音楽教室運営奮闘記

不定調性論からの展開紀行~音楽と教育と経営と健康と

カデンツァの陰影 / solo piano〜不定調性論を実際に用いる

レッスンでケーデンスの色々な話になって、7thコードの上で何を乗せてもドミナントになってしまうのではないか、という話になり作った作品です。

 

Dm7   |G7  |CM7  |A7  |

という進行を10回繰り返しているだけです。時々D7になったりC#7になったりしてます。そこは気まぐれ。

コードトーンを基本は用いながら、同時に曲全体に、下記の和音が随所に入っています。

また、「音楽的なクオリア」に準じて何音か変えて使っています。

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13タイプの和音、12音がルートになる音は12キーで全て。

 

Dm7とCM7は比較的コードよりに上の和音とは別途考えていますが、いくら作っても減っていかないので笑、最後は一旦作り終えた後、全体に残った和音をばら撒きました。

最初は左から順番に飛び飛びに用いていき、途中わからなくなり、右から選んだり、とランダムに選んでいます。

 

一つだけ例、4;47あたり

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この辺はわかりやすいですね。

最初にトップノートの流れ(g-f-g-e-e♭)だけ決めて、内声は、トップノートを持つ和音を先に並べたデータから選んできます。こんなやり方でとにかく

"自分が意図しないサウンドを作るような目的で"

音を置いてゆきました。

途中、どうしてもバランスが悪いな、と強く感じたところは直してゆきます。

直すことで確かに自分の意思が反映はされるのですが、

 

自分が考えもしない美の連鎖

 

を作り出すことはできないので、極力直していません。逆に予想外な感じが気に入った場所もあります。後半の激しくなる部分とか。

 

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一番最後はこれ12音全部を出したクラスター和音です。人の手では弾けません。

「DAW和音」です。

 

まさに表現はここに極まるわけで、ここで近代和声がたどり着いた、不協和と協和のバランスだ、というところに来るわけです。

20世紀はここから「無調時代」に突入するわけですが、我々は無調を追求した結果どうなるかはよくわかっていますから、特に私はこのまま不定調性の世界を極めて行こうと思っています。