音楽教室運営奮闘記

音楽と教育と経営の雑記ブログ~不定調性論からの展開

m7だけの曲。1コードだけの曲。ブルーじゃないブルース。 / Steely Dan

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スティーリー・ダンの不定調性進行分析

Green Earrings / Steely Dan


 
steely dan - green earrings

 

~歌入りから~
Am7 |% |% |% |% |% |% |% |
Gm7 |Am7 |Gm7-Am7-A#m7 |Bm7 |
A#m7 |F#m7-Em7-|Am7 |% |% ||

だいたいこんな感じでしょうか。
歌のパートだけにしておきます。

 

メジャートライアドや7thコードだけでできている曲はありますが、m7だけの曲というのはなかなかありません。

 

ではこれはどういう作曲の書法になるのでしょうか。
不定調性論では、これは「単一和声単位による作曲」となります。
平たく言うと、同じコードタイプを連鎖させて「音楽的脈絡」を無理くり作る、というコンセプトの作曲法です。ゲーム的です。

 

同曲Am7-Gm7のところはIIIm7-IIm7となります。なんとなく聴いたことのあるような流れを感じる方もおられるでしょう。

 

そしてA#m7も,IVm7と解釈できるのでSDmのように響きます。

こうやって機能和声の影をにじませておいて、聴き手に感覚を慣れさせながら、Bm7でノックアウトさせます。え?どこ?となりますね。

 

しかしF#m7はAメジャーキーのVIm、EmはVmですから、近親する和音のようにも思えます。

こう言った脈絡が思い浮かぶ人は、この技法サクっと参考にできるでしょう。

 

「進行感のある慣用句的コード進行」を連鎖させて新しい流れを作るんです。

   

   

 

 

Show Biz Kids / Steely Dan


steely dan - show biz kids

この曲は逆に1コードです。
Dm7だけです。

コードは変化していきませんが、人の印象は変化していく、と考えてみましょう。
ワンコードなんだけど、上部に乗る楽器やメロディにより印象(クオリア)が変化し、展開感を感じる、としてみましょう。

 

例えば次のような印象を当てはめてみます。
イントロ--前半「ブルージー」~後半「倦怠感のある切迫」
Aメロ--「語り入り」
A2メロ--「上昇と蒸発」
Aメロ2--「混沌の気分で戻る」
A2メロ2--「頻繁な思惑」
Aメロ3--「自信の無い信念」
ギターソロパート--「押し黙る中で沸く説得力」
Aメロ4--「それでも存在するカッコよさ」
A2メロ3--「夕暮れでも鳴り止まないそれ」
エンディング--「遠ざかるパレード」

 

みたいな。例えばです。

 

これも一つの方法ですが、こうした印象をDm7に集約して表記してみましょう。

ポジティブ+とネガティブ-のイメージに二分してみます。

ポジティブ度
+++
++
+
flat(無表記)
-
--
---
ネガティブ度

イントロ 前半+~-
Aメロ +
A2メロ++
Aメロ2 -
A2メロ2 -
Aメロ3 --
ギターソロパート -
Aメロ4 ++
A2メロ3 +
エンディング -

これも今日の気分です。
これをコードに全て書き入れると、

イントロ 前半 +Dm7 |~| -Dm7 |~
Aメロ +Dm7|~
A2メロ ++Dm7|~
Aメロ2 -Dm7|~
A2メロ2 -Dm7|~
Aメロ3 --Dm7|~
ギターソロパート -Dm7|~
Aメロ4 ++Dm7|~
A2メロ3 +Dm7|~
エンディング -Dm7|~

となります。


こうやってワンコード時の印象変化を記号化します。
ゆえに全て異なるDm7なのだ、とかって理解する繊細さを学習時には持ってみましょう。あとあと便利です。

 

たとえば、
「よし、今日はE7一発でセッションしよう。」
というとき、
「では最初の八小節は、明るく元気に弾いて?」
というとみんなアクセントをつけたり、切れ味を良くしたり、音圧が上がったりするでしょう。また、
「では後半の八小節は、スゴく落ち込んで弾いてみて?」
となれば、みんな肩を落として、オドロオドロ弾くでしょう。

 

そういうことを重要視することが結構音楽では、感性を育ててくれますよ。

 

Chain Lightning / Steely Dan


steely dan - chain lightning

A |% |% |% |C |% |G |% |D |E |A |% |

またもやぼーっと聴いているとただのブルースかと思えるようなシャッフルです。

これもブルーじゃないブルースですね。

 

Aをセンターコードとします。不定調性の読解方法ですが、
A△に対して、結果的に配置されたコードの領域的位置関係は、
C△=基音側表面領域
G△=上方側裏面領域
D△=下方表面領域
E△=上方表面領域
という配置というような理解をします。

このような配置になる表を「十二音連関表」といいます。
E△-G△-Bb△-Cb△
A△-C△-Eb△-Gb△
D△-F△-Ab△-B△
シェーンベルクも同じようなシステムを作っています。

 

別にどうでもいいですが、12オンを自由に使うために12音の関連性を自分でしっかり作るんです。そうすることで「このコードはこっちに行ってはいけない」という無意識のうちに作ってしまうような制限を作らなくて済みます。

 

この曲のように、メジャーコードを連続させる曲はビートルズにも沢山ありましたね。これらはその応用です。不定調性進行を使いこなしているバンドだと思います。

 

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