音楽教室運営奮闘記

不定調性論からの展開紀行~音楽と教育と経営と健康と

IV#m7が出てくる曲。Ride On Time / 山下達郎

2018.8.24⇨2020.9.20更新

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Ride On Time / 山下達郎 

リヴァーブ感が都会的・涼やか、を印象付けてくれます。

Tatsuro Yamashita - Ride On Time - YouTube

キーはDです。

 

歌いはじめで、
GM7 |A7 |GM7 |A7 |F#m7 |D |Bm7 |Em7 |A7 |
と流れます。

歌始まりなので、最初のGM7がIのように感じられます。そしてA7がII7のように思えるのではないか、と思います。

 

この感覚を分かりやすくCメジャーキーに置き換えますと、
CM7 |D7 |CM7 |D7 |となります。

 

CM7=Iに感じられ、D7はII7感がありませんか?

でもこれはIV-Vの繰り返しです。

 

だからこのIV-Vの連続する感じは「ずっと続いてきた感」を潜在的に覚えると思います。この都会的な涼やかさが、彼の中にはずっとあって、僕らはこの曲が始まると、それを一緒に体感できる、、的な感覚・・・。

 

IV始まりですから、この「途中感」が出せるんです。

 

GM7はIではなく、キーDのIVM7です。
GM7 |A7 |GM7 |A7 |F#m7 |D |Bm7 |Em7 |A7 |
においてF#m7が出てきたとき、おや?と感じる、「響きのミスディレクション」がカッコいいです。

 

映画でもありますよね。最初は観客が分からない設定の部分が勝手に当たり前のように進行していて、どんどんその世界に入っていくと、「ああ、そういうことね」って映画の中の世界を理解して、グッとその中に入れる、みたいな。

  

で、サビですが、ここは王道です。
Em7 |A7 |DM7 |Bm7 |GM7 |F#m7 |G#m7 |G7(9) F#m7 B7(9) |
Em7 |A7 |DM7 |Bm7 |Em7 |Em7/A |D6 ||

II-V-I-VIという流れです。
で、変わっているのが、一行目のG#m7と二行目のD6です。

このG#m7はノンダイアトニックコードです。

Dのキーの中にはありません。IV#m7という和音です。


メロディ音がb音なので、b音を持つ和音をあてがっている、とも言えます。

弾いてみてください。凄く飛翔感を感じます。


「Ride on time転調」とでもここでは呼びましょうか。

 

このようにメロディ音を持つ和音をあてがって、奇抜な響きを作り出すことで、場面展開感を作る方法がありますね。

そしてサビの最後のD6もこれ、Bm7/Dのような感じです。これも伸ばしたメロディ音がb音なので、このサウンドが活かされています。 

 

=====
今回の事例を元に、ちょっと応用編を作ってみましょう。

たとえば、
CM7 |Dm7 |G7 |CM7 |
というコード進行で、最後のCM7でのメロディ音がcだとします。すると、
CM7 |Dm7 |G7 |FM7 |

CM7 |Dm7 |G7 |AbM7 |

CM7 |Dm7 |G7 |DbM7 |

などが良く使われますね。全部c音を持つ和音です。
さらに発展させてみましょう。

CM7 |Dm7 |G7 |D7 |
とか
CM7 |Dm7 |G7 |Gm7(11) |
とか
CM7 |Dm7 |G7 |Fm7 |
とか
CM7 |Dm7 |G7 |EbM7(13) |
とか
CM7 |Dm7 |G7 |Ebm6 |

とか、いろいろあてがうことができると思います。これで、それぞれCに戻せば良いのです。
CM7 |Dm7 |G7 |D7 |Dm7 |G7 |CM7~
CM7 |Dm7 |G7 |Gm7(11) |F#7(#11) |FM7 G7 |CM7~
CM7 |Dm7 |G7 |Fm7 |Dm7 |G7 |CM7~
CM7 |Dm7 |G7 |EbM7(13) |Dm7 |G7 |CM7~
CM7 |Dm7 |G7 |Ebm6 |Dm7 |G7 |CM7~

たいていDm7-G7で戻せますし、またその変化が面白かったりしますので、メロディを作る際に、CM7と決めつけずに、いろいろこのride on time転調を試してみると面白いと思います。

 

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