参考
将来的に楽譜を読めるようにしたい!という学習者のための楽譜の読み方と、初見がある程度できるようにしたい、という方のための企画です。
学習期間は毎日20分で3か月から半年程度です。それだけで初見演奏で仕事ができるまでにはなるのは困難ですが、音楽の仕事をする上で過不足ない程度の読譜力は付きます。
楽器を演奏される方で、初見初心者の方、楽譜の読み方を覚えたい!というような方が対象です。
以下に示す方法を参考にして頂きながら、ご自身だけの資料を自分で作って、自分で書いて、覚えることをお薦めします。
<いきなり譜面を読む>
以下の譜面の左側の記号の呼び名と意味を覚えます。
まずは「ト音記号」です(上の譜例の左側の渦巻き記号)。譜面のこの渦巻きの記号、これが「ト音記号」です。この渦巻きの中心がソ=G音を表します。ハニホヘトのトのことです。これはまた後で出てきます。
<余談>
譜面の記号には他にもヘ音記号、ハ音記号など様々にあります。これは五本の線しかない五線譜の音域幅を有効に使うために考え出されました。「この位置をソ」にしておくと、まあ大体ちょうどいい音域の音楽が対象になります。この譜面を使わないと、五線譜の外にほとんどの音がはみ出してしまうような音域を用いるときはヘ音記号やハ音記号などその他の音部記号の譜面を用います。
この記号はアルファベットのGの文字をかたどったものです。そういわれると小文字のgに見えないこともありません。
まず覚えてもらいたい音は次の4つです。
この譜面の線と線の間の音はファ・ラ・ド・ミで、英語名にするとF・A・C・Eです。「顔」ですね。
これをピアノの鍵盤とギターのフレットにしてみます。まずはこの四つの音を覚えましょう。
では早速譜面を読んでみましょう。最初は声に出して「ファー・・・ド・・・ラ・・・」と音符を読むだけでいいです。
慣れてきたら、次にテンポ(リズム感)を付けます。
まず上の譜面の数字部分を読んでください。「イッチ! ニ! サン! シ!」という感じでリズミカルに。。これが「拍子(ひょうし=リズム)」です。ト音記号の右側に「C」という記号がありますね。これが「四分の四拍子=よんぶんのよんびょうし=4/4」です。この譜面に書かれた音符、みんな同じ形をしていますね(上下逆さまは関係ありません)。これらは全て「四分音符=しぶおんぷ」です。つまり「四分の四拍子」というのは四分音符が四つでひとまとまりを1小節とする、という意味です。
ワン、ツー、スリー、フォー
と言ったら、小節線で区切る、という意味です。テンポはいくつでもOKです。とにかく四つで区切ったら四拍子なのです。いずれ五拍子、七拍子とか色々出てくるのはその応用です。
Cは「common=一般的な」という意味で、音楽で最も一般的な拍子である4/4を表しています。
※音符の棒(ぼう=「符幹」)が五線譜のまんなか(第三線=五線の真ん中の線)上下で逆転する理由は、そうしないと棒の部分が上下に余分にはみ出てしまい、見にくいですし、上下の五線譜の音符とかぶったりしてしまうため行う「読みやすさのための行為」です。演奏者に間違いなく読んで欲しいと思ったら、気を使わなければなりません。汚い楽譜は汚い演奏を生みます。綺麗な楽譜は緻密な演奏を生みます。音符の表情が音楽に演奏を与えた時代の名残ですね(もちろん記譜の都合上ひっくりかえらない慣例もあります。この辺は経験で各自学んで言ってください。キーワードは「読みやすさ」です、ルールではありません)。
もう一度譜面を見てください。使用している音符はF,A,C,E音だけです。読むスピードは自由で構いませんので、ゆっくりゆっくり口に出して読んでみてください。一緒に楽器で弾けば、もう初見ですね。このとき、「1,2,3,4!」というリズムに出来るだけ合わせましょう。数字がつまらなければ、「やきにく!」でも「かつどん!」でも「こまざわ!」でもかまいません。とにかく四分の四拍子、四つで区切ってリズムを作る、という感覚を体にしみこませましょう。
なおメロディーはランダムで、わざと覚えにくくしてあります。本来の譜面はもうすこし分かりやすくなりますので、ご安心を。
では以下の譜面の初見にチャレンジ!
練習問題1
いかがでしょう。
早速次です。次は線上の音符を覚えましょう。
「味噌知れふぁ?」m( )m。ここには最初に出てきたト音記号のG音すなわちソの音が出てきます。
同じようにじっくり覚えてください。ではではいきなり練習問題です。譜面のパターンはさっきと同じです。
練習問題2
少しずつ慣れてきたら早く読んでみてください。また大切なのは常にリズムに乗ること!四分の四拍子は四文字の連打です!この一拍目と三拍目を「強拍」といい、二拍目と四拍目を「弱拍」といいます。これらを規則的に強弱を付けることで、リズムを作っていきます。
では今回次の譜面です。
これらは音楽表現は関係なく適当に並べた音符です。要領が分かってきたら、自分で必ず作成し、試してください。クリエイティブに学ぶ、これが一番の早道です。
練習問題3
<テンポについて>
譜例1 譜例2
一般の譜面の最初の部分に上のような記号を見たことがあるでしょう。これがその曲のテンポを表しています。「テンポ」とは曲の進行するスピードです。譜例1の60というのは1分間に四分音符を60回打つ速さ、という意味です。つまりちょうど時計の秒針と同じ速度でリズムを刻みます。いわゆるテンポ60というのは秒針の速さです。
ではテンポ120というのはどうでしょう。1分間に120回四分音符を打つわけですから、秒針が一回動く間に二回「ワン、ツー」と言っていくテンポです。
図示すると・・・、
となります。
もちろんテンポは曲により様々です。クラシックの時代はandanteやallegroといったかんじで、雰囲気で「ゆっくりと」「歩くぐらいの速さで」というだいたいのテンポ感の指示が書いてありました。まさに音楽的印象が問われるわけです。
現在はメトロノームといったものやリズムマシンといった機材によって簡単に全員が同一のテンポに合わせられるようになりました。この初見の練習もこういった機材にあわせながら徐々にテンポを上げていくと、良い練習になります。
普通の人が楽譜読めると、かっこいいヨ。
初見は朝夜の日課に
いきなり普通の譜読は無理です。
次のような勉強方法を1ヶ月、だまされたと思ってやってみてください。夜遅くなろうが、どんなに忙しかろうが、初見を志すならやってください。それぞれ10分もかかりませんし、身に付いたら一生離れません。きついのは最初だけです。
朝・・・夜のうちに五線譜と紙を用意しておきます。それを朝起きたら、ベッドから出る前に、顔を洗う前に上記のような練習問題のフォームで各自の学習段階に合わせた譜面を適当に作ります。
たとえば練習問題1を例にとれば、F,A,C,E音を四分音符だけ用いてランダムに書いておきます。16~32小節で良いでしょう。それで朝の作業は終わりです。
夜・・・寝る前ぎりぎりにピアノの前、ベッドでギターを持って朝書いた譜面を弾きます。初見ですね。おかしなフレーズかもしれませんが、これも初見です。1回だけ演奏します。気になったらもう一回だけ。最高でも3回だけでやめます。このとき読譜に集中することがカギです。いつまでたっても読まない、進まない、というのは初見の練習になりません。一気に読んでしまいましょう。音楽性とか演奏とかを考える余裕はありません。慣れるまではとにかく機械的に読むことに集中しましょう。ひたすら、ひたすらです。
そうすると脳は楽譜を読む神経を生活順位の上のほうに上げてくれるので、初見の脳が活発になります。
また、あまり時間をとりすぎると、生活に支障が出て、右脳も疲れ、長続きしないことがあります。自分のペースで、自分のやり方のアイディアを創造していってください。
<この作業が面白いと持ったら>
バイトの休憩中や電車の中で、バスの中で移動時間を利用して譜面を書いてしまえば、朝の時間を有効に利用できる!という人もいるでしょう。空いている時間を有効に使い、練習しましょう。真剣に1ヶ月もやれば、だれでも「やればできる!」と思いますヨ。
<英語名と日本名の対応>
C=ド D=レ E=ミ F=ファ G=ソ A=ラ B=シ です。ラの音(A)=440ヘルツという音が楽器の調律の基準になっている、という習慣からラの音がアルファベットの最初のAがあてがわれています。これをまず覚えてしまってください。
あとはC#=D♭、D#=E♭、E#=F、E=F♭、F#=G♭、G#=A♭、A#=B♭、B#=C、C♭=Bを覚えます。
E#=F、E=F♭、B#=C、C♭=Bがおかしな感じですが、これはピアノの鍵盤の構造から、このように約束されています。
ピアノは半音という単位で並んでいます。Cより半音高いのはC#=D♭の黒鍵盤であり、それより半音高いのはDの白鍵盤になります。つまりCからDは半音+半音=全音高いといえますね。このような構造を音名で表しているために、Eよりも半音高い音はE#ではなく、Fと表現するのが正しい、というか分かりやすい、と言えます。もちろん勉強していくとE#という表現をする時があります。
ではなぜEとFの間は半音で、CとDの間は全音なのでしょう。
これは音階論を勉強する必要が出てきます。興味のあることから、次の興味を見つけて独学していってください。学校が教えてくれるのを待つ必要はありません。
第二回はこちら。
==コーヒーブレイク〜M-Bankのロビーの話題から==
楽譜読むなら、タブレットでしょ。で、絶対スタンドがいる。
で携帯するならこれ。