「公園の子どもの声が迷惑だ」という話、を何気ない会話で聞きました。
ニュースでもよく聞くあれか!とか思っちゃいました。
なんとも言えない表情で話すので、とても印象的でした。
「でも、それは音の性質上、交感神経を掻きむしるからしょうがないですよね」
みたいな話をしてちょっとDPのレッスンから脱線しました。
今日はそんな小話です。
音楽を学ぶ人なら、なんで子供の声が癇に触るのか、その理由とかを先生に聞いたり、勉強したりしてなるほど、と思っているものです。
周囲の意見は、
「子供の声ぐらいいいじゃないか」
みたいに言ったりします。そこで意見が分かれ、公園で静かにしか遊べないなんて、なんて生きづらい世の中だ、みたいに思ったりしますね。
ニュースを見て思うのですが、その話の展開が全部間違っているのでちょっと笑ってしまうのです。音楽を補助教科なんかにするからだ...なんて愚痴りたくもなりますね。
子供の叫び声は、子育てに疲れるお母さんの精神の不安定はもちろん、その生命すら奪いかねない凶器にもなります。しかしそれを社会が理解し、柔軟に考え方を変えていければ、必ず工夫して助け合うことはできます。感情面ではなく、どうしてそうなるのか、についてもっと考えてみてもいいのではないか、という記事です。
子供の叫び声にはイライラして当然で、イライラする自分を笑ってあげてください。
「あー俺も人の子だ..って」
イライラという感情も必要だからイライラするのであって、絶対イライラしないような人生にしようとすると、死ぬまでイライラすると思います。なぜならイライラは快楽と同じくらい人に必要だから。
その意味すらわからなくなったら、多分疲れている(交感神経疲弊)ので、ビジネスホテルとかで三泊くらい寝て過ごしてください。だいたい治ります。
不快に感じる理由
子どもの泣き声や叫び声は、2,000〜5,000Hzの帯域に多くの存在し、人間の耳にとって最も敏感に反応する帯域です。聞きたくなくても絶対耳に入る音域です。
こうした音は、私たちの進化的に「危険信号」として処理され、脳に古くからある扁桃体が瞬時に反応するそうです。
その結果、心拍が上がり、筋肉がこわばり、闘争か逃走かの神経を刺激します。
つまり交感神経が瞬時に活性化され、その音を聞いた人は「自分を守るために行動をする」準備を強制的に取ることになります。
心臓が弱い老人にはとてもショックの強い音現象とも言えます。
また日頃疲れていて、ゆっくり休んでいる夜勤型の人には、交感神経を突き刺してくる=嫌でも体が起きてしまう、それらの奇声は、はっきり言って拷問です。
それは苦情を言う人の心が狭いのではなく、人間がそういう構造にできている、というだけです。街にはいろんな人が暮らしています。
交感神経を刺激してくる音を不快と思ってしまい、夜勤に支障が出る若い人、苦情を言いたくなるくらい不安とストレスを日々感じている孤独な老人=日々イライラしてるのでいつも交感神経が活発で耐えられないくらい苦しい状態にある人、などの生活を脅かしてしまう可能性があることを公園を設計する時に理解しておかなければなりません。または公園の周囲に住宅を建てる人が把握している必要があります。そして、不動産屋さんがちょっとそのことを把握していれば、最初の注意事項に盛り込むことすらできます。「子供の声なんて平気だよ」と最初は誰でも思うんです。でもそれは"音による拷問"を受けたことがない、というだけです。
同様に不快に感じる音
どのくらい不快なのか、をイメージしてもらうには、
黒板をひっかく音、チェーンソーの音、ゆったりとしたレストランで食事している時にガラスを落として割れる音...火災報知器の非常ベル
などをイメージして貰えばいいでしょう。
これらの音を長時間聞いていたい人はいないでしょう。
レストランのガラスが割れる音って、音自体は大したことないんですが、その音を聞いた途端、なぜか入店時から受けてきた全てのサービスに不安を一瞬にして覚えます。
人間を一挙に不安にさせ、その金属音の性質もあって必要以上に「自分を守らなきゃ!」って交感神経が活発になってしまうんですね。
さまざまな警報音もそうした人の危機感覚機能を活用して作られています。
そうした人の機能を知っていれば...
あ、子供の声だ、うるさいな、しょうがないなー全く。
と、一瞬自分の心の狭さを責めるのですが、この嫌悪感は猿の頃から備わった危険察知能力ですから、それを理解していれば子供を責める気持ちにもなりづらくなります。
あんまりうるさかったら、静かにしてほしい理由を公園で伝えればいいだけです。
また学校でも「奇声をやたらめったら発するのはやめましょう」と堂々と教えることができます。変態に見えるからやめた方がいい、のではなく、社会の人の健康状態を脅かすような音の性質を持っている、ということを伝える必要がある、という観点から、です。変な人にあったら、「助けてー!」と声を出すより、思いっきり奇声で叫ぶのが良い場合もあるでしょう(防犯のプロではないので信じないで)。
でもそれで一瞬でも相手が怯んだらダッシュ!です。
というか不審者が怯むくらいのパワーを持っている、という点が驚きです。
親の教育も変わってくるでしょう。はしたないから叫ぶのをやめさせるのではなく、通常時は仕事で疲れている、イライラしている他人を疲弊させる可能性があるので、無闇に叫ぶことはやめさせるのです。
まあ、叫んだ経験がない子は、いざとなっても叫べないので、多少子供が叫ぶことは防御力の向上訓練、ともいえます。
みんながこうした物事の道理と性質を知っていれば、遊びに夢中になった子供が奇声を発することが100%悪い!公園では静かに遊べ!!みたいな理屈になりようがないんです。
不快に感じない工夫
工事器具などもそうした耳につく音が出ないように工夫された機器も多いです。
公園の木々も防音に役立ちますが、管理の難しさ、防犯上の理由から切ってしまうこともあります。
そうしたことで、急に公園の音がうるさく感じるようになったりするものです。防犯と騒音を上手に天秤にかけて最初の段階で設計していかないといけないわけです。
交感神経は戦うほうですが、逆にリラックスすると副交感神経が優位になり、体のリズムも整ってきます。
人間のすごいところは、考え方を改めるだけでもリラックスできる能力を持っている、ということです。
「全くあいつら何で遊んだらあんな声が出るんだ...」
とクスッと笑ってみてください。
その瞬間交感神経は危険が回避されたことを脳から伝達されます。ちょっとブレーキがかかります。必要以上にイライラしません。
その音をトリガーにして、自分の子供時代を思い出したり、余裕があるなら、遊んでる様を眺めたりするだけでも、人の心象は落ち着きます。
さっきまでノイズだったものがBGMになります。
学校の歌の発表では恥ずかしそうに小声なのに、サッカーとなるととんでもない声が出せる...人は不思議な生き物です。
黒板を引っ掻く音も、「またかよ!!やめてーーー笑」って笑った方が、交感神経は穏やかな変化しか見せません。
あれをやると本当に心底、ブチギレて嫌がる人がいますが、それはもう典型的な悪循環です。そのまま年を取ったら公園の子供の声にブチギレる孤独な老人になるだろうな、と言われても仕方ありません。正直に反応しすぎです。
攻撃的なのはその音の性質であって、その音を出した人はほんの出来心なのですから。ミスで出てしまうことだってあります。
"余裕"がない時代と言われますが、それも錯覚で、"余裕"は自分で生産できる資源の一つだと思います。
考え方をちょっと変えて、どうにかするための工夫の方に感情や頭を使ってみると、またちょっと違う生き方も見えるんではないかと思います。
本当にイライラする人はほんの一握りで、みんな騒音と共になんとか工夫して我慢しながら生きていると思います。
音に対して心象を変化創造できる不定調性論の使い手(笑)としては、今日は味のある昼下がりでした。
おまけ:ジャイアンの声はなぜ不快なのか
不快な音といえばジャイアンの歌声です。
ジャイアンの歌は、そこに集まった子供たちが聞く前からブルブル震え、恐れ慄き、歌が始まると全員耳を塞ぎます。でも遠くの人はそんな苦情は言ってきません。
それに歌を聞いてもとっても素朴でとても耳を塞ぐような声質ではありません。
この記事で述べたような、不快な要素もほとんどありません。
子供達が耳を塞ぐような要素は一体どこにあるのでしょう。
ここからは推測ですが、ジャイアンの歌声、ないし大きな声はマイクのあるなしに関わらず攻撃的要素がある、と推測できます。マイクはむしろ添え物でしょう。
特に気持ちよく歌い上げる声は周囲の人々を恐怖のどん底に叩きつけます。
声質に問題がないとすれば、あと考えられるのは生声の特殊性だけです。
きっとジェット機並みの鼓膜を破壊するような(しかし破壊まではいかないが)耳を塞がずにはいられない音量で歌っていると、しか考えられません。
ということは、
100dB … 会話不能レベル。近くで歌われると身体的な圧を感じる。
110dB … 数秒で耳を塞ぎたくなる爆音。ライブ会場最前列クラス。
→ 鼓膜は破れないが、自律神経が反応して「目が回る」「逃げたくなる」。
くらいの音量が最初から最後まで出ていることになります。
これを元にAIに推測してもらって考えると、ジャイアンの身体構造は下記のようになるそうです。
🔳肺がまるで工場のエアコンプレッサー並み圧縮タンク。
一息で空気を何リットルも押し出す。呼気圧が尋常でなく、それが全て音圧に変換され地響きのような大爆音になる
🔳声帯がワイヤーのように強い。
切れない厚みと弾力。張っても割れない、まるで産業用ワイアーのような声帯靭帯。
🔳喉がホーンスピーカー構造。
声道の形が絶妙に広がっていて、音が前に飛ぶ。まるで体内にアポカリプス・サウンドを出すような金属ホーン的組織がある。
🔳前方にだけ音が集中する“音ビーム”。
真横や後ろは意外と静か。正面に立った人だけが被害を受ける、極めて指向性の高い声。ジャイアンが少し横や上を向いて歌うのは、友人たちへのささやかな配慮と言える。おそらく直接浴びたら、失神ないし、鼓膜が破れるためであろうと思う。
🔳自分の耳を守る内蔵ブリックウォール型リミッター組織がある。
発声の瞬間に内耳の筋肉が反射的に締まり、本人だけは平気で歌える。
自分だけは無敵内耳組織を持つ。
🔳歌声が超特殊な指向性を持つ。
発せられた音波は空気中に拡散せず、極端に狭いビーム状の音圧場(アコースティック・ビーム)として放射される。波は自ら干渉し、一定距離を超えると非線形減衰によって急速に消失するため、すぐ近くで聞いている人だけが多大な影響を受ける。
🔳録音すると危険な音圧帯域は消えてしまう。
おそらく録音できる範囲以外の帯域に強烈な音圧を伴うため、マイクで録音された音は非常にすっきりとした音になる。
とすると、ジャイアンの歌がすぐそばで聴いている人だけに影響があることがわかります。そしてマイクとスピーカーは単なる添え物で、音は出てるけど、生声の衝撃ほどの効果はない、という推測もできます。
この、"超人なんだけど微妙にこじんまりとした超人感"がジャイアンのほのぼのとしたガキ大将っぷりにぴったりだと思います。
