であるとしたら、ユーミンは飛行機雲を扱うアーティストと言ってよいでしょう。その貫録にふさわしい美しい表現です。

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<あなたに会う旅>

「時の列車は走る なつかしい歌を乗せて

時はただ先へ進んでいく 忘れることも忘れて」

「いつからゆられているか 覚えていない

いくつも トンネル抜けてきた

もしも終着駅があるとするなら

それはいつのことだろう」

前作から「新たな死の観念」が作品に浮上し、熟成されているように思います。もし、今一番の興味が「死」であるとしたら、こんな言葉になるかもしれません。つまり、表現の行き着く先の死は"表現できなくなること"です。既にそれを見据え、さらに戦いを挑もうというのでしょう。忘れることも忘れて邁進する「時」という概念は、死とは正反対の存在のように感じさせられます。 

 

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