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M-Bankユーミン楽曲(コード進行・歌詞)研究レポート公開シリーズ7~ユーミンの名作詞★★★

日本人の心の情景を変えたシンガーソングライター(改訂版)

―研究レポート;ユーミン楽曲の和声分析と音楽的クオリアが紡ぐ作曲の手法―

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それぞれの楽曲レポートはすでに旧ページで更新をしているので二重になってきたので、それぞれのページに飛ぶようにアルバム目次ページからリンクできるようにしました。spotifyの音源を張り付けたり、必要に応じて改定を施しています。

ここからはレポートの後半について書き記します。その後で最新作の分析を行ってみましょう。

 

7歌詞の音楽的風景

今回の分析と参考文献の読解、歌詞の鑑賞から、ユーミン歌詞が持つ独自性がどこにあるのか、についても探求してきた。ファンタジーを作っている、という本人の言葉通りであれば、ストーリーの内容に重要なメッセージを求めるよりも、その言葉が、メロディの上で、和声の色彩感の上でどのように存在しているのか、その風景感を楽しむという感覚で鑑賞することで見えてくるユーミン的世界感の楽しさを堪能する方が適切かもしれない。

下記に列挙したのは、単純に私自身が印象的である、特徴的である、と感じた詞であるが、これらを言葉の意味だけで読まず、

 

「その言葉には音=旋律音が乗っている、そして和声の色彩が乗っている。」

 

という感覚を併せ持ちながら鑑賞いただきたい。これは詩の朗読とも、小説とも違う心象体験であり、こういう思いに浸らせてくれるのがポピュラーミュージックの歌詞の「鑑賞感」の極意だとすれば、歌詞の書き方、読み方もまた変わってくるのではないだろうか。

これは「文字の音楽」である。

ポピュラーミュージックの歌詞を鑑賞する、という機会もなかなかないだろうと思うし、ユーミンの歌詞は「鑑賞する」という行為にふさわしい重厚な歴史を既に持ち合わせているだろう。

 

以下は私の稚拙な解説を最小限にして歌詞のみを並べた。文字を読みながら、心に音楽観を響かせてほしい。知らない曲でも良い。歌詞を読む時、音楽の制約が作り出している文字によって「切り取られた風景」を感じながら、その多義的な意味、言語が持つ原曲とは異なる和声感、言葉の音感とリズム、言葉の持つ意味が与える印象等に注意して、文字どおり以外の意味を感じてみてほしい。

 

アルバム『ひこうき雲』より 

<恋のスーパーパラシューター>

「たったひとつの恋の真上に 落ちてゆけたら死んでもいいわ」

「熱い想いを風にまかせて とびおりるからきっとうけとめて」

※パラシュートという素材を用いて「恋の状況」に例えていく。何か身近な物体を一つ用いて、それを恋愛の状況に例えることで恋愛ソングを作るという手法とすることができる。

 

<ベルベット・イースター>

「空がとってもひくい 天使が降りて来そうなほど」

 

<雨の街を>

「夜明けの雨はミルク色 静かな街に ささやきながら 降りて来る 妖精たちよ」

「夜明けの空はブドウ色 街のあかりを ひとつひとつ消していく 魔法つかいよ」

※同アルバムの「ベルベット〜」との関わりを持った心象世界が統一されている。空の色彩感の類似性と、そこから現れる天使、妖精という世界観で統一されており、短調という世界を「悲しいフォークソング」にするのではなく、不可思議で幻想的な世界、という捉え方にすることで、このアルバムの西欧神秘的世界感が出ているのではないだろうか。

   

<返事はいらない>

「昔にかりた本の中の いちばん気に入った言葉を おわりのところに書いておいた あなたも好きになるように」

※心遣いの律儀さと同時に、暗示的要素を感じた。世界をそうやってコントロールできるのが、歌の世界の自由さである。手書きの文字で綴られた、本の中の言葉は、主人公の言葉となって、読まされた「あなた」はどのように感じるのだろうじか、と考えてしまう。ほのかな熱を感じるだろうか。ただ静かに閉じられるだけだろうか。

 

アルバム『MISSLIM』より

<生まれた街で>

「生まれた街の匂い やっと気づいた もう遠いところへと ひかれはしない」

 

<瞳を閉じて>

「霧が晴れたら 小高い丘に立とう 名もない島が 見えるかもしれない」

※ポジティブな想像力や行動、心の状態を感じる。良く晴れた日は、遠くの無人島が見える、「そんな日はラッキー」というような暗示的要素ともいえる。幸運というのは一人ひとり尺度が異なる。だからあなたにはあなただけの感動や興奮があっていい。それだけが個人の詩になるのかもしれない。

 

<やさしさに包まれたなら>

「カーテンを開いて 静かな木洩れ陽の やさしさに包まれたなら きっと 目にうつる全てのことは メッセージ」

「小さい頃は神さまがいて 不思議に夢をかなえてくれた やさしい気持で目覚めた朝は おとなになっても 奇蹟はおこるよ」

※この歌詞全体が、表題である「やさしさ」の正体を示している。これがEマイナーという短調の要素で歌われていることで明るすぎず、神妙に響きながら、聴き手にじんわりと優しさを与える。一見暗い曲調でありながら、そのメッセージはポジティブであり、「普通の朝」に対して視点を変えることで、ファンタジーに見える、そんなふうに解釈できた。毎日は苦労の連続だけど、そんな短調な時間の中で、ポジティブな存在をみつけよう、というメッセージを感じた。歌が心をポジティブにする魔法を持っているのならば、こうした楽曲の歴史があるからであって、それは音楽が持つ(自然界の)力ではなく、そうした音楽を生み出してきたアーティストの(人間の)力によるところも大きいのではないか。

 

<海を見ていた午後> 

「ソーダ水の中を 貨物船がとおる 小さなアワも恋のように消えていった」

「あのとき目の前で 思い切り泣けたら 今頃二人 ここで海を見ていたはず」

※参考文献でも述べられている曲であるが、「春の日にガラス越しに海を見たということだけ書きたかった」とある。この歌で現れる過去の恋に対する想いは、この情景に添える感情的色彩であって、別に必ずしも別れである必要はない、ということになる。どこか夢の中の音楽を聴くような曲調と過去の恋への想いという風景が合致してくる。また、朝でも、夜でもなく、「午後」というのも、この曲調の示すところであろう。朝は希望に満ち、夜は苦しくなる、としたら、やはりこの曲調、うららかな陽の光のような、けだるく、平和な時間帯を表している。そこに恋の想いが追加されて、一つのストーリーが出来上がっている。「あのとき目の前で 思い切り泣けたら」とうことが自分はできなかった恋の経験などについて、参考文献でも書かれているが、そうしたいくつものストーリーが折り重なったリアリティ溢れるファンタジーが出来上がっている。

  

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