ビートルズの不定調性コード進行研究c
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ほぼ全曲ビートルズのコード進行不定調性考察 アルバム「SGT.Pepper's〜」2(2018)
フィクシング・ア・ホール - Fixing a Hole
Aメロ
F Caug |Fm7 Fm7/C| Fm7 |Fm7 |
Fm7 Bb7(9) |Fm7 Bb7(9) |
F Caug |Fm7 Fm7/C| Fm7 |Fm7 |
Fm7 Bb7(9) |Fm7 Bb7(9) |
サビ
F Gm/C |F Gm/C |F Gm/C |F F/E G |
C G |C G |C G |C C7 |
主調Fが急にFmになる展開もビートルコード得意のサイケな展開です。
例)
C Dm7 |Cm7 G7 |C Dm7 |Cm7 G7 |
こうした進行にメロディを自由に乗せてみてください。
この主調が変化する、というのは、「アイデンティティの崩壊、裏切り」という印象を与えますので(私の論ですが)、不安定な感情と似た何かを表現したり、もやもやした感覚を表現するとき活用すると良いでしょう。
この曲からなんとなく9thが光ってきますね。
そして次の曲。
シーズ・リーヴィング・ホーム - She's Leaving Home
この曲は、Vmと「9thテンションの使い方」を教えてくれる曲、としましょう。
Aメロ
E |Bm |F#m7 |% |
C#m7 |% |F#add9 |% |
A |% |Badd9 |% |
A |% |Badd9 |% |
サビ
E |% |% |% /B |
E |% |% |% /B|
E |% |D(またはBm) |% |
C#m |% |F#add9 |% |
C#m |% |F#add9 |% |~
この雰囲気、まさにビートルズ。BmがVmにあたります。
C--G--C
というドミナントモーションを
C--Gm--C
してみてください。
いつもの起立礼的な終止が、ダイナミックになります。映画的。
add9のサウンドがいい感じに響いていると思います。
どんな印象を持ちますか?
ビーイング・フォー・ザ・ベネフィット・オブ・ミスター・カイト - Being for the Benefit of Mr. Kite!
これまた怪しい曲。20年代のマイナースイングのよう。
1コーラス
Cm Gaug |Bb Dm |G7 |G7 |
Cm Gaug |Bb Dm |A7 |
Dm Dm7 |Bb A7 |Dm |
Bb A7 |Dm |Gm A7 |Dm G7 |
augの響きが、怪しく感じます。
ここでのCmはCメジャートライアドとCmの中間のようなサウンド。これ、Fixing a holeの最初のコードもそうです。メジャーでもマイナーでも良いんです。
そしてBb--A7--Dmがもうマイナーブルース進行。
この雰囲気を活用した曲になっていると思います。
この発想は前半でA7に行ったがゆえに起きたことのように思えてなりません。
A7=VI7が楽節で独立して感じられ、転調前コードのようになってるんですね。
こうした不可思議で怪しげな雰囲気を持ってしまう、ビートル進行を枠に収めるために、空想のバンドのライブ、という"コンセプト"を作ったことで、見事"コンセプト"という印象をビートルコードが持つ、ということを私達は発見したのではないでしょうか?