音楽教室運営奮闘記

音楽と教育と経営の雑記ブログ~不定調性論からの展開

"チャーリー・パーカーの技法"を読んで 其の3

なお、この記事それぞれの楽譜は、濱瀬/菊池門下生で、不定調性関連でもお世話になってます、古い友人でトランぺッターの金山さんのツイート@kanajama にて頂いた内容からの転載です。

 

皆様の何か参考になれば、と思い、許可を頂き掲載しております。ご本人より「非公式、非公認ですが」ということですので、ご参考、引用する際はその旨お含め頂きたく思います。

 

金山さん、ありがとうございます。
この場にて御礼申し上げます。
Oh,Lady Be Goodの体験アナライズレポートは下記です。
http://ameblo.jp/terauchi-mbank/entry-11745869324.html

 

かならず原書をご自身で解釈しながら読み進めてください。

   

 

                 

    チャーリー・パーカーの技法――インプロヴィゼーションの構造分析 

 

Now's the Timeの進行にて、着目するのは、II-V時のV7のフレージング、
この曲はFのブルースですから、
F7 |F7 |F7 |F7 |
Bb7 |Bb7 |F7 |D7 |
Gm |C7 |F7 |C7 |
となるD7とC7の部分です。
(コードはあくまで通常の解釈で、これをもとにパーカーがライン作りをしているかどうかはわかりません。アンサンブル音源を良く聴いてください。)

音源は、

www.youtube.com

こちらにしました。
なお、kanayamaさんよりご指摘頂き、わたくし勘違いしてました。これは53年の録音だそうです。分析には、40年代初頭のものが良い旨、アドバイス頂きましたので、皆様もご参考下さい。

メロディ採譜については、DTMソフト、デジパフォでキーを下げずにテンポを落として聴き取りました。※タイムインデックスに若干の違いがあるかもしれません。そのあたりは上手く解釈頂きたいです。

 

0:39にソロに入って最初のD7がきます。

f:id:terraxart:20180107111321p:plain

※楽譜制作提供/Kanayama Kohei
ここでのメロディ音は、
g♭-a-c-b♭
で伸ばして、
g♭-d-c(b♭?)-
となりGmでa-gとメロディが解決します。このd以後のc,b♭音は速くて音価も小さく聴き取りづらい音です。

 

ここのD7はb9,b13系のテンションになりますから、
d,f#,a,c,e♭,b♭などがきます。さらに#11も加えるとa♭なども入ります。
これらから別のコード進行を考えた、とすると、
ここで吹かれているメロディは、
F#dim→Bbaug
です。これらのコードはD7(b13)から想定できます。

==tweet of Kanayama Kohei==
セル:D7 [fis-a-c]
セル:Bbmaj7#5 [b-fis-d-b]
セル:Gm[g] 頭拍のaは係留としての全打音(1.3.2.p16)
以下のコードチェンジ
fis/D7→Bbmaj7#5→Gmの六度進行
リニアラインはc,b-a,g
====転載以上==

 

 

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fis=f#
b=b♭
です。金山表記は音名は同著書内での表記(ドイツ語)にて書いて頂いています。ご留意下さい。

次のGm-C7でのC7は、
d#音からfまで駆け上がり、同書で最初に述べられる経過音のリックが続きます。
ここで大切なのは、パーカーの経過音の技法はコードトーンを狙って行われている、という事です。このあたりは著書を参照下さい。
omnibookのこのC7はEから始まっていますが(3段目二小節目)、私はD音に聴こえました。
金山さんより頂きました楽譜がd#より書かれていますので、こちらに順次訂正致します。
私のような耳では上手く聞き取り切れないこうした「吹きさらし」のようなフレーズが、パーカーの疾走感の魅力に私には感じられるのです。

でこのC7のあとのF7にもこれは、C7のフレーズがかぶっているように思います。
つまり最後の四小節はC7のままいっちゃっているようです。

ここでの音は
b♭-a-g-e-g-b♭-d-c
です。F7の上でP4のb♭やM7のeを使うという、発想よりC7(9,13)で考えたくなります。

16分音符で吹いてしまえば、そうした事も上手くまとまる、という発想、パーカーにあったのはないか?なんて感じたりします。

ここの旋律感も先のD7とは明らかに違うアプローチです。

次のコーラスの0:57-1:02までは対句を組んでいるようです。
ここでのD7は、Amのトライアドがはっきり出ていて、後半二拍ではD7におけるb9にあたるe♭と、13thのbが伸び、b♭に落ちます。
これって、ひょっとすると、Am→Abmって吹いたんじゃないか?と感じます。
ギターで弾くと平行移動なので、弾きやすいです。

これもこれまでの同部分とは異なるアプローチをしています。

また後半のC7では、
b♭-a-g-f-e
と落ち、
g-b♭-d♭
とGdimが弾かれます。
これもパーカーリックですが、これを自分が考えると、
このC7の♭7であるb♭からeへのラインは、パーカーお決まりのリックで、きめられたフレージングなのではないか、ということです。このラインのコードトーン以外が装飾音だとすると、eに向かう前の音はe♭でも良いはずです。どちらから前打音しても良いと思うからです。

しかしe♭で弾くと、どうもパーカーっぽくない。もっとコンテンポラリーな響きになります。

そしてGdim。これも彼の新しい音楽のアプローチだった、のではないでしょうか。♭9thがメロディとして出てくる、ライン作りを即興で、このスピードで組み立てる事の凄さを発揮しようとしていたのではないでしょうか。

次の1:12の次のコーラスのD7でも♭9のe♭がメロディとして出てきます。
そしてそのあとのC7-F7と流れる所で、b→b♭と流れるキワドい前打音の使用も、「新しい響き」としてのアプローチと、彼のライン作りへのこだわりが感じられます。
「いけてるだろ!このb!」
という声が聞こえてきそう。このb音、一番インパクトありますよね。

     

 

そしてソロの極めつけは、次のコーラス、1:26のアルペジオ、
「ソロの最後で、さらに実験してやったぜ!」
と叫び声が聞こえてきそうな、変なフレーズ。
omnibookでもここは「A♭m」になっているんですね。

え?このA♭m、どっからきたの?

でも構成音はA♭m+G♭△となっています。

これってD7(♭9,#11,13)+D7M7(♭13)

==tweet of Kanayama Kohei==
ライン:g,b-as-g-f-e-d-c-b-a
このコードチェンジは、2.2.2.2 短二度下降の(1)IIIm7-bIIIm7-IIm7
いかがでしょ
セル:Am7[e-g-e-c]
セル:Abm7[as-cec-es-gis-b-des-as]
セル:Gm7[g-g-f-d]
セル:F[c-a]
コードチェンジ:Am7-b/Abm7-Gm-b/F

==
おそらく、基本的には濱瀬さんの方法は、かなりコード設定が細かく、4音和音(G7とかDm7とか)に寄せているように思います。特にテンション系フレーズは、テンションーアベイラブルノートで処理せず、4音和音のコードチェンジに還元するのだと思います。
==
一方で垂直的には、ナチュラルには13度まで拡張するとともに(1:26のアルペジオ)、Relative Major/minorの変化音はテンションでなくて、5度(b5/#5)、7度(mM7)になるのだと思います。
==
ふつうなら、ブルースの8小節目(VI7(b9) = V7 of IIm)は、V7b9やhm.p5bとか言えばすむところ、わざわざ、IIIm7→bII dim7→vi / IIm とするです。
==転載以上==
※楽譜制作提供/Kanayana Kohei
※hm.p5bはハーモニックマイナーパーフェクト5thビロウの略です。
※as=a♭、cec=ces=h表記の意と思われます。des=d♭、gis=g#です。


次のGmのところもC7とかぶって使われいるように感じます。
だって
e-g-b♭-d-g-f#-f-e
とEm7(b5)のアルペジオ?って思いますけど、これってC7(9)です。

「小節を超えてコードを拡張してソロを取る感覚」はまあ性格かな、と笑。

 

自分はこんなふうに自己解釈してしまうので、どうしても書物から離れてしまうわけです。でも「スケールで考えない」ということが分かれば、きっと皆さんそれぞれ独自にアプローチ研究できると思います。


"Now's The time"の5コーラスで、すべて違うアプローチで攻めている、ということからも、バップアプローチの面白さを感じます。

 

サックス以外の方がフレージング概略の把握に最適です。他のキーも発売されています。 ウチもボロボロになるまで使い倒しました。

Charlie Parker Omnibook: For C Instruments. (Treble Clef Version)