音楽教室運営奮闘記

音楽と教育と経営の雑記ブログ~不定調性論からの展開

ほぼ全曲ビートルズのコード進行不定調性考察「Magical Mystery Tour」1(2017)

1、マジカル・ミステリー・ツアー - Magical Mystery Tour
E |% |G |A |
E |% |G |A |
D |D/C |G/B |Gm/Bb |
D |A |

   

Eではじまりますよね。

GやAはビートルコードです。キーや機能による脈絡を考えるのではなく、響きの連鎖として理解してください。
そのあとVIIbのDもビートルコードの代表格ですね。

問題はその後、G→Gmの流れって、
これって子の感じだけ聞くとIV-IVmの印象っぽいです。いわゆる「サブドミナントマイナーに行った感」です。

でも最初はEなのでこれは、ディグリーにするとIIIb-IIIbmになります。。。。

この曲は、


A→DでDに転調している、と機能和声的には云えます。そうしないとG-Gmがもたらすサブドミナントマイナーに行った感が説明できませんよね。

でもそうした「機能和声論に当てはめて何とかしようとする説明」はあなた自身の自在な感性によっていつか無利益な矛盾を引き起こします。次の言葉をよく覚えておいてください。

あなたの感性は機能和声論を超えたところにある。

です。

 

このA→Dの感じは「転調感」というよりも、
A=Iとし、D=IVに進行したような印象や、
A=Vにした、D=Iに進行したような印象が、

「混ざっている」といたほうが適切のように感じます。

でも学校では、そうした「微妙なKYな進行」について厳密に考えないはずです。

     

これが今日のお題です。"機能混合コード進行"です。

トニックとサブドミナントを混ぜたらどうなるのか。

サブドミナントとドミナントマイナーを混ぜたらどうなるのか。

トニックと別のキーのトニックマイナーを混ぜたらどうなるのか。

ここでの進行は、A→Dに向かう五度進行に自然と「展開感」があるので、それを活用した、となります。作曲の過程で「お、これいいじゃん」となったのかもしれません。
つまりA→Dという進行単品では、何ら問題なく使える進行で、その印象をそのまま使ってしまった、と言えば良いのでしょうか。

DはEにとってのVIIbですから、ビートルコードになり得ます。

ポイントは、ここではまだDがセンターコード(曲を構成する上で意識の中央に置いた和音、トーナルセンターになることもあるし、単純に個人が曲を作る際の視点に置く場合の意志的中心和音になる場合もある)になり得ていないところです。


最初のE-G-Aが強烈ですからね。
本来このDが来る場所は、IVが来ます。

Eのキーで云えば、Aです。


おそらく多くの人が、特に作曲をしている人が、このDを「曲の最初のキーのIVに行ったんだろうな。」と思って弾くと思います。

 

でも全体から眺めると全然違う!というのが痛快ですよね。
E→Dという転調的現象が起きているんです。
だから次のG-Gmがしっくり来るんですね。
ミスディレクションを用いた素晴らしい進行。

いかにも怪しい風体の人が向こうから歩いてきたらあなたは構えるでしょう?

でもたとえば腰の曲がった何処にでも良そうなおばあちゃんが歩いてきたら構えないでしょう。

E→Dはおばあちゃんです。弾き手や聞き手は難なくそれを受け入れます。

でもそのおばあちゃんはサイボーグだったのです!!

そうした策略でビートルズは自分達の一風変わった音楽性を無意識に浸透させることに成功したのです。

 

そしてこの曲、D→A→Eとまた戻るんですね。
VIIb-IV-Iというビートル進行ですね。

だから、この曲、アカペラで歌ってみると、意外と上手に戻れないと思います。
カラオケで全音あげる転調のようなことをさせられるからです。

最初にがーん!とEがなるから戻れるんですね。

いろいろ不定調性的な技を上手に機能和声に入れ込んで、ジャズとは違う複調性をポップに演出していると思います。

 

この曲でビートルズが教えてくれることは

理論的に正しいアレンジに収めようとせず、自分が行きたい方向にいかにも自然に行かせるために上手に理論(慣習による思い込み)を活用せよ、と言っているわけです。

 

高度過ぎて困りますね。難しそうに見えるジャズのほうがまだ構えて取り組む分、理解が早いように思います。