音楽教室運営奮闘記

音楽と教育と経営の雑記ブログ~不定調性論からの展開

スティービー技法の集大成;80, Overjoyed / Stevie Wonder

スティービー・ワンダーの不定調性進行分析

80, Overjoyed / Stevie Wonder

 

<スティービー・ワンダーレポートより展開>

www.youtube.com

 

<スティービー・レポートより>

事例104;Overjoyed(CDタイム 0:00)  
イントロ
D♭6 C7 |BM7 C7 |D♭6 C7 |BM7 B♭7 |

Aメロ
E♭ |Cm7 |Fm7 |B♭7 |
E♭M7 |Cm7 |Dm7 |G7 |
CM7 |GM7 |Cm7 F7 |B♭7 |×2

サビ
A♭M7 |Gm7(E♭M7) |Fm7 B♭7 |B♭m7/D♭ C7 |
B♭M7 |Am7 A♭7(13) |Fm7 |B♭7 |

サビ2
A♭M7 |Gm7(E♭M7) |Fm7 B♭7 |B♭m7/D♭ C7 |
B♭M7 |Am7 A♭7(13) |Fm7 |B♭7 |C7sus4 |C7 |
B♭M7 |Am7(FM7) |Gm7 C7 |Cm7/E♭ F7 |
CM7 |Bm7 B♭7(13) |Gm7 |C7 |

FM7 |F#M7 FM7|EM7 |E7 B♭7 |

E♭M7 |


ここまでスティービーの全曲のコードの骨格構造を眺めきたうえで、改めてこの名曲を今みてみると、これまでの和声の流れにおいて十分に咀嚼されたうえで生まれた楽曲のように感じるのではないだろうか。


キーはE♭で、ここでもやはり彼が、鍵盤を見つける、という目的にふさわしいキーで始まっている。

 

I-VI-II-Vときて、7-8小節で変化がつく。VIIm7-III7と経て、VIM7へと進行する。

 

いわゆる平行短調の同主長調の主和音への進行といえるが、これまでもこうした陽転は彼の得意としてきた手法である。というよりも、Cm7→Dm7への変化感がドラマチックである。

 

ここからがまたダイナミックである。

CM7をIV7扱いして、IM7-IM7への帰着感を持ってきて、そのあとIVM7→IVm7への変化感をそのまま、元のキーのII-Vにしているのである。

 

これはつじつま合わせ(言葉が悪いが)を得意とするスティービーのこれまでの進行パターンから見てもピカイチの上手さがある。

 

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そこからサビへは、IVM7よりスタートする流れを作ろうとしている。

 

しかしここでもB♭7-B♭m7を用いている。つまりV7-Vm7という変則技であり、本来のキーのV7をサブドミナントマイナー進行させるがごとく用いている。これもコード機能に縛られていたら出てこない発想といえるのではないだろうか。

 

そして1サビの最後のA♭7 |Fm7 |B♭7 である。

緻密にA♭7まで来て、いきなり元キーのII-Vを用いている。それもメロディがうまく二つのコードをつないでいるので、つながっているが、これを皆さんアカペラで歌ってみてほしい。

この最後のところでキーがずれる人もたくさんいるだろう。

 

A♭7 |Gm7 |C7 |という感じで流れてしまう方もおられるのではないだろうか。

このあたりの仕掛けが、これまでの長いスティービーのキャリアの盤石さから生まれたものであると感じずにはいられない(いきなりこの進行感を使うのには抵抗がないだろうか)。

 

曲後半の転調も、テクニカルというよりは、歌唱の正確さを活かしている。
このキャリアの時点で、その魅力が120%発揮された作品になっているのではないか。

 

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