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コード進行とは楽曲の展開を還元したものである
です。また
コードネームシステムとヴォイシングは全くの別物である
です。
コード進行とか、コード表記で楽曲を理解しようとするの実は映画本編を見ないで、5分のあらすじ宣伝動画だけ観て内容を納得してしまうようなものです。
楽曲のコード進行分析とかはアーティストからしたらすごい迷惑なのです(このブログで沢山やっておきながら)。曲をそんなに簡単にまとめるな!!とお叱りを受けます。
学習初期に音楽の理解のためにコード進行、という考え方を用いるだけです。
コード進行の理解に慣れてきたら、もっと深く楽曲を見てみませんか??
<浅い意味でのヴォイシングの活用>
C△ |G△ |D△ |A△ |
こういう進行ってありますよね。形も美しいです。
ギターでバレーコードで弾くと、幾何学的です。
こんなふうに、同じ形を右にずらしていくだけなので、覚えやすいです。不定調性論的です。
この感覚は「弾きやすさ」「覚えやすさ」などが自分に美的なバランス感覚を与えてくれます。
音楽理論をギターフレットで学ぶ、というのはギタリストには一番説得力があります。
こういった感覚を発展させたギターコードの例もあります。
これ二つ動かすだけで
FM7 Caug FM7
(CaugはC7(b13)としてもよい)
みたいな進行が出来ます。
ビートルズも指使いがM7と似ているaugコードを時々使っています。
まさに不定調性論的思考。
「指の形が同じだけ」なんて、理論的じゃない、という発想ではなく、自分が面白いと感じたものをどうやったら使えるか、という発想です。
ヴォイシングとは?
和音の音の積み重ね方、また積み重ねた和音を連続させる慣習のことです。
だからコードの構成音を使用可能なテンションまで全部言えないとヴォイシングを考えることはできません。
ヴォイシングにはルールがあります。
和声学のルールはもちろんですが、ジャズのホーンセクションから生まれたルールです。
今回は一番ヴォイシングに疎くなりがちなギターを例に解説しますね。
通例、
C G7 C
という流れを弾く場合、
こう覚えます。これら開放弦を使ったローコードだけでなく、上の方のフレットを使ったハイポジションのコードとかも覚えます。このとき、各音の動きをみて下さい。
まあ、見た目綺麗・・・と言えなくもないですが、ヴォイシング的には「綺麗」とは表現しません。
だいじなのは、
「これを綺麗と言わない文化がヴォイシングである」
ということを、認めてください。
ヴォイシングの基本ルールは、
です(不定調性論では逆も、両立も、なんでもOKですが)。
この移動も、
結構下も上もギスギスです。では、
こういうジャジーなフォーミングなら?
結構それっぽくなってきました。
さらに普通のスプレッドでVI-II-V-Iやると、
こんな感じになります。
ヴォイシングの移動の理想は、4音の移動では、
二音同音、二音反行
です(常にそうなれば良いというものではありません)。
上記のデータも、なるべくちいさな動きで、スムーズに展開していくのが良い、を実践してます。
最終的には耳で聞いてください。で、耳で聞いて分かるためには、こういったヴォイシングのホーンセクションやジャズピアノの感じをよく聞かないといけません。
そうしていくと、必ずしも美しくないのに、美的に感じるヴォイシングや、めちゃめちゃ良いはずなのに退屈なヴォイシングなどが分かってきます。
ちなみに無理くり二音同音、二音反行で作ったヴォイシング。内声的な動きとして。
もっとスムーズで綺麗な進行を作ることもできるでしょう。
詰将棋みたいにやってみてください。
テンションや使用音のルールに従ってください。
ジャズのボイシングにはトップノートが9thの場合、その下の音のルートは省く、みたいな細かいルールがありますが、それらは「オーソドックスな響きを保つためのルール」です。私は佐藤允彦氏からバークリー式をベースにしたコンテンポラリーの全てのヴォイシングを学びました。
こちらは愛読した北川先生の本です。
コード進行をさんざん覚えて、コードの構成音まで覚えていけたら、次はヴォイシングに凝ってみて下さい。
CM7をヴォイシングするときは、テンションを含めるとCM7(9,#11,13)になりますが、これらから4音ピックアップするので、必ずしもCM7と言える集合にはなりません。
9th=d
13th=a
ですから、
e,b,d,a
と低音からヴォイシングしたりします。これはEm7(11)です。
またG7といってもそのままG7の構成音を鳴らしたりしません。5度を省略したり、ルートを省略したりして、コードネームの約束から飛び立たないとヴォイシングのルールに踏み込めません。
コードネームから解放される学習がヴォイシングです。
コード進行に手詰まりを感じてきたら、onコードやハイブリッドコードに行く前に、ヴォイシグを勉強してみると、響きの世界が広がります。