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音楽と教育と経営の雑記ブログ~不定調性論からの展開

「モンクの神秘和音」D7(b9,b5,13);47, Off Minor / Thelonious Monk★★★★

セロニアス・モンクの不定調性進行分析

47, Off Minor / Thelonious Monk

 

 

Off Minor/Thelonious Monk - YouTube

 

この人の楽曲は、楽しみ方があると思うんです。

 

そして、この音楽を聴いて楽しむために「モンク専用の耳とモンク専用の音楽鑑賞観」を起動させなければならない、そのことをが楽しみになるかどうか、ではないかと思うのです。

 

これは1947の作品。
コルトレーンがプロになったのは46年。そうした頃に作られたこのテーマ。即興は難しいし、調はどこだかわからないし。不定調性進行です。


これを47年の音楽として聴くと違和感がありますね。即興パートはどうしても時代の音楽(バップ進行的様相)が反映されてしまいます。現代の女子高生アニソンにアレンジしても使える場面が多そうなぐらいpop。ジャズポップですよ。

まあ感じ方はいろいろあるでしょうが。

 

モンクのコード進行には、「いびつな脱落感」や「カクカク動く壊れたようなフレーム感」というか、"物置の奥にしまってあったものだけを使って自動車作ってみました"みたいな、どこか異様で物珍しい感じがあって、時々聴くとたまらないものがありませんか?

 

こんな人が友人に居たら、とりあえずブルースを一緒にやって録音して残したくなりません?そう思わせるすごい吸引力。

 

これは個人的な意見ですが、即興に向かないと思うのです。この人の曲は。

 

この人の音楽は劇伴そのものだったり、テーマだけでいろいろなシーンで使えるサウンドトラックだと感じます。

 

だからこれほど強烈な印象を残し、プレイヤーたちが年月を追うごとに評価するのではないでしょうか?

 

 

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20世紀後半の「シーンミュージック」が運悪くバップの時代にできてしまったので、こんな形で残されているのかもしれません。

 

さてこの曲のコードを見てみましょう。

Gm7 |C#7 F#7 |Bm7 Bb7|EbM7 D7 |Gm7 |
Bb7(b9,b5,13) |D7(b9,b5,13) |D7(b9,b5,13) |

DbM7 D7 |Bbm7 Eb7(b5) |Bm7 |E7(b9,13) |
Em7 |Em7 A7 |D7(b9,b5,13) |D7(b9,b5,13) |

Gm7 |C#7 F#7 |Bm7 Bb7|EbM7 D7 |Gm7 |
Bb7(b9,b5,13) |D7(b9,b5,13) |D7(b9,b5,13) |


最初のセクションはGm7でくくったような不定調性進行です。EbM7-D7がGマイナーキーのVIb-V7の感じを微細に放っていてかっこいいです。


それぞれの連鎖はV7-IやIIb7-Iというバップ語で連鎖しています。
きっとGm7--C#7というバップには無いチェンジ感が斬新であることをモンクもわかっていたのではないでしょうか。コルトレーンに理論教えた人だし。

 

またBb7(b9,b5,13) やD7(b9,b5,13)ですが、スクリャービンの神秘和音のようにも聴こえます。あれは1908年ごろです。神秘和音をコード表記すると、G7(9,b5,13)です。ちょっと似ています。

 

短三度上がって同じサウンド、というのもなかなかえぐいです。

不定調性ではこうしたテンションサウンドも和声単位の結合、または反応領域の拡大で作ることができます。

 

この二つのコードをCに置き換えると、
C7(b9,b5,13) やEb7(b9,b5,13)となり、十二音連関表の上方と基音領域の音を網羅することになります。
<連関表の音をピックアップ>
上方G-Bb-C#-E
基音C- Eb-F#-A
下方(F -Ab -B -D)

これらの音が下方の音へ移行すれば移動感があります。つまり、f,a♭,b,dを持つ和音ですね。
こうした変なサウンドは、前の和音で用いられていない音に移行すれば移動感を与えます。

 

たとえば12音を全て用いるようなコード連鎖を作ることもできます。
和声1を

上方G-
基音C- Eb
下方 F-A♭-B

と階段下半分を取り、

 

和声2を

上方Bb-C#-E
基音F#-A
下方D

と上半分を取ります。すると、

 

最初の和音は、
CmM7(9,11,b13)で和声2は、
BbaugM7(#9,#11)となります。モンクに負けない変なコード、

 

CmM7(9,11,b13)-BbaugM7(#9,#11)

 

というコード進行は12音を全て使って作られています。だから移動感は大変激しい「完全動進行」になります。

 

DbM7 D7 |Bbm7 Eb7(b5) |Bm7 |E7(b9,13) |
Em7 |Em7 A7 |D7(b9,b5,13) |D7(b9,b5,13) |

ここはまさに不定調性ですね。これって逆から進むと、
Em7 A7 D7
Bm7 E7
Bbm7 Eb7
D7 DbM7
みたいになるわけで、II-Vの動きをさかのぼったような進行になっています。
ビバップをさかのぼってやる・・なんて考えそうな人ですよね。

 

それでもこのテーマにはストーリーを感じます。異様さを物語るストーリーがしっかり作られています。

 

この「モンクの神秘和音」D7(b9,b5,13)は金属の壁が崩れ落ちるような印象で、off minor、まさにマイナーからの離脱、II-Vという約束からの離脱、そう言うニュアンスが感じられます。

 

不定調性教材でも逆循環逆進行について触れています。
Dm7-G7-CM7などを
Dm7-G7-CM7-G7-Dm7 ||

として終わすようなメロディを考えてみたり、
Dm7-Em7-FM7-CM7-G7||
というドミナントで終了させるような、メロディ感覚を考えてみます。

慣れ親しんだ進行を覆す意識をもってみる。

 

ぬるま湯から抜け出るような冒険心、ハンターのようなミュージシャンシップをモンクの音楽から感じるから、モンクの音楽が好きなのかもしれません。

 

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