音楽教室運営奮闘記

不定調性論からの展開紀行~音楽と教育と経営と健康と

Outside My Window /Uptight Everythings Alright / Stevie Wonder

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事例12;Uptight(Everything's Alright) 

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D |C/D |
=degree= (Key=D)
I |VII♭/I |


曲全体を通して、この二つのコード感でできている曲。

スティービーにはこうした徹底したシンプルな曲が何曲かあります。

複雑に転調を繰り返す曲、との対比として意図して作られているようにも思われるし、彼のもう一つの音楽構成技術である音楽的なクオリアによる旋律的指向性に特化して作られたような曲ということも言えます。

音楽理論的に作った作品と、音楽的なクオリアに委ねて作った曲がしっかり両立している感じです。

セッションしているだけで曲ができてしまうタイプには良くある作曲技法で、サザンオールスターズの桑田氏も、適当にメロディと展開だけ決めてバンドで適当な英語で歌い出して、それがガツンとくる言葉=英語的な日本語になっていく、というような作曲法が自伝の中で紹介されています。


これは鼻歌だけで曲の最初から最後まである程度作れてしまうような場合は、和声によるサポートはほとんど必要がないため(和音を弾きながらスキャット的に作る)、リズムとグルーヴ(ノリの感じ)をいかに用いるかだけのアレンジになります。

 

同曲は、ホーンセクションのメロディが印象的。

彼にとっての最初のメガヒットナンバー、彼の名前もクレジットされてます。

彼が作家としても認められた最初の作品。

 

そしてここから彼は大学の作曲課程に入学して自立のための勉強をすることになります。

このあたりが彼のチームの優秀なところ。

彼をスティービー・ワンダーに育ててあげた功績があります。

 

目のみえない彼の一般大学での勉強は苦労を極めたことでしょう(大学進学についての出典は、三浦氏の著書より)。

 

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Outside My Window

<スティービー・ワンダーレポートより抜粋>

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Aメロ

B♭m7 |Am7 |A♭m7 |D♭7 |

B♭m7 |Am7 |A♭m7 |D♭7 |

Bメロ

BM7  |BM7 |B♭m7 |B♭m7 |

A7 |A7  |A♭m7  |Bm7 |

AM7  |AM7 |A♭m7 |E 7 |

A♭m7 |D♭7  |G♭  |G♭ |

Aメロの特殊な進行は、サビの最後のG♭によって単純にG♭メジャーキーのIIIm7-III♭m7-IIm7という流れを拡大して用いているだけである、ということが分かる。しかしこのマイナーセブンスの平行移動を用いてAメロを作ってしまうあたりは、もはやあらゆる音楽的常識にとらわれずに作曲しているスティービーの楽曲らしさといえる。Bメロは探るように、先にも記載したクリシェ的変化で音楽的脈絡を紡いでいる。

こうしてみてくると、初期のスティービーにはブラックミュージックのアーティストとしての誇りと会社の方向性などから、いわゆる“ノリの良い音楽”を生み出していたが、そこから進化していき、自分なりの音楽性が、いわゆるノリだけの音楽だけにとどまらず、他者と自分が異なること、自分が自分らしくあることのできる方法、そしてそれを尊ぶ仲間との絆の中でこうした、構造自体がスティービー・ワンダーそのもの(人種やらジャンルではない彼そのもの)というような音楽に構築されていったのではないだろうか。


事例53;Never Dreamed You'd Leave In Summer

(CDタイム 0:11-)
Aメロ
C CM7|FM7 |C CM7 |FM7 |
C CM7|FM7 |D/A |D/A G/A |
Bメロ
Dm7 |A7 |Dm7 |Dm7 /C# /C /B |
B♭ |A7 |G#7(♭5) |Dm7/G |〜
Aメロ
C CM7|FM7 |C CM7 |FM7 |
C CM7|FM7 |D/A |D/A G/A |
Bメロ
Dm7 |A7 |Dm7 |Dm7 /C# /C /B |
B♭ |A7 |G#7(♭5) |Dm7/G G/A |〜
A'メロ
D DM7|GM7 |D DM7 |GM7 |
D DM7|GM7 |E/B |E/B A/B |
Bメロも全音上がったまま〜
=degree=
Aメロ key=C
I IM7|IVM7 |I IM7 |IVM7 |
I IM7|IVM7 |II/VI |II/VI V/VI |
Bメロ
IIm7 |VI7 |IIm7 |IIm7 /I# /I /VII |
VII♭ |VI7 |V#7(♭5) |IIm7/V |〜


Aメロの三段目FM7〜Dへの陽転、BメロへのDマイナーキーのような陰り、後半への半音下降のベースラインからの同主短調VII♭そして又半音下降を用いて(後曲で、この半音感については触れる)えも言われぬ悲しみのようなG#7(♭5)へのドラマチックな季節の色合い。

 

転調も全音上げ、ギリギリの高さで切なく歌われる。

歌詞についての逸話は有名であるが、ここでは和声から感じられる風景を皆様が自由に感じ、その感覚そのものを自曲に活かして頂きたい。


私個人としては、|Dm7 /C# /C /B |の部分のベースラインの下降があるのとないのとではこの曲の表情が全く違うように感じた。

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こうしたアプローチの問題はスティービーレポートで述べている通り、盲目である彼がクリシェとともに発見した自身の表現方法として取り入れている、と考えている。

 

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