ふと気が付いた曲の小ネタをアップです。
Righteous Brothers - Unchained Melody - YouTube
ちょっと、歌がうますぎ。
コードはこちらがみやすいですね。
今日はいきなりの陰り、の印象をもたらすコードの話です。
この曲の展開部。
そこまではI-VI-IV-Vで進んでいく、王道なバラードです。
盛り上がったところで展開部がやってきます。
動画では、1:25〜ぐらい。
F |G |F |D# |ときます。
このD#でグッときますね。
「孤独の川は海へ、海へと流れる」
という部分です。このD#は曲のキーがCメジャーですから、同主短調に転調しているわけです(CマイナーキーのIIIb)。だから本来は、「暗くなる」とか「切なくなる」というのがセオリーです。
でもここでは「冷たく、大きな夜の川が、静かに静かに、海へと抱かれていく」的な感じに、決して「暗い感じ」とか「切ない感じ」が優先されることなく、このD#に入った瞬間に、大きく、おおらかで、広大な景色を見つめるような心持ちにさせてくれます。
ちょっと神秘的でもあり、ちょっと厳かで、恋や愛よりももっと大きな大地の愛みたいなもの打ち震える感じを出しています。
そして2回目で、「wait for me」という切ないセリフに合わせてこのコードが鳴ります。ここはセオリーどおりな感じの切ない言葉と印象を載せています。
セオリーがどうこう、ということではないのですが、同じD#に様々な「大きな感情、景色、心象」を載せています。
このコード一つで、それまでこじんまりした(曲はデカイが)進行感が、いきなり大きく展開します。
、、、というような印象持ちませんか?
あとは、作詞するとき、または詞先のような制作をするとき、楽曲が与える心象をいかに掴み、それをアレンジで反映するか、ということをシンプルに体現している曲だと思います。
またコードのことがわからなくても、このD#(IIIb)は一時転調するわけですから、ブル!っと雰囲気が変わります。そんな雰囲気を感じ取れて、自分なりの心象を語れたら、音楽やってない人ととかは、いきなりイケメンになる、、というところです。
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またこれはFから全音下がったメジャーコードです。
これは、ビートルズの記事でも触れていますし、不定調性論では基本的な「印象感」なのですが、Fから全音下がって、グッとくる感じが「FをIとしたVIIb感」と類似するものであると思います。
IIIb自体は静的に、確かに理屈の上では、Cmのダイアトニックコードなのですが、
何より
Fからガクンと全音下がった印象が、まるでナイアガラの滝にいきなり落っこちていくようなザブーン!!!という印象を与えてもいると思います。
この部分、
F |G |Am |G |
でも歌えます。また、
F |G |F |C7 |
でも歌えます。また、
F |G |Am |Em |
でも歌えます。
でも、印象がまるで緩くないですか?ダイナミックさはまるでなくなり、緊張感がなく、フツーに通り過ぎてしまう展開部になりませんか?
D#よく見つけたナーーーー!!!
ときっと見つけた自分を一晩中褒めたことでしょう笑。
歌詞の雰囲気に合いました。または、これを見つけてから、より歌詞の印象が深くなり、歌詞を書き変えたかもしれませんね。
みなさんの印象はそれぞれ違うかもしれませんが、私にはゾクっとくるコードです。
曲の雰囲気をどのように持っていくか、という例としても感動する曲ですね。
このIIIbの心象は、みなさんにはどう映るでしょうか。