論理的に不定調性的なフレーズを作る際に組み合わせ可能な音程連鎖パターンを列挙しておきます。ここではその最初のモデル、として、オクターブの中だけで動く音の連続性に限定します。
まず二つの音関係の基本を次のようにします。
(注;音程名称と譜面の関連は概略です。異名同音は同一とまずは捉えてご判断ください。)
それぞれの音程関係移動と、それ以外の同音連鎖、休符を挟んだ可能性も列挙命名しました。
あとはこれらを組み合わせるだけです。
不定調性的フレーズは、偶然調的になってもいいし、無調的でもなんでもOKで、制限がありません。
またフレーズにパターン(シークエンス)を作ることで「考えて作れる不定調性メロディ」となります。
フリー系のソロや、音の組み合わせ、シークエンスバリエーションに興味のある方にご活用いただければ幸いです。
同じような試みは歴史に幾度も行われていると思います。自分なりのモデルを作ってから、既存論を参考にしてまとめていきたいと思います。
ここでは八分音符や十六分音符に限定して示しますが、実際の音楽では、三連になったり、二拍三連になったり、休符が挟まったり、変拍子になったり、アクセントを変えたり、テンポや楽器を変えたりして表現のニュアンスを変えることなどができます。
(同じ音連鎖で休符を挟んだり音符の組み合わせを変えた例)
これらは読み方によっては、P-型や-P型を挟んだもの、とも考えることができますね。
各位の得意なフレーズ構成テクニックに応じて変容して自在にお使いください。
さらにこれらのそれぞれの音程には、12のバリエーションがあります。
あとは組み合わせるだけです。
下記はfを1として、m2↓の奇数シークエンスだけ使って、自在に並べ替えて、フレーズを作っています。後半は和音などにもしています。
不定調性の場合は、偶然的に調性が生まれても、変な連鎖ができても、それらに対して心象で意味を当て込みますので、フレーズ自体のフォルムはどのようなものになっても問題ありません。
より調的な要素で運指練習などをしたい場合は番号ではなく、度数で考えてバリエーションを作ると分かりやすいです。
これも調的な旋律でしたら、M7コードなのにm7が入ったり、m3が入ったりいろいろアウトですが、不定調性はこの微妙なバランスを楽しむものです。
もちろんm2↓だけではなく、他の音程でやってもコードの勉強にもなるし、運指の練習にもなります。
フレーズA
こちらはM7コードを全音で移動させながら、m3↓から+4↓までの規則を守りながらフレージングをしてゆきます。
最初の三セクションまで音にしてみました。
調性は何処へやらです。
もちろん下記のようにダイアトニックにしてコードトーンにアクセントを置いても、挟まれる音が不規則(フレーズAと同じ規則)だと調性は摩滅します。
自分には難しい運指が見つかったら、それを練習フレーズとして構築しても良いでしょう。
こういった「微妙に調性を破壊するフレーズ」に対しては、"なんか微妙"という表現しかしてこなかったと思いますが、「不定調性」と云う考え方を用いることで、そうした微妙さ自体が心象となりますので、あとはそこに有意義な意味を当てはめられる人は、これらの表現やテクニックから、ご自身の音楽表現を拡張されていかれると良い思います。
続く。