2017.8.17→2020.9.6(更新)
若かりしユーミンのコード進行に目覚めるきっかけともなった1曲。
当たり前のことなんですが、改めてそれを気づかせてくれる楽曲なので。
主要コード進行です。
Bm7 |Bb7 |Am7(11) |Ab7(b5) |
Bm7 |Bb7 |Am7(11) |Ab7(b5) |
Dm7(11) |Db7(b5) |CM7 |F(9) |
Bm7 Bb7 |Am7(11) D7(9) |Ab7(b5) |G6 |
Cm7 |F7 |BbM7 Eb7 |BbM7 Eb7 |
Bbm7 |Eb7 |AbM7 Db7 |Am7 D7 |
Bm7 |Bb7 |Am7(11) |Ab7(b5) |
Bm7 |Bb7 |Am7(11) |Ab7(b5) ||
Dm7(11) |Db7(b5) |CM7 |F(9) |
Bb7(13) |A7 |AbM7 |GbM7 |
アントニオ・カルロス・ジョビン one note samba(amazonに飛びます)
曲名のとおり、メロディを主要な一音で固定する、というコンセプトで構成されています。
======
和音は低音に重心がある、と初期に学習します。
でもそれならば、なぜメロディは高音にあるのでしょう。一番耳につく音は「反対側の重心」と言えないでしょうか。
西洋音楽文化圏でその商業音楽に親しむ人は高音のメロディと低音のベースにそれぞれ違った重心を意識の上で置くことができます。
生物学が立証、バンドで最重要なパートはベースだった | ギズモード・ジャパン
上記では、脳が低音のリズムを捉えやすいから、という研究結果を報告していますね。
同曲は繰り返される同音に意識を集中させることで、低音の進行をマスキングしたような状態を作ってくれます。
不定調性論では従来の低音優先の考え方を発展させて「低音の安定」と「高音の安定」の二極の中心を設けられるようにしました(内声を重心にすることもできます)。
音楽に様々な動線が展開されているからですね。
例えば和音の転回形。
"基音が低音になくても和音は成り立つ"
|:C G/B |Bb Bb/A |Ab Eb/G |Dm7 G7 :|
といった進行に美しさを感じる人は、転回形の和音が独自に持つ和音の美しさを理解している、ということです。
これは、
G/B ≠ G
である、ことを確認するわけです。構成音が同じだから一緒、という和声学的な合理性と実際の音楽を一緒にしてはいけません。
G/B = G
である同時に、情動的には
G/B ≠ (ヒトシクナイ)G
という矛盾を頭の中で成立させておけば良いわけです。
不定調性論はこうした矛盾を認めることで成り立ってしまう不思議な意識の世界を受け入れます。
和音はどの楽器で、どの流れで、どんな長さで、強さで、雰囲気で鳴らされるかで当然全て異なります。構成音が同じ、という記号だけでは計りきれない、ということも思い出せるでしょう。
ジャズにおいては、ベースラインが4ビートで経過音を伴い、低音域で激しく動きますね。それでも音楽は安定していると感じるでしょう。
だんだん音楽への先入観みたいなものが解放されてきましたか?
ex.1
|:C B7(#9) |Bbm7(b5) A7(b13) |AbM7 Gm7(9) |
F#m7(11) FM7 |E7(b13) Ebm7(b5,b13) |
DM7 DbM7(#11) |Csus4 Bm7(11) |Bb7 Am7 |
コード音源はこちら。
このコード一つ一つにメロディを
c-d-e-f-g-a-b-c-c-b-a-g-f-e-d-c
とつけてみてください。
「スラントライン」という理解をされている方もおられるでしょう。
ex.2
Dm7(11) Eb7 |C |(topをgに固定)
や
FM7 EbM7(#11) |CM7(13) |(topをaに固定)
などで、変わった終止進行を作ることができます。
下記ページで流れを組み込んだコード進行を作りました。
音楽におけるメロディ、ベースラインて、全てがそれぞれの音域における"旋律"なんですね。生演奏のアレンジをするときは、全ての楽器の旋律を「弾いていてクリエイティブな」アレンジにすることが求められます。
二次的な楽器だから、繰り返しでいいや、なんて思っていると、楽譜を渡されたプレイヤーはすぐ感じます。そうすると演奏も「自分は」どうせ二次的だよ」的な演奏をされてしまいます。
作曲するのも人、演奏するのも人、だからこそ生まれるエキサイティングなアレンジはエキサイティングな演奏を生みます。
AIにはまだできないところですね。
不定調性論もその感情が関わる部分を最も大切にして音楽を考えます。
One Note Sambaみたいな和声進行を不定調性進行と当ブログでは呼んでいます。
topicimage