音楽教室運営奮闘記

音楽と教育と経営の雑記ブログ~不定調性論からの展開

M-Bankスティービー・ワンダー楽曲(コード進行)研究レポート公開シリーズ13★★★

スティービー・ワンダーの和声構造

~非視覚的クオリアを活用した作曲技法~

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アルバム15;「Music of My Mind」〜心の詞〜(1972) 

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事例55Girl Blue (CDタイム 0:22-)

Aメロ

B♭m  |A♭m  |G♭m  |F7  |×2

Bメロ

Cm7  |Dm7 |E♭ |F  |

Cm7  |Dm7 |E♭ F |B♭ |

ユーミンレポートを持っている方は1999年リリースのアルバム「Frozen Roses」の中の「josephine」(ユーミンレポート事例106)と似た構造を想起されるかも知れない。

前作から強烈な印象を残すようになったm7thの連鎖は本作でも有効に活用されている。

m7thコードが連続されるこの構造はどうしてもある特定の雰囲気を作らざるを得ない事はメジャーコードの連鎖がビートルズ的になってしまうのに似ているだろう。

制作されたのはスティービー・ワンダーのほうが先であるが、これは類似している、というよりも用いたコード進行が類似している(同じようなクリシェ進行を用いたのと同様)と考えても良いだろう。まだまだ新鮮な進行感を持っており、ボーカロイド楽曲などで研究頂き、それを“歌ってみた”でトライされることで、自然と若手音楽家のスキルが上昇していくことは目に見えている。是非有効に活用頂きたい。

 

事例56Evil (CDタイム 0:48-)

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Aメロ

C   |C7  |F/C  |Fm/C  |

C   |C7  |F/C  |Fm/C  |  

C  |E7  |Am  |Gm7 C7 |

A'メロ

F  |F7  |B♭/F  |B♭m/F |

F  |F7  |B♭/F  |B♭m/F |

F |A7  |Dm7  |Cm7 F7 |

A”メロ

B♭ |B♭7 |E♭/B♭ |E♭m/B♭ |

B♭ |B♭7 |E♭/B♭ |E♭m/B♭ |

B♭ |D7 |Gm |Fm  B♭7 |

A'''メロ

E♭ |E♭7 |A♭/E♭ |A♭m/E♭ |

E♭ |E♭7 |A♭/E♭ |A♭m/E♭ |

E♭ |G7 |Cm |C  |

転調を繰り返す楽曲パターンが用いられている。しかも半音で上がっていくのではなく、四度で上がっていくから面白い。使用レンジはc2~c4とちょうどにオクターブで納めているので、ボーカリストであれば十分に歌えるレンジに工夫されている。

Aメロの12小節のパターンをIVへの転調前置詞と言えるVm7-I7の進行感を活用して3回転調していく。C→F→B♭→E♭と変化していく。この転調に順じて雰囲気とアレンジを盛り上げていく作風は単調さが決してなく、その歌唱力によって見事表現作られている。

スティービーにとっての上昇感とはどのような感覚なのだろう。重力によってのみ、上下の存在を体感できる場合、上に向かう、ということも大変抽象的であり、より情感的な要素を持つのではないだろうか。この転調手法も多用される表現であり、私などは最初、そんなに魅力的とは言えない手法なのではないか、などと考えてしまったが、ここまで使われてくると、その意味を探りたくなってくる。クリシェ進行、上昇転調、無軌道な転調、特にこれらの手法について、何らかの答えをこのレポートで出さないといけないだろう。それ以外の手法は、音楽的素養によって自然と出来てしまうものであると私は考えている。

 

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