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不定調性論からの展開紀行~音楽と教育と経営と健康と

創造性と脳の三つのネットワーク〜音楽制作で考える脳科学26

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前回

芸術的創造は脳のどこから産まれるか? (光文社新書)

 

 

明確なゴールのある事務作業をしながら、ぼーっとしてくるとふとメロディが浮かぶ、みたいなことってありませんか?

今回はその脳機能区分けと自分の導き方です。

 

かなり簡略に書きますので、詳細はぜひ大黒先生の著書を手に取ってください。

 

創造的な作業に関わる脳の三つの状態を列挙します。

 

デフォルト・モード・ネットワーク

「自由で創造的な思考やアイデアの発想、ぼーっとしている時に活動するといわれています。」

前頭前皮質背内側部/後帯状皮質

エグゼクティブコントロールネットワークと反相関

 

エグゼクティブ・コントロール・ネットワーク

「評価、明確なゴールのある思考の時に活動するといわれています。」

前頭前皮質背外側部/後頭頂皮質

デフォルトモードネットワークと反相関

 

サライアンス・ネットワーク

「ディフォルト・モード・ネットワークで発案されたアイデアをエグゼクティブ・コントロール・ネットワークに運ぶ仲介役的な役割を果たすといわれています。」

前帯状皮質/島皮質

 

これらは一度には働かず、必要な時にスイッチを切り替えて働くと思われていたそうです。しかし、

ハーバード大学のロジャー・ビーティ博士らの研究により、"創造的な人"は3つのネットワークを同時に働かせることができることが示されました。このことから、創造的な人は、アイデアの発案だけでなく、アイデアの評価も同時に行っており、より多くの価値のあるもの"を瞬時に生み出すことができるのでしょう。

 

 

我々からすると、 当たり前にも感じます。

脳の直感は脳科学より先にあります。まだ未解明、というだけで。

 

この話のポイントは、この三つのネットワークの働きにもし個人差があるなら

誰もが音楽分析を作曲に活かせるわけではない、また、誰もが同じカリキュラムを学習すべきではない、ということも示唆していると感じます。

 

学校で学ぶ

「楽譜の読み方」

「音楽分析の方法」

「作曲学」

はあくまで慣例的に"学んでおくといいだろう"というだけで、あなたの脳機能に完全に即しているわけではありません。

 

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もしあなたが人よりも創造的であれば、楽譜の学習などしなくても先人の楽曲をコピーするだけで即真似して作曲できるかもしれません。

また、リズムから作曲できたり、風景から作曲できたり、ノイズを扱ったり、創造性と分析、そのリンクの強度で一人一人異なる創造性があることになります。

 

音楽学校の学習は手に職をつけるための学習に特化するので(親御さんが安心するから)、とりあえず楽譜はかける、歌モノは作れる、レコーディングはできる一般的な人材育成にまとめざるを得ません。

 

だからこそ、もしあなたがその教育に違和感があるのなら、やはり不定調性論的思考で、「自分の逃げ道」を考えておく、というのはいかがでしょうか?

不定調性論を作っている時、楽曲を作っている時使っているアタマと、楽曲分析を行なっている時のアタマの状態は異なるのではないか、と感じていました。

だから

創造的に分析力を次の創作に生かすために、「音楽的なクオリアを感じ取り、それを積極的に用いることで一時的な独自解釈の集合論を制作に活用し深化させる」という方法論となりました。実際私についてはそれが少しずつですが、できるようになりました。

着想を得るための事務作業、それに基づいた制作、というサイクルが自分に一番合っていたという意味です。

当たり前ですが、そんなこと誰も教えてくれませんでした。

それが私のやり方だった、というだけですが。

 

音楽が好き、という人の中には、数学的に音楽を分析するのが好き、という人もいるでしょうし、幾何学的に音の配置をまとめるのが好き、という人もいるでしょう。

在学中、そういう性癖がわかれば、「君はこういう性癖だから、早めにブログやyoutubeで収益を取れるように、文章の訓練、ファッションやしゃべりの洗練を学習して自分の性癖を活かし、魅力的なコンテンツが作れるように在学中から方向を転換しなさい」と指導できるのではないでしょうか?

 

 

また、早くから始めるには意味があります。

私も最初はうまくできませんでしたが、最近は分析時に感じた音楽的なクオリアの感じを、そのまま作曲に生かすようなことができるようになってきました。

でもそれを行ってから毎日作曲して1年ちょっとでなんとなくこうなのではないか?

みたいな感覚はつかめました。

とにかくこうした作業系のスキルは経験数がものを言います。

 訓練の賜物です。だからひょっとすると、上記の三つのネットワークは訓練である程度強くなるのではないか?と感じています。

その燃料になるのが、私にとっては「音楽的なクオリア」でした。

自分が感じたことに忠実に従う行動を少しずつ日常に取り入れていくことで、分析時の直感と似たような直感が制作時に生まれるようになりました。それ以外秘訣とかはないんです。ただそうではないか?と感じたことに従って行動しているうちに「これが自分のやり方ではないか?」とある意味では諦めに似たような(笑)発見をしました。

おそらく「自分にとっての自然だと感じる思考による音楽行動」は自分自身の神経回路の強化もより容易なのかな??みたいに勝手に感じています。

 

今回の三つの脳状態の話を聞いて、皆さんはご自身の創作時の脳の状態をどのように感じているでしょうか。

いつ作曲できるか?というタイミングを記録しておくと、なんとなく"自分の脳の感じ"が掴めると思います。

 

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