レポートの目次はここから、
1973年のアルバム「Innervisions」からの一曲です。
イントロe♭-g♭-a♭のベースラインが印象的です。
この曲も、旋法的楽曲と感じます。
つまりコードで作らずメロディの流れを複数被せて作ってる感じ、です。
スティーブ本人の多重録音だそうです。
このリフ部分、Ebm(11)みたいに書くのでしょうか?
それともEbm Gb Ab |とするのでしょうか?
いや、曲がブルージーだからひとまとめにしてEb7(#9)でしょうか。
コードでまとめようとすると変にまどろこしい表記になる曲、があります。
演奏した感じでは、Ebm7が無難かな?
でもマイナーコード一発というほど「短調」という感じがしません。ポジティブで、少し攻撃的で、つまり、ロックでファンクでカッコいい。
「コード表記」は、和声の「還元」にあたるので、音楽的に常にそれが出来なければ不十分である、ということにはなりません。"小説のあらすじ"みたいなものです。
このイントロ「コードが乗らない部分=いちいち乗せないようなフレーズ」が醸し出す印象に注目しましょう。
不定調性論では、
| Ebm Gb Ab |部分は、
Ebm7 Gbu4 Abu4 |と表記します。
これは、
Gbu4=g♭、d♭、f
Abu4=a♭、e♭、g♭
です。四度領域和音と言います。
三度を用いない和音の概念表記です。
詳細は下記などをご参照に。
2コーラスの“power”のメロディのみM3rdを歌っていますね。そこだけE7(#9)またはEm7(10)になります。ここもEu4として、三度が自由に動けるコードを弾く、としておくと四度領域の考え方が活きます。
展開部は、0:24からは、またE♭マイナーペンタのフレーズがきます。
ここのコードもジャズ理論的に表記すると、
A7 |E7 |
でしょうか?または、
A7sus4 |E7(#9) |
などの解釈もあるでしょう。
この部分も
Au4 |Eu4 |
と表記できます。
これで調がどうとかメジャーやマイナーという考え方ではない価値観で、このリフを捉えることができます。
つまりA7omit3、E7omit3という和音です。しかしこのomitで表現すると、いかにも三度が欠けた、中途半端な和音だ、というように見えてしまいます。
三度が曖昧な和音なのではなく、もともと三度の取り決めのない和音(必要のない領域にある和音=四度領域和音)を設けます。
三度のない(混合された)和音の存在を皆さんも独自に探ってみてください。