音楽教室運営奮闘記

音楽と教育と経営の雑記ブログ~不定調性論からの展開

Outside My Window /Uptight Everythings Alright他 / Stevie Wonder

83, Uptight Everythings Alright/You Havent Done Nothing / Stevie Wonder

You Havent Done Nothing

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Stevie Wonder You Haven't Done Nothin' YouTube

Aメロ
Eb7 /Bb /Db |

Bメロ
Ab7 G7-Gb7|F7 |A7 |Bb7 |Eb7 D7-Db7-C7-B7|Bb7 |
Eb7 |

Aメロは1コードのようにも聴こえますが、いわゆる機能和声で解釈するとワンコードになりますが、不定調性で言う「四度領域の概念」を用いると、
Ebu4 Bbu4 Dbu4 |
という三つの領域が存在しています。


ここではベースラインがアクセントと節回しを作っているので、1コードに聴こえます。

ロックギターのパワーコードなどが同様です。
三度がない和音、というとどこか欠損のある和音のように聴こえますが、三度を入れると違和感がある、というあの感覚です。

 

これは決して欠損があるのではなく、元々音楽の和声の流れに用いている「和音の解像度」が荒い音楽なんです、と理解していくと、ブルースの感覚も新たに捉えられるのではないでしょうか??詳しくは拙論にて。

 
事例12;Uptight(Everything's Alright) 

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D |C/D |
=degree= (Key=D)
I |VII♭/I |


曲全体を通して、この二つのコード感でできている曲である。単純なコード進行の曲、シンプルな構造曲としての事例として活用できるだろう。スティービーにはこうした徹底したシンプルな曲が何曲かこのレポートで出てくる。

複雑に転調を繰り返す曲、との対比として意図して作られているようにも思われるし、彼のもう一つの音楽構成技術である音楽的なクオリアによる旋律的指向性に特化して作られたような曲ということも言える。

セッションしているだけで曲ができてしまうタイプには良くある作曲技法である。サザンオールスターズの桑田氏も、適当にメロディと展開だけ決めてバンドで適当な英語で歌い出して、それがガツンとくる言葉=英語的な日本語になっていく、というような作曲法が自伝の中で紹介されている。


これは鼻歌だけで曲の最初から最後まである程度作れてしまうような場合は、和声によるサポートはほとんど必要がないため(和音を弾きながらスキャット的に作る)、リズムとグルーヴをいかに用いるかだけのアレンジになる。

そう簡単にはできないのだが。

同曲は、ホーンセクションのメロディが印象的である。

こうした曲が同時代には多数あったであろうから、そうした曲を作りたいと考えていたとしても不思議ではない。彼にとっての最初のメガヒットナンバーである。彼の名前もクレジットされている。


この作品は彼が作家としても認められた最初の作品となる。

そしてここから彼は大学の作曲課程に入学して自立のための勉強をすることになる。このあたりが彼のチームの優秀なところである。彼のわがままに付き合いかねて見は成す、ということをしなかったのはチーム(周囲)が優秀であるからであり、彼をスティービー・ワンダーに育ててあげた功績であると思う。

目のみえない彼の一般大学での勉強は苦労を極めたことだろう(大学進学についての出典は、三浦氏の著書より)。

 

 

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79, Outside My Window / Stevie Wonder

 

<スティービー・ワンダーレポートより抜粋>

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Aメロ

B♭m7 |Am7 |A♭m7 |D♭7 |

B♭m7 |Am7 |A♭m7 |D♭7 |

Bメロ

BM7  |BM7 |B♭m7 |B♭m7 |

A7 |A7  |A♭m7  |Bm7 |

AM7  |AM7 |A♭m7 |E 7 |

A♭m7 |D♭7  |G♭  |G♭ |

Aメロの特殊な進行は、サビの最後のG♭によって単純にG♭メジャーキーのIIIm7-III♭m7-IIm7という流れを拡大して用いているだけである、ということが分かる。しかしこのマイナーセブンスの平行移動を用いてAメロを作ってしまうあたりは、もはやあらゆる音楽的常識にとらわれずに作曲しているスティービーの楽曲らしさといえる。Bメロは探るように、先にも記載したクリシェ的変化で音楽的脈絡を紡いでいる。

こうしてみてくると、初期のスティービーにはブラックミュージックのアーティストとしての誇りと会社の方向性などから、いわゆる“ノリの良い音楽”を生み出していたが、そこから進化していき、自分なりの音楽性が、いわゆるノリだけの音楽だけにとどまらず、他者と自分が異なること、自分が自分らしくあることのできる方法、そしてそれを尊ぶ仲間との絆の中でこうした、構造自体がスティービー・ワンダーそのもの(人種やらジャンルではない彼そのもの)というような音楽に構築されていったのではないだろうか。


事例53;Never Dreamed You'd Leave In Summer (CDタイム 0:11-)
Aメロ
C CM7|FM7 |C CM7 |FM7 |
C CM7|FM7 |D/A |D/A G/A |
Bメロ
Dm7 |A7 |Dm7 |Dm7 /C# /C /B |
B♭ |A7 |G#7(♭5) |Dm7/G |〜
Aメロ
C CM7|FM7 |C CM7 |FM7 |
C CM7|FM7 |D/A |D/A G/A |
Bメロ
Dm7 |A7 |Dm7 |Dm7 /C# /C /B |
B♭ |A7 |G#7(♭5) |Dm7/G G/A |〜
A'メロ
D DM7|GM7 |D DM7 |GM7 |
D DM7|GM7 |E/B |E/B A/B |
Bメロも全音上がったまま〜
=degree=
Aメロ key=C
I IM7|IVM7 |I IM7 |IVM7 |
I IM7|IVM7 |II/VI |II/VI V/VI |
Bメロ
IIm7 |VI7 |IIm7 |IIm7 /I# /I /VII |
VII♭ |VI7 |V#7(♭5) |IIm7/V |〜


Aメロの三段目FM7〜Dへの陽転、BメロへのDマイナーキーのような陰り、後半への半音下降のベースラインからの同主短調VII♭そして又半音下降を用いて(後曲で、この半音感については触れる)えも言われぬ悲しみのようなG#7(♭5)へのドラマチックな季節の色合い。

 

転調も全音上げ、ギリギリの高さで切なく歌われる。

歌詞についての逸話は有名であるが、ここでは和声から感じられる風景を皆様が自由に感じ、その感覚そのものを自曲に活かして頂きたい。


私個人としては、|Dm7 /C# /C /B |の部分のベースラインの下降があるのとないのとではこの曲の表情が全く違うように感じた。

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こうしたアプローチの問題はスティービーレポートで述べている通り、盲目である彼がクリシェとともに発見した自身の表現方法として取り入れている、と考えている。

 

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