"普段クラシックギターで即興演奏をやっているのですが、もっと良い演奏をしたいと思っているのですが、どうしたらいいでしょう?"
私が答えられることではないのですが、これは普遍的な問いだな、と感じました。
皆さんも時々「もっとこうなりたい」「次どうすればもっと良くなるか?」というモチベーションで会話をすると思います。
100メートルを最初は18秒かかっていて、陸上のトレーニングを行い9秒台になったとしましょう。
9秒まではスキル、トレーニング、経験を積めばある程度確かにとんとん拍子でゴールに近づいたとしても、9秒台になってからは当然人類の現状の限界値ですから伸ばすのが大変です。
下記の図で言えば、18秒かかる段階がA、9秒台になった段階がBと言えます。
芸術の場合は現状の位置どりが難しく、自分がAの位置にいるのかBの位置にいるのかわかりません。
時に自分がAにいるように感じたり、時にBにいるように感じます。
100メートル走で言えば、全力で走っても18秒かかるときもあれば、8秒で走ってしまうこともあ流、そんな状態です。個人の体感の上では。
とてもやっかいです。
ここに資本主義が絡んでくるともっとやっかいです。
前よりもたくさんの集客、前よりもたくさんの売り上げ...これを目指していくやり方には限界があります。もともと持っている表現活動とは違う資本主義的な才能も必要です。人によっては途中でパンクしてしまうこともあります。
「どんどん大きくする」「前回よりもすごいことをする」というのはある種の稀有な才能がないと難しいと感じます。それができる人がいるのでそれに続かないといけない人は大変です。でもそうしたある種の犠牲と野望によって社会や文化が進化してきた面もあります。
そこでもし、危険なパンク街道に乗る前に、資本主義の絡まない目標設定の仕方を覚えて、そこから展開していただくようにしています。
現状がどれほどか自分でも相手でもわからないのですから、
・次は星形を狙って目標を定めやってみる、
・次回は六角形を目標に定めて頑張ってみる、
・次は長方形を目標に頑張ってみる
というイメージです。
表現活動を行う人にとっては、常に現在が最高なはずです。
前回よりも「より良いもの」を作る、という話は巧みなストーリーが必要です。
そうでないと、前回は頑張りきれなかったのか?となります。トークで「前回より良いものができた」といっても聴き手は作り手よりも現実を見ます。
"普段クラシックギターで即興演奏をやっているのですが、もっと良い演奏をしたいと思っているのですが、どうしたらいいでしょう?"
もしも過去の演奏に対して「もっといいものを作りたい」は過去の否定、自己否定を含む場合があります。当時関わった人へのダメ出しにもつながります。
だから「今よりももっと」と考えないで、次の目標に集中し、
・次はこうやってみたい
・前回こうやったら次はこうやってみたい
・前回はこれができたから次はこうやってみたい
というやり方でひたすら前に進むしかないのではないか、と教える仕事をしながら感じます。もし次回もうまくいっても「前回よりよくなった」みたいに感じる必要はなく今回もよくやった、今回はこれができたからよかった、という感想を持つように勧めています。
「もっと」は脳の欲求であり、何かを達成する、ということとは話を分けて捉えないといつも不満しか感じなくなります。
また、そのプロジェクトで自分よりも優れた人があなたより"売り上げ"を伸ばしたなら、そしてあなたがそれを許すなら、どんどん相手に譲ってサポートに回ってください。そしてあなたは自分の立場で新しい星型の未来に向かって進んでください。
これができるかどうか、そのタイミングも勇気です。
毎日、毎日の過ごし方、もこれなのかもね。
成長には限界があるし、自分ができることも、人生の中でできることも限られています。
だから比較をせず、次にやれることを活用して、次やれる世界観でベストなものを目指す、というシンプルな方針を持つようにしてみたら?と。
もし明日目が見えなくなったら、目が見えなくなった世界観でベストなものを作ろうと思えるかどうか、という覚悟です。
何か自分に足りない、と思いがちです。でもそれだといつまでも踏み出せないので、今持っているものが自分のすべてだ、と思って進んでいくと新しいアイテムがもらえる、というイメージです。
RPGと同じです。最初は裸同然で敵地を進んで倒せる敵から倒して経験値を稼ぎます。
いつまでもスタート地点にいてもレベルは上がりません。
表現活動は、作ってなんぼ、進んでなんぼです。作りながら身につける必要があるんですね。決してあきらめたり、歩みのテンポを落とさないように。やりたくない!!!って思ったらその勢いのままポテチ食べて映画見てたら、またすぐ戻って来れます。時にはそうしてポテチも新たな星型の目標の一部になり得る!!諦めを実感してしまう寸前にそれやってください。でも諦めを実感しない、っていうのも才能なので無理しないで欲しいけど。
自分を追い詰めないように、工夫して(大事!)クリエイティブに歩める方法から"創造"していきましょう!