2018.2.9⇨2020.7.3更新
ビートルズの不定調性コード進行研究
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ほぼ全曲ビートルズのコード進行不定調性考察「Yellow Submarine」2
ヘイ・ブルドッグ - Hey Bulldog
イントロ
B5 D5 E5|F5 F#5|
B5 D5 F#5|F5 D5|
1コーラス
B |% |F# |% |
B |% |F# |% |
A |F#m |B |% |
A |F#m |B |% |
B7 |F#7 |B |% |
Bm Bm(#5) |Bm6 Bm7|
Em Em(#5) |Em6 Em7 |
Bm E7 |
合ってますでしょうか。この手のリフ進行には、三和音が乗りづらいです。
(不定調性での「四度領域の音楽性」)
ちょっとブルージーで、独特の雰囲気を持っています。
これは五度領域の音楽が、七音音階を基調に、四度領域の音楽は五音音階を基調にしているからですね。
一般的には表記法がないので、B5等の五度コード表記にしています。
ここでの音階は、おそらく、
B--D--E--F#--(A)
にブルーノートF音=b5音が加わった音階になっています。
この音階は、たとえばB音の四度領域Bu4とEの四度領域Eu4という反応領域から作り出すことができます。
Bu4=B,F#,A
Eu4=E,B,D
です(すみません、この辺りは教材参照にてお願いします)。
ブルーノートのF音は、不定調性では反応領域で出せてしまいます。
F#音はB音の裏面領域なので、
Bu4(h)=B,F,F#,A
などとしてもOKです。
ですので、このイントロのサウンドは、Bu4-Eu4というコード進行の中で動く、四度領域的雰囲気、なんですね。
この考え方は独自論ですので、ご理解いただかなくても大丈夫です。不定調性マニアの方向けの紹介でした。
ブルージーだけどブルースでない音楽というのは、四度領域の音楽性で作られた音楽、というわけです。その他にも民族音楽的とか、ルーツロック的とか、いろいろ言われますが、ペンタトニックそのものは民族固有というよりも、人類共通の音階です。
ブルースをいくら聞いてもビートルズのような展開を生み出すことはできません。
根本的にアプローチが違うからです。
Bu4というのは、"四度領域のメジャードライアド"
です。(通例五度領域のメジャートライアド、Bu5=Bメジャートライアド)。
つまりこの曲は、五度領域と四度領域の二つのメジャートライアドが使われていることでこの不可思議な雰囲気が成り立っている訳です。
もちろん、ビートルズがそうした発想で曲を書いた、ということではなく、そういう進行に「これは使える!」と思えた音楽的なクオリア、発想が豊かであった、ということで理解すれば良いと思います。
イッツ・オール・トゥ・マッチ - It's All Too Much
この曲はずーっとベースがG音、コードもCとGを行ったり来たり。
サウンドも一瞬ヘビーメタルなんじゃないかって途中は思うほどです。
この曲もコードというものが混沌としてしまい,「コードの印象」はあるけど、それを無視しているようなサウンド全体の作りが、コードにこだわったビートルズのある種のゴールのようにも思えます。少し違う形でこの先に行ったのがニルヴァーナだと思うんです。
「あれ、なんかコードの約束とか無視したら、今度は”混沌”っていう雰囲気ができるんじゃね?」
とカートは気付いたわけですね。
フリージャズに感応する感性をしっかりポピュラーの側から構築してしまった彼らの感性と努力に脱帽です。