音楽教室運営奮闘記

不定調性論からの展開紀行~音楽と教育と経営と健康と

三度のない和音の存在をさぐる;Higher Ground

レポートの目次はここから、

スティービー・ワンダー楽曲研究

1973年のアルバム「Innervisions」からの一曲です。

 

open.spotify.com

 

 

 


イントロe♭-g♭-a♭のベースラインが印象的です。


この曲も、旋法的楽曲と感じます。

つまりコードで作らずメロディの流れを複数被せて作ってる感じ、です。
スティーブ本人の多重録音だそうです。

 

このリフ部分、Ebm(11)みたいに書くのでしょうか?
それともEbm Gb Ab |とするのでしょうか?
いや、曲がブルージーだからひとまとめにしてEb7(#9)でしょうか。

コードでまとめようとすると変にまどろこしい表記になる曲、があります。 

演奏した感じでは、Ebm7が無難かな?



でもマイナーコード一発というほど「短調」という感じがしません。ポジティブで、少し攻撃的で、つまり、ロックでファンクでカッコいい。

 

「コード表記」は、和声の「還元」にあたるので、音楽的に常にそれが出来なければ不十分である、ということにはなりません。"小説のあらすじ"みたいなものです。

 

このイントロ「コードが乗らない部分=いちいち乗せないようなフレーズ」が醸し出す印象に注目しましょう。

 

不定調性論では、

| Ebm Gb Ab |部分は、
Ebm7 Gbu4 Abu4 |と表記します。

これは、

Gbu4=g♭、d♭、f
Abu4=a♭、e♭、g♭

です。四度領域和音と言います。

三度を用いない和音の概念表記です。


詳細は下記などをご参照に。

www.youtube.com


2コーラスの“power”のメロディのみM3rdを歌っていますね。そこだけE7(#9)またはEm7(10)になります。ここもEu4として、三度が自由に動けるコードを弾く、としておくと四度領域の考え方が活きます。

 

展開部は、0:24からは、またE♭マイナーペンタのフレーズがきます。

ここのコードもジャズ理論的に表記すると、
A7 |E7 |
でしょうか?または、
A7sus4 |E7(#9) |
などの解釈もあるでしょう。

この部分も

Au4 |Eu4 |

と表記できます。

これで調がどうとかメジャーやマイナーという考え方ではない価値観で、このリフを捉えることができます。


つまりA7omit3、E7omit3という和音です。しかしこのomitで表現すると、いかにも三度が欠けた、中途半端な和音だ、というように見えてしまいます。

 

三度が曖昧な和音なのではなく、もともと三度の取り決めのない和音(必要のない領域にある和音=四度領域和音)を設けます。


三度のない(混合された)和音の存在を皆さんも独自に探ってみてください。 

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