音楽教室運営奮闘記

音楽と教育と経営の雑記ブログ~不定調性論からの展開

m7だけの曲。1コードだけの曲。ブルーじゃないブルース。 / Steely Dan★★★

スティーリー・ダンの不定調性進行分析

42, Green Earrings / Steely Dan


 
steely dan - green earrings

 

~歌入りから~
Am7 |% |% |% |% |% |% |% |
Gm7 |Am7 |Gm7-Am7-A#m7 |Bm7 |
A#m7 |F#m7-Em7-|Am7 |% |% ||

だいたいこんな感じでしょうか。
歌のパートだけにしておきます。

インスト部分では何でもできてしまうので。

 

メジャートライアドや7thコードだけでできている曲はありますが、m7だけの曲というのはなかなかありません。珍しいものを作りたいものです(作れる人にとっては)。

 

ではこれはどういう作曲の書法になるのでしょうか。
不定調性論では、これは「単一和声単位による作曲」となります。
平たく言うと、同じコードタイプを連鎖させて「音楽的脈絡」を無理くり作る、というコンセプトの作曲法です。

 

同曲Am7-Gm7のところはIIIm7-IIm7となります。なんとなく聴いたことのあるような流れを感じる方もおられるでしょう。

 

そしてA#m7も,IVm7と解釈できるのでSDmのように響きます。こうやって機能和声の影をにじませておいて、聴き手に感覚を慣れさせながら、Bm7でノックアウトさせます。え?どこ?となりますね。

 

しかしF#m7はAメジャーキーのVIm、EmはVmですから、近親する和音のようにも思えますが、そう言った理屈だけで、脈絡まで思い浮かぶ人は、さくっとまねていけるでしょう。

 

「空は青い」
ということに対する文章の意味を文法的に理解するのが機能和声の分析方法、青い空を実際心に描けることを優先するのが不定調性的な発想です。

でも皆さん普通にできますでしょ?

 

余りに普通にできすぎて、機能和声の分析方法に走っていませんか?

 

でも曲を創るとき、最終的な判断を下すとき、一気にやり上げる時、理屈では考えないでしょう?

それまでの事を一気に押し出すがごとく自分の感性をむき出しにして作りますでしょ?

 

それです。。それ。それを方法論として学習して、それと機能和声を両方勉強したら、世間的には音大とかでガッツリ留学して勉強すれば「ああ、ちゃんと勉強してるねぇ」って言ってもらえるし、個人では不定調性的な発想で楽しく、自分剥き出しで作ることができるからノンストレスだし、で、できたら「大学での留学の経験が活きました!!」って言えるし笑、いいことずくめじゃないか。

みたいたのが拙論がビジネスになっているところです。まあそれを作った張本人はブログの更新に追われて全く作曲できていないっていうオチはありますが。でも皆さんにもっと自由な気持ちで音楽を仕事にしていただきたいので頑張って更新します。

 

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36, Show Biz Kids / Steely Dan


steely dan - show biz kids

この曲は1コードです。
Dm7だけです。

コードは変化していきませんが、人の印象は変化していく、と考えてみましょう。
ワンコードなんだけど、上部に乗る楽器やメロディにより印象(クオリア)が変化し、展開感を感じる、としてみましょう。

 

例えば次のような印象を当てはめてみます。
イントロ--前半「ブルージー」~後半「倦怠感のある切迫」
Aメロ--「語り入り」
A2メロ--「上昇と蒸発」
Aメロ2--「混沌の気分で戻る」
A2メロ2--「頻繁な思惑」
Aメロ3--「自信の無い信念」
ギターソロパート--「押し黙る中で沸く説得力」
Aメロ4--「それでも存在するカッコよさ」
A2メロ3--「夕暮れでも鳴り止まないそれ」
エンディング--「遠ざかるパレード」

 

みたいな。例えばです。

これも一つの方法ですが、こうした印象をDm7に集約することができます。これをポジティブ+とネガティブ-のイメージに二分してみます。

ポジティブ度
+++
++
+
flat(無表記)
-
--
---
ネガティブ度

イントロ 前半+~-
Aメロ +
A2メロ++
Aメロ2 -
A2メロ2 -
Aメロ3 --
ギターソロパート -
Aメロ4 ++
A2メロ3 +
エンディング -

これも今日の気分です。
これをコードに全て書き入れると、

イントロ 前半 +Dm7 |~| -Dm7 |~
Aメロ +Dm7|~
A2メロ ++Dm7|~
Aメロ2 -Dm7|~
A2メロ2 -Dm7|~
Aメロ3 --Dm7|~
ギターソロパート -Dm7|~
Aメロ4 ++Dm7|~
A2メロ3 +Dm7|~
エンディング -Dm7|~

となります。


こうやってワンコード時の印象変化を記号化します。
ゆえに全て異なるDm7なのだ、と言って良いのではないでしょうか。

 

たとえば、
「よし、今日はE7一発でセッションしよう。」
というとき、
「では最初の八小節は、明るく元気に弾いて?」
というとみんなアクセントをつけたり、切れ味を良くしたり、音圧が上がったりするでしょう。また、
「では後半の八小節は、スゴく落ち込んで弾いてみて?」
となれば、みんな肩を落として、オドロオドロ弾くでしょう。

 

そういうことを重要視することが結構音楽では、感性を育ててくれますよ。

 

35, Chain Lightning / Steely Dan


steely dan - chain lightning

A |% |% |% |C |% |G |% |D |E |A |% |

ぼーっと聴いているとただのブルースかと思えるようなシャッフルです。

これもブルーじゃないブルースですね。

 

Aをセンターコードとします。
A△に対して、結果的に配置されたコードの領域的位置関係は、
C△=基音側表面領域
G△=上方側裏面領域
D△=下方表面領域
E△=上方表面領域
という配置になります。このような配置になる表を「十二音連関表」といいます。
E△-G△-Bb△-Cb△
A△-C△-Eb△-Gb△
D△-F△-Ab△-B△
シェーンベルクも同じようなシステムを作っています。

まあこんなのはどうでもいいです。機能和声でキーがどうの、ブルースからの借用がどうの、って言う話と同じです。

問題はそれらが繋がった時、あなたが音楽を感じるかどうか、だけです。

でもある程度は訓練が必要なので、ある程度「機能和声に疲弊する経験」が必要かもしれません。人は渇望しないと次を求めないので。

 

この曲のように、メジャーコードを連続させる曲はビートルズにも沢山ありましたので、もはや一つの思考形式となっていると思いますが、学校ではどの段階で教えるか、いまだに迷っておられるでしょう。二ヒヒ。

 

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