セロニアス・モンクの不定調性進行分析
Monk's Mood / Thelonious Monk
メランコリーな作品です。
Thelonious Monk - Monk's Mood - YouTube
Fm7 Bb7(#11) CM7 |CM7 |
Dm7(b5) G7(#11,13) |DbM7 CM7 |
Bb7 A7(b13) |E7(b9) Eb7(#9) |
D7sus4 E7sus4 |D7sus4 Bb7(#11) |
Fm7 Bb7(#11) CM7 |CM7 |
Dm7(b5) G7(#11,13) |DbM7 CM7 |
Bb7 A7(b13) |E7(b9) Eb7(#9) |
Ab7(b9,b13) G7 |DbM7(#11) |
Bb/C A/C |Bb/C F#m7 |
F#m7 B7(b9,13) |E6 |Am7(b5) Ab7 G7sus4 Abdim7 |
Adim7 F7(#11,13) |F7sus4 Dbsus4/Bb |
D7sus4 Bb7(b9,#11) |
Fm7 Bb7(#11) CM7 |CM7 |
Dm7(b5) G7(#11,13) |DbM7 CM7 |
Bb7 A7(b13) |E7(b9) Eb7(#9) |
Ab7(b9,b13) G7 |DbM7(#11) |
このコードだけ弾いても、多分駄目ですよね。
動画の3:12ぐらいからコルトレーンが一緒に吹き始めるところからが分かりやすいかもしれません。
これもまさに進行感の連鎖、コルトレーンが進行感の猛者だったので、どんなコードがつながってもそこに音楽的文節を与えることができています。
このような特殊な音楽性がGiant Stepsにつながっていくのでしょうか。
この作品は57年、Giant Stepsが生み出される3年前です。
Fm7 Bb7(#11) CM7 |CM7 |Dm7(b5) G7(#11,13) |DbM7 CM7 |
Bb7 A7(b13) |E7(b9) Eb7(#9) |D7sus4 E7sus4 |D7sus4 Bb7(#11) |
最初の、Fm7-Bb7-CM7ですが、
Fm7-Bb7-EbM7-CM7と弾いてみてください。きれいに流れると思います。
これはEbメジャーキーの平行短調Cmを同主転調したCM7に向かわせるわけです。陰りが来てまた日が射す、と言った印象を与えます。
後半は、Bb7-A7-E7-Eb7という二重括弧がついたようなII-Vでメロディを作り出します。
それから続くD7sus4もE7sus4もCM7の変化系とすれば、先に現れたCM7のキーを匂わせています。
またBb7(#11)というのも、
Bb7(#11)=Bb,D,E,Ab,なのでC7(9,b13)的にも捉えられるので、続くFm7に何となく解決できるわけですね。
これもC7を使いたくないから、Bb7で弾いたというよりも、ちょっと変わったポジションでの好きな#11thを持つコードを弾いてFm7につなげてみたら、結構うまくつながる、と自分で納得すれば、ぜひ使ってみてください。
Bb/C A/C |Bb/C F#m7 |F#m7 B7(b9,13) |E6 |Am7(b5) Ab7 G7sus4 Abdim7 |
Adim7 F7(#11,13) |F7sus4 Dbsus4/Bb |D7sus4 Bb7(b9,#11) |
最初の分数コードももっと違う解釈をしているかもしれません。
Am7(b5)-Ab7-G7sus4-Abdim7という流れも、ポジショニング一つで生まれてきますので、コードネームを考えず、指を一つ二つ動かして雰囲気を作っていく、静進行的アプローチで作ることもできるでしょう。
こうした作風でアドリブをとるのは困難ですが、コルトレーンの解釈力でメランコリーなサウンドが作り出されていますね。
抽象的なサウンドとサウンドの間に日が射すようにII-Vが雰囲気を醸し出し、またくぐもっていく、という不定調性独特の陰影が良く出ている流れだと思います。
色々トライしてみてください。
7sus4でテーマを作ろう!
C7sus4-Ab7sus4-Bb7sus4-Db7sus4
Ab7sus4-B7sus4-Bb7sus4-A7sus4:|
Monk's Moodのようなテンポ感で、1小節に一つとして弾いてみてください。
テーマメロディができますか??
この音源、c4の音あたりのチューニングが微妙ですが、なんとなくこれがまたそそるものがありますね。
この「モンクの雰囲気」、よく知らないで書いているのですが、これまで書いてきたモンクのジャズ和音に対する感覚を「俺はさぁ、こういうふうに感じてるんだよ、おまえらは感じねぇんか?」
みたいに言っているように聞こえてきます。
彼もまた、名前の付いていない和音の流れに鉱脈を発見した一人であると言えるのではないでしょうか。