音楽教室運営奮闘記

音楽と教育と経営の雑記ブログ~不定調性論からの展開

28, Nardis / Miles Davis(2017)

マイルス・デイビスの不定調性進行分析

28, Nardis / Miles Davis

   

 


Bill Evans Trio - Nardis

この曲は、フリジアン的なモードで書かれた、と私も学校で学んだのですが、

Eフリジアンそのものなら、そのモーダルハーモニーは
Em7-FM7-G7-Am7-Bm7(b5)-CM7-Dm7
ですね。

 

この曲を見てみると、
Em7--FM7-EM7-B7--CM7--Am7--FM7--EM7--Em7
Em7--FM7-EM7-B7--CM7--Am7--FM7--EM7--Em7
Am7--FM7--Am7--FM7--Dm7-G7--CM7--FM7--
Em7--FM7-EM7-B7--CM7--Am7--FM7--EM7--Em7

という感じ、このIIbM7であるFM7が特徴的なので、フリジアンと解釈されるのだと思います。


でもエバンスはFM7でときどきFM7の音を経過音的に使うだけで、フリジアンモードを演奏しているわけではありません。

 

Em7--FM7はフリジアンの特性的進行です。

Imがセンターコードであるとき、IIbM7をもつのはフリジアンだけです。このNardisはEm7-FM7が特徴的なんですよね。それがゆえに、他のスタンダードナンバーと趣きを違えており、個性的なのだと思います。


しかしEM7やB7はEフリジアンにありません。

そうなると、Emをセンターにおいて考える不定調性的な進行ということもできるわけです。


べつに途中で出てくるEM7はEmM7でも雰囲気に影響はありません。
つづくB7も BM7にしたくなるような気もしてきます。

完全にEフリジアンだけでアドリブを作りたければ、
Em7--FM7-Em-C△/B--CM7--Am7--FM7--E7sus4--Em7
Em7--FM7-Em-C△/B--CM7--Am7--FM7--E7sus4--Em7
Am7--FM7--Am7--FM7--Dm7-G7--CM7--FM7--
Em7--FM7-Em-C△/B--CM7--Am7--FM7--E7sus4--Em7

などが良いのではないでしょうか。

     

三番目のEmはメロディとの関係で、EmM7になるんですが、このコードを出してしまうとフリジアンではなくなるので、M7音D#は「フリジアンの音に向かう経過音」という立場に控えていて頂きます。また同様に最後のE7sus4もメロディにG#があり、これはEにおける長三度音なので、E△にせざるを得ないのですが、ソロでは出てこないように、コードをsus4にして潜り込むようにしてしまっています。
こうなるとフリジアンだけで弾けるには弾けますが、逆に色彩感が帰結しすぎて退屈かも。

ちょっとしたスパイスを加えてみましょう。
もしEフリジアン+M3という八音音階だけを使いたいのであれば、つまり、
E-F-G-G#-A-B-C-D-E
という音階ですが、そうしたら今度は、
Em7--FM7-E△-B7(#5)--CM7--Am7--FM7--E△--Em7
Em7--FM7-E△-B7(#5)--CM7--Am7--FM7--E△--Em7
Am7--FM7--Am7--FM7--Dm7-G7--CM7--FM7--
Em7--FM7-E△-B7(#5)--CM7--Am7--FM7--E△--Em7
はどうでしょう。

 

さらに、コンポジットモード、EフリジアンM7+M3というモードだけで彩りたければ、Dを抜く必要がありますので、
Em--FM7-EM7-B7(#5)--CM7--Am7--FM7--EM7--Em
Em--FM7-EM7-B7(#5)--CM7--Am7--FM7--EM7--Em
Am7--FM7--Am7--FM7--F△/Eb-G7(#5)--CM7--FM7--
Em--FM7-EM7-B7(#5)--CM7--Am7--FM7--EM7--Em
などになります。

 

この曲のように、モード主体で曲を作る手法は、不定調性ではなくてもモードジャズがその理論体系を固めてくれています。
しかしこの曲のように、特殊なモードの使用を匂わせる楽曲は、オリジナルモードを作成し、そのモードに対してモード理論を該当させながら作っていくことになります。

だからといってソロまでそのモードでやらなければならない、というわけではありません。


先のように Dm7-G7がでてきたらGオルタードドミナントスケールなど使えばスリリングでカッコいいです。それはお好みです。

フリジアンの曲だから、絶対に全部フリジアン、なんてことをするのは逆に効果的ではない、というわけですね。

 

じゃあ、その辺の判断てどうするの?

 が一番の問題でしょ?

 

そう、それを決めるのはあなた自身なんです。

あなたの師匠でも、先生でも、理論にうるさい先輩でも、マイルスマニアな友人でもありません。あなたが決めるんです。

そして誰に何と言われようと、ネットで10年炎上しようと、あなたが決めたことはその時のあなたにとって絶対でなければなりません。

どうやってその自信を日ごろ付ければいいのでしょう。

それも簡単です。日頃からあなた自身が判断すればいいんです。

教科書に書かれていることも、先生が言ったことも、あなたが自分で解釈し判断すればよいのです。

「これに従わなければ二度と教えない」

と先生が言ったら、そんな先生こっちからご免だ、と言い放ってやりましょう。

そのように自在な心を持っているあなたは、もっとすごいところでもっとすごい花を咲かせるであろうからです。

そして、どうやってその自分の感性を鍛えるか、というところで不定調性論のような考え方を活用したり、世界中を無一文で旅したり、することで鍛えていくわけですね。

勉強の教材は、自分で作るしかないんです。早くそこに気が付いて行動を起こしましょう。