余暇を利用して、最新の脳科学の研究やトピックを題材に少しずつ音楽や作曲に応用した記事を作っています。
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前回
参考にするのは「自分では気づかない、ココロの盲点 完全版 本当の自分を知る練習問題80」です。
学習したことを覚える一工夫として、自分が毎日使う知識から覚える。
が良い、という結論の記事です。
「音楽理論を身につけよう」というのは「人生を生きるすべを身につけよう」ぐらい曖昧な目標です。「音楽理論書は辞書」と思ってください。
辞書を読んでもちょっと知らない言葉に出会えるくらいです。
そして最後までは読めません。読む必要を感じなくなるからです。
もう少し具体的な目標にしてみましょう。
「今年は自分のオリジナルを1曲作りたい」が一番の目標なら、
日々「オリジナルを作る」
これだけをやってください。
また、
「スタジオでいつも楽譜を読まされるから、初見ができるようになりたい」
「友達とセッションをやっていて、もっと自由にその場でアレンジがしたい」
「後輩にDTMを教えなければならない」
などなど、切羽詰まった課題がある人は幸福です。
必要な知識を覚えるのも早いでしょう。
これを「テスティング効果(Testing Effect)」というそうです。
脳は「この情報はこんなに使う機会があるのか。ならば覚えておこう」と判断します。
だそうです。その知識を繰り返し使うから覚えられるようになります。
どうりで学校の勉強を忘れるはずです。
いえ、学校の勉強も「テスト」で試されるので、なんとなく今でも覚えている用語とかが今でもあるのだと思います。九九なんて覚えないと昔はいじめに遭いましたし笑。いじめられないためにも覚える!という切羽詰まった目標がありました。
ちなみに同書では、人にその知識を話すことも「使う」事に繋がるから記憶が定着しやすい、ということも書いてありました。
自分で覚えたら動画やSNSで話してみるのも良さそうですね。
とにかく漠然と音楽理論書を勉強しても効率が悪い、ということなのでしょう。
だからアウトプットの方法まで考慮に入れた上で、勉強すると良いと思います。
理屈はそうなのですが、実際はダイアトニックコードを覚えたらセカンダリードミナント、II-V、裏コード、サブドミナントマイナー、モーダルインターチェンジ...もう登るべき山の頂上が高すぎて、ダイアトニックコードごときに止まっていたくない!
と思うかもしれません。
でもモーダルインターチェンジは「使おうと思ってできるもの」ではありません。
たくさんのコードを覚えて"なるべく奇抜にしてやろう"などの意図の下、組み合わせている結果として、そう解釈される進行を作っているだけです。
だからやはり、ひたすら曲を作って、コードを覚えてオリジナル曲に反映させているうちにモーダルインターチェンジは身につく、ことになります。
ましてや「初見がやりたい人」はそんな理屈覚えても仕方ありません。
楽譜が読めなければ話にならないのですから。初見がやりたい人はとにかく初見をやりながら問題解決に勤しむ方が良い、というわけです。
だから「音楽理論を勉強する!」という考えではなく、あなたが今年、何をできるようにしたいか、のその目標に向けて早々に直接行動していってください。
今夜はパスタが食べたい!と思ったらパスタの種類の本を買いに行きますか?
すぐできる簡単レシピを見つけて、自分の予算でできる班に揃えて、その日のうちに完成させるはずです。
それを繰り返していくうちに必ずその過程で必要な知識が増え、高度な知識にも目が届くようになり、それらはこれまで覚えた基礎知識と反応してオリジナリティとなって覚えることができる、となります。
目標とアウトプットを考えるといった自分で考えることまで怠って、ただ本に書かれているままの流れに頼る、ではいけないのでしょう。
それから「体系的にやりたい」というのも遠回りになるので、いきなりがむしゃらに覚えて日誌をつけていくのが良いです。それがあなたの体系になります。
・コード理論を体系的に学びたい
とよく言われますが「無理です」と答えます。
音楽方法論は個々人の体系そのものをつくる作業です。
この場合、もう少し具体的な目標をディスカッションします。
①「ジャズのコード進行を覚えたい」なのか
②「EDMでよく使われるコード進行を学びたい」
③「R&Bでよく使われるコード進行を知りたい」...etc
のかでまるで違います。EDMもR&Bも本場のアーティストは「コード進行」など考えていません(コードを知っていても奇抜さが欲しくて、DAW上で色々感覚で変えていきます)。そうやってDAWでピアノロールで和音を前後に動かして気持ちいい感じを探すことに手間暇をかけます。コード進行など知らない人がDAW上で作り出した手法です。だからこそエモーショナルでかつ斬新な組み合わせが生まれるんです。
ジャズのコード進行、という場合は、大抵モダンジャズから新主流派が生まれる前の期間の前のコード進行と、昨今のアシッドな進行を指します。後者はEDMのアーティストと同様「コード進行」などで考えてはつくれません。
だからコード進行から学んでも「それっぽけどダサい進行」が身につくだけです。前者の場合、スタンダード曲集をひたすら分析してもいいんですが、量がありすぎます。
結局たどり着く方法、丸っと①-③まで同じ方法で理解するやり方があります。
「好きなアーティストをコピーする」
です。だいたい20曲もやってみるとシーン全体まで把握できるようになります。そのアーティストがシーン全体を把握して1曲1曲作っているからです(ヒットメーカーの努力は尋常なものではなく真似できません)。
もちろんそれだけで音楽理論学習に相当する(時にそれ以上)スキルも全て身につきます。そのやり方が不定調性論的思考がたどり着くゴールでもあります。
勉強は難しくありません。
ただ「ひたすら好きなアーティストをコピーする」という手間暇を惜しまなければ!
時間を大切に、頑張っていきましょう!