音楽教室運営奮闘記

音楽と教育と経営の雑記ブログ~不定調性論からの展開

なぜ「ペッパー軍曹のバンド」を創らなければならなかったか~ビートルズ楽曲topic★★★

2017.10.02→2019.9.20更新

ほぼ全曲ビートルズのコード進行不定調性考察 アルバム「SGT.Pepper's〜」1(2017)

1、サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド 

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コード進行論の先にあるビートルズ楽曲の学習が充実してくると、

「このコードの機能がサブドミナントだと分かってもしょうがない」

というところに辿り着きます。そして

「じゃあ、自分は何を目安にコードをつなげるのか」

について向き合います。

 

音楽理論書には

「あなたが何をすべきかまでは書かれていない」

のですよね。基礎学習はもはやインターネットで可能ですので、その先、

「じゃあ、自分は何すればいいの?」

について考え、先に進んで頂けるような解決策のアイディアと問題提起をしています。====

コンセプトアルバム

同アルバムは、彼らの新しい音楽表現を自在に行うために、"仮のオーケストラ"サージェントバンドをアルバム中に誕生させ、その名を借りてビートルズは好きなことをやってのけています。
こういうコンセプトでアルバムを作ってみよう、という企画勝負に出たわけです。当時はまだ珍しいコンセプトアルバムでした。

それまでのタガが外れたように実験的な要素が盛りだくさんです。

彼らはきっと爆発したかったのかな、何かを壊すために、何かを創ったんだと思います。ここが犯罪者とクリアエイターとのわずかで大きな差。

 

全曲「ビートルコード」(他記事参照、メジャーコードの連鎖)がとても重要な意味を持って使われています。
実験的な進行を、コンセプトアルバムという店構えで発信することで、アルバムジャケットの雰囲気にマッチしたサイケデリックな音楽表現が堂々とできたのではないでしょうか。

人間は変装をすると、そのキャラになった気分がします。無意識に。そうして構えると意外と自分の別の側面や、普段押さえつけていた面が表に出ます。コンセプトアルバムという形態は、そうやって自分の奥にある才能を引き出す効果がある、ということをこのアルバムは教えてくれます。もともと能力の高いビートルズがコンセプトアルバムをやったらどうなるか。結果は言わずもがなです。

クラスのみんなに「1曲作曲してきなさい」と漠然に指示するより、「お母さんについて作曲しなさい」とテーマを決めたほうが個々の能力が発揮しやすい、わけです。たとえお母さんがいなくてもその想像力によって描かれるお母さんの歌はときに神がかった表現を生み出すときがあります。

===

この表題曲は、
Aメロ
G A7 |C7 G |G A7 |C7 G |
A7 |C7 |G7 C7 |G7 |
C7 |F |C7 |D7 |% |
サビ
G7 Bb7 |C7 G7 |C7 |G7 |
G7 Bb7 |C7 G7 |A7 |D7 |~

という感じで、ブルース7thコードの印象と進行感を巧みに用いて、独自の「ビートルブルース(ブルースでもロックでもないビートルズ独自のブルージーを持つ楽曲)」を作っています。

C7→G7はブルースの終止ですが、こういうものをちょっと挟むと急にブルースっぽくなり、前後の7thコードもブルージーを帯びてきます。

 

2、ウィズ・ア・リトル・ヘルプ・フロム・マイ・フレンズ - With a Little Help from My Friends

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リンゴのボーカルはいつもとぼけていて暖かいです。

この曲も、
D-A-E
という進行がサビに用いられています。キーはEです。
つまり、
VIIb--IV---Iですね。
これもこのブログでおなじみです。

 

"悲しみはぶっとばせ"、"アナザー・ガール"、"悲しみをぶっとばせ"他、などですね。

これらの進行感を全面に出そうとすると、このアルバムジャケットのような世界観が見えてこないでしょうか?

このアルバムの化け物的な成功によってこうした進行感がある種の特殊な商業的価値を持った、という考え方は出来ないでしょうか。だから普通に真似すると

・まるでビートルズじゃん=え?商業的成功狙ってる?

みたいに潜在的に思われたりする遠因かもしれません。すべて偶然なのですがなかなかそこまで音楽的意図を思慮深く考える人はいません。

こうした進行はもともとありましたが、この化け物的な記録により「ビートルズが全部作った」と"ビートルズでくくる"習慣になっているのかもしれません(自分もそうだったかも)。

   

3,ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイアモンズ - Lucy in the Sky With Diamonds

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この曲も同じです。
Aメロ
A |A/G |D/F# | Dm/F |
A/E | A/G |D/F# | F | F |
A |A/G |D/F# | Dm/F |
A/E | A/G |D/F# | D/F# | Dm |Dm/C |
Bメロ
Bb |Bb |C |C |
F |F |Bb |Bb |
C |C |G |G |D |
サビ
G C |D |G C |D |
G C |D |D |

ビートルコード連続打ち。最初はクリシェラインのようです。不思議な話を理解してもらうために、語りかけるような印象になっている、と感じます。

ビートルズ的進行への理解の第一歩はこうした機能論の積極的な自己解釈がどこまでできるか、です。これができれば、作曲時の着想にもなります。これこそが先に述べた

「じゃあ、自分は何を目安にコードをつなげるのか」

に繋がります。着想、印象感=クオリア、脈絡、共感覚的知覚を感じることができれば、無調作品ですら色彩感豊かに作ることができます。ただし自己に対する自信、肯定感がないとそれはできません。たいていは最初「自己解釈」なんて価値がない、とかじるものです。それは社会の洗脳だと思うのです。しかし本当はあなたが感じたことだけがあなたにリアルを生んでいます。それを頼りにするしか、そもそも現実は生きようがありません。資本主義は資本ある者が巧みにあなたの考え方を占有しようとしているだけです。また学校の「一般社会人化計画」があなたの牙や角を削ぎ落してしまいます。そこから外れると犯罪者になっていくと脅されます。自己に気付いたときには人生半分終わっていたり。

(勉強や教育が悪いわけではないと思いますが・・。)

 

====
この赤字にしたFがVIb△としてふわっと上昇気流に乗るようなサウンドを作っています。この感じ、使えますよ。キーや機能はどうでもいいんです(覚えて身につけた後は)。
Bメロはまさに不定調性。コード展開が自分のギターフォームから生み出されるがままの奔放さを感じさせます。人はこの感じに「ジョンは自由で素敵」とかって潜在的に思うのかもしれませんね。

結果としてサビはGメジャーキーに転調します。あくまで、結果的に。

 

Dコードは戻る時のAメジャーキーのIVで、サブドミナント終止でAに戻ります。Eが良かったのかもしれませんが、このゆるい戻りがまたビートルコード的感覚。

注;ビートルコードとはVIIb,IIIb,VIb IIなどのメジャーコードやその組み合わせが作り出すいかにもな「ビートルズ感」を作り出すコードのことです。

 

こういう「進行感」には、共感できる流れ、できない流れ、面白いとあなたが感じる流れ、感じない流れ、が区別されていくと思います。
歌詞に着目したり、楽器の音色だったり、その音現象の洪水に何らかの「印象」「心象」「模様感」を持つと思います。それらをはっきりさせてあなた自身が「共感できるもの」を使えばいいんです。ビートルズが嫌いなら、自分が好きなアーティストを参考に。伝統知識を学習したら、次は自分を学び開発します。すぐに。

 

その感覚を作曲や制作、物事の判断に堂々と自信を持って活用していくことで、はじめて自分らしく生きる"タイミング"とかコツが見つかります。

 

こういう発想が面白い、と感じて頂けたら、他の記事もご参照頂けましたら幸いです。