さて、いよいよ実際の分析を自力でやってみたいと思います。
『チャーリー・パーカーの技法』を読み、自分なりに一時解釈して(←本当はこれがもう微妙!)、生まれ変わったビ・バップ分析を元に、不定調性と言う「和声連鎖」技法の観点を織り交ぜて、どんな分析になり、それがどのような結果を作り、このブログ的にどういう結論が導き出せるのか?を探る作業です。
まずOh,Lady Be Goodという曲ですが、英語版wikiによれば、
ジョージ・ガーシュイン(作曲)とその兄アイラ・ガーシュイン(作詞)による1924年の作品だそうで、ブロードウェー・ショーとして330回の公演されたショーの劇中歌だそうです。46年の演奏。
チャーリー・パーカーの技法――インプロヴィゼーションの構造分析
かならず原書をご自身で解釈を重ねながら読み進めてください。
パーカ-がソロを取っているパートは、この曲のコーラス部分で、実際の歌曲はこの前にVerceがあります。エラのバージョンが有名のようです。Lady=エラをイメージする人が多いのだとか。
Oh,Lady Be Good - Charlie Parker - YouTube
"Oh, Lady be Good!" Ella Fitzgerald - YouTube
上記エラの動画の0:50あたりから下記のコーラスが入ります。
エラバージョンChorus
BbM7 |Eb7(9) |BbM7 |Dm7(b5) G7(b9,#11) |
Cm7 |F7(B7?) |BbM7 Gm7 |Cm7 F7 |
BbM7 |Eb7(9) |BbM7 |BbM7 |
Cm7 |F7 |BbM7 |BbM7 Bb7 |
EbM7 |F7(9,b13) |BbM7 |Gm7 |
C7 |C7 |F7 |F7 |
BbM7 |Eb7(9) |BbM7 |BbM7 C#dim7 |
Cm7 |F7 |BbM7 |~ |
メロディとコードの展開の感じを覚えたら、パーカーのコード進行に取り組みましょう。
それで、パーカーのキーは、Gになりますので、まず先ほどのエラのキーをGにしてみましょう。
GM7 |C7(9) |GM7 |Bm7(b5) E7(b9,#11) |
Am7 |D7(Ab7?) |GM7 Em7 |Am7 D7 |
GM7 |C7(9) |GM7 |GM7 |
Am7 |D7 |GM7 |GM7 G7 |
CM7 |D7(9,b13) |GM7 |Em7 |
A7 |A7 |D7 |D7 |
GM7 |C7(9) |GM7 |GM7 A#dim7 |
Am7 |D7 |GM7 |~ |
まずこれで、コードが弾ける方は、弾き直して頂き、一度歌ってみてください。
歌えれば、バップになっても大丈夫!
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Am-D7-G
という流れで、コードがD7であり、ソロがAb7の分散和音だとしましょう。
これはバックのミュージシャンはD7を弾いたが、変化をつけるためソロ音をAb7の分散和音にした、と解釈も出来ますし、Ab7の構成音は、Ab,C,Eb,Gbですから、これらの音は、D7にとって、
Ab=#11th
C=m7th
Eb=b9th
Gb=M3rd
であり、コードトーンあるいはテンションに該当しますから、たとえその分散和音があきらかにAb7の形を為していたとしても、Ab7の分散和音だ、と100%言い切る事は出来ないと思います。
大切なのは、Ab7の構成音に該当する音をD7上で弾いても問題ない、という事だけで、覚えるべきは、
"D7のコード上でアルペジオを弾く時、裏コードにあたるAb7の分散和音を弾くと、自動的にD7のオルタードテンションになるので、比較的シンプルなアウトフレーズを作ることができる"
という現代的解釈まで個人が行い、それを自分の演奏に活かすことだと思います。
ここで行う分析は、旋律が作り出しているコードの細分化が、どのようなパターンで現れ、パーカーがどのような事をこの曲で行い、現代的な目で見た時、どのような結論がこの一曲から得られるのだろうか、という興味へのチャレンジです。
で、ここから今回のパーカーアレンジのコードを聴き取ってみます。
迷ったのですが、ベースソロの部分で感じられるコード感を基本として、下記のコード進行をまとめました。
G |C7 |G |Bm7 Bbm7 |
Am7 |D7 | G |G D7 |
G |C7 |G |Bm7 Bbm7 |
Am7 |D7 | G |G G7 |
C7 |C#dim7 |G |Bm7(b5) E7 |
A7 |A7 |D7 |D7 |
G |C7 |G |Bm7 Bbm7 |
Am7 |Ab7 | G |Am7 D7 |
と、この1コーラスが2回繰り返される中でソロをとっていく事になります。
聴いた感じは、ジャズブルースのような印象も受けます。
採譜してみました。。