音楽教室運営奮闘記

不定調性論からの展開紀行~音楽と教育と経営と健康と

初心者がDPでOzoneを使いこなすために8〜Vintage Limiter/Tape

前回

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それぞれのモジュールで統一した機能の表記は省いていますので前回以前のページや

docs.izotope.com

こちらを日本語訳して参照し慣れておいてください。

 

 

当たり前ですが、ヴィンテージ系のエフェクトは、ヴィンテージサウンドの復興再現というよりも、それらの実機が持っていた独自のコンプレッション/EQ/サチュレーション等のいいとこ取りをプラグイン化したものです。

 

また若い世代がヴィンテージサウンドの新しい価値を作るのはとても良いことだと思います。

 

Vintage Limiter

Fairchild 670がモデルなのだそうです。

私なども実はハードは知らず、UADのモデルを持っているだけです。

660の方がちょっと齧ったくらいのDTMerとしては使いやすいです。ゴツンと掛かってくれますので。煌びやかな変化は現代のプラグインでやるので、ボーカルとかアコギとか、ウッドベースとか60年台から存在するアナログ音楽楽器にゴリっと粗い存在感を与えたいときに使うことをささやかなポリシーにしてます。

またwavesのフェアチャイルドのモデルpuigcild670はより使いやすいです。もう完全にプラグインプラグインしていますが。

UADはマスタリングで、WAVESはミックスで、みたいな使い分けでしょう。ゴッツリかかるのはマスタリング向きではないと感じます。

 

あとは持ってないのでわかりません。

プラグイン素人としては、名前変わってて"フェアチャイルドがモデルだよ"って音で言われてもわかりません。

 

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このモジュールはこの三つのモード選びが全てでしょう。

 

Analog:アナログ回路特有の滑らかさ 

・速いアタック

・可変リリースタイム

・厚み重視

・タイトな低音レスポンス(ローエンドをくっきり)

(可変リリースタイム機能は、その時の圧縮量に応じてリリースタイムを自動計算し、コンプのかけすぎ/少なすぎによるポンピング現象を防いでくれる=要は不自然なサウンド感が起きないように処理してくれる、等と理解しておいてください。)

 

Tube :バランスの取れたリミッター

・可変アタックタイム

・可変リリースタイム

・入力信号に応じて変化

・クリッピングやピークを防ぐ最新の精度

 

Modern :

・Analog+Tube的

・タイトな低音レスポンス+可変リリースタイムのブレンド

・ IRC リミッティング(=インテリジェントリリースコントロール機能〜オーディオ素材によりリリース時間を自動的に設定)

 

とりあえずディフォルトのTubeを使ってみて、もっと太さ、暖かさ?が欲しければAnalogに、もっとなだらかに自然にしたければModernに、という選択なのでしょう。

 

TUBE

ANALOG

MODERN

同じ4小節を再生しました。他設定は下記のように揃えています。

アナログとモダンの中間がTubeというわかりやすさが出ているように思います。

Tube設定で鳴らしてみて、どうしたいかでそれぞれの性格に振って再設定が必要です。この辺りは実機に詳しい人は選びやすいと思います。ただし実機に近づけてどうするんだ、という話になるので、やはりOzoneはOzone自体に慣れる必要があると感じます。

 

 

Characterは各モードに依存したアタックとリリースの加減だそうで、上にあげるほど反応が速くなります。あげるほど今っぽいリミッティングになるってことですね。

一般に、変換中のクリッピングを防ぐために、ディザリングの場合は -0.3 dB の設定を使用するか、MP3 または AAC 形式に変換する場合はより劇的な設定 (-0.6 dB ~ -0.8 dB) を使用することをお勧めします。

このシーリングについてはヘルプの引用です。

 

 

Threshold

外側の 2 つのメーター=リミッターへの入力レベル

内側の 2 つのメーター=リミッターによって適用されたゲインリダクション(潰された分)

メーター下部テキスト表示=適用されている現在のゲインリダクション量

 

Ceiling=Vintage Limiter の最大出力レベルの確認

一般に、変換中のクリッピングを防ぐために、

・ディザリングする場合は -0.3 dB 設定

・MP3/AAC変換時はより劇的な設定 (-0.6 dB ~ -0.8 dB) を使用することがお勧め

 

リンクボタン=スレッショルドとシーリングが同時に動きます。割合が自動設定されているようです。目一杯まで動かすとバーが連動してしまうので、一旦リンクを切ってからまた動かしてください。

スレッショルド値とシーリング値を決定して、その割合のままレベルを上下させたい時に使います。

最初のモードを決めた後とか、後でモードを切り替える時、などはこうした設定の保存ができないと調整手順がまた0から再設置、となるので作業をリセットできなくなるサンクコスト効果に依存する前に上手にセッティングしてください。

 

True peakをオンにすると、オーディオが最終的に D/A コンバーターを通過するときに歪みが生じないようにすることができます。極めて有効な保険。

 

Vintage Tape

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テープマシンサウンドの再現モジュールです。

 

Speed

ハードウェアテープマシンは、再生/録音中に磁気テープがテープヘッドを物理的に通過する速度が決まります。

速度が速いほど、高周波応答や音質が向上する。

速度が遅いと、周波数応答が均一に低下し、バックグラウンドノイズ増加可能性が高まる。

 

なんでスピードが関係するんですか?と思う世代もあるでしょう笑。

これはテープの回転スピードです。

15ips=業界スタンダード。ノイズを最低限に抑え高域特性を保つ。16kHz付近にロールオフがある。校長は歪みが7.6ipsより少なくて済む。発生するノイズも7.5ipsより1オクターブ高い。

7.5ips=家庭用スタンダード。

 

致命的な高周波数のロス、8kHz近辺から始まるロールオフ。

逆に低域は15ipsより優れている。ソリッドなボトムエンドを求められた60~70年代のロックのレコーディングに幅広く使用された。

30ips=ノイズが15ipsのさらにオクターブ高く位置するため音楽の基本周波数帯より上で発生してくれつので一番クリアー。

ips=inch/s=テープスピード。

7.5inch/s=19cm/s=1秒間に19cm進む。

15inch/s=38cm/s

30inch/s=76cm/s

テープ回転が早い方がたくさんのデータをより濃いめに記録できます。

wavesjapan.jp

昭和世代のあの60分音楽テープなどは、4.8cm/sでしたから、86mのテープが巻き付けられていたんですね。業務用としては19cm/sぐらいのデータ量は最低記録できないと、商業録音物として使えなかった、と考えれば、音質の良さのイメージもなんとなく把握できるのではないでしょうか?ここでは関係ない話ですが。

 

ポイントはその再生スピードによって生じる電気的変動や磁気的変動が音にもたらす効果をシミュレートできる、ので、これもテープスピードナンジャラホイ、という人には、どれが自分が気に入った設定を使えば良い、となってしまいます。

 

ただそれだとミックスの過程や根拠を説明する時、依頼仕事で「なんとくこれがいいと思ったから」という程度の説明では色々信頼関係の問題になるので、その根拠を勉強できる暇があるならやっておいてもいいのでは?と思います。

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テープスピードが速いとより密度濃くデータを記録できるわけですから、ダイナミックレンジの広い曲に有効、でテープが遅いと低域をしっかり強調できる、ということになるので、落ち着いた曲をヴィンテージな感じにしたい時は遅いテープスピードを採用、という発想になりますが、相手はプラグインです笑。

やっぱり全部試した方が、目から鱗に出会えると思います。

 

 

スピード変化で、アコースティックギターのキンキンを抑え、ダイナミクスレンジも揃えて、自然なコンプレッションとして使う的な、さらっと高度な技が披露されています。

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青木氏のおっしゃる「なまらせる」って「訛らせる」なのかな「鈍らせる」なのかな。

 

Input Drive

文字通りテープサチュレーションの歪み量の調整。

 

Bias

バイアス電圧の変動をシミュレートしたディストーションカーブの形状調整。

+にすると、ゴワゴワしてちょっと乱暴にボリュームを上げて安いスピーカーで聞いたテープサウンドになります。コンプレッションという表記もあります。

ーにすると、キンキンしてテープマシンのhighをあげたような独特の歪みが加わります。高調波ノイズが加わると表記もありました。

どちらも質感を変えてしまう攻撃力があります。

バイアス電圧とは、電機機器内の回路にかかる電圧で、この電圧が変化することで内部の挙動も変化します。テープマシンなら、その機器が作り出すサウンドに影響を与えます。これをもし体感したければ、精細にEQで確認しながらその意義を把握した上で用いることをお勧めします。

 

なんでここでバイアスなんて言葉使うの?と思うかもしれません。

心理学用語では「先入観」みたいに使いますが、電気の世界では強いて関連して言えば「先に入れておく電流/電圧」を意味します。心理学用語とは違い、先入させておくことで最適化する、役割を持たせる的な意味合いです。心理学用語とは逆ですね。先入観を持って偏見をしっかり最適化しておく、みたいな意味になっちゃいます笑。

カセットテープは磁気と電気で音の振動を記録します(この辺は全員理科の授業でやっています。磁気があれば電気が生まれ、電気があれば磁気が生まれます)。

テープにその音声信号の磁気の挙動を記録するわけですが、その際にバイアス電流という記録をサポートする電流を追加してあげると、くっきり記録してくれる性質があります。バイアス電流の補助がないとしっかり記録しきれません。

下記ではバイアス電流を書道の墨に例えて説明してくれていて初心者でもわかりやすいです。

nishimurasound.jp

つまりバイアスという電流は別にプラグインでは必要ないんですが、一応バイアスと表記して、バイアス電流が高音域にもたらす効果をシミュレーションしたツマミもそれっぽく用意しました、ということです。

だからヴィンテージ関係ない人は、バイアスつまみをあげた感じが好きならそうすればいいし、下げた感じが好きならそれを用いれば良いです。

こうした機能にいいとこ取りがされているのがモデリングプラグインの良いところと言えば良いところです。バイアス電流のディメリットまでは再現しない、っていうところがポイントです。

 

 

アコースティックギターの太さをVitage Tapeで調整する動画が出ています。距離感まで変わったような気がします。これこのモジュールですべきことなのか、とか思うくらいある意味優秀。

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Harmonics

上げていくと偶数倍音が加わるそうです。

2,4,6,8,10,12,14,16倍音を考えると、

i,i,v,i,iii,v,vii♭,i

ですからセブンスコードが加わります。こう書くとメジャーキー楽曲でこれを使うと明るくなり、マイナーキー楽曲でこれを挙げると、複雑な音色になる、的なイメージを感じますが、使われた楽器の特性、目立つ音の特性に依存しますので、上げてみないとどういう雰囲気になるかわかりません。太くなったり、荒くなったり、散漫になったり、しつこくなったり色々です。これは単にミックスの経験が無さすぎてイメージできないだけです。

 

ボーカルが真ん中にデンとあるような楽曲だとかなり如実に影響を作れますのでそういったシンプルな楽曲アレンジで試してみてくだい。

ヘルプには

AC バイアス設計の不正確さ または機械電子機器からの歪みの特性をエミュレートするのに役立ちます

とあるので、テープ機器実機を持っていてこの意味がわかる人は厳密に使ってください。

 

ドラムサウンドをオケに馴染ませる、的なこともやってくれてます。

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バイアスフェーダーや、インプットフェーダーでトランジェントに影響を与えることで「ドラムが落ち着く」感じが出るんですね。

バイアス電圧を変えてダイナミクスを揃える

  <Inputを上げてサチュレートする

  <回転数を変えて音を均す

という等式でどんどん音を大胆に変える、図式が感じられます。

 

Low Emphasis

低域の温かみ、レゾナンスを調整するもので、初期値2の時点で「ヴィンテージ機器がかまされている」と言っても良いでしょう(0でフラット、ということですが、原音とどのくらい変わるのかは不明)。

上に挙げると、低音域の反応を平坦化することで音が太くなり=暖かさ?、が加わるそうです(下げるとフラットに)。

ガチャガチャたくさん楽器が鳴っている曲用ではないですね。

やはりギター一本とか、ハーモニカのソロとか、そういう昔ながらの音楽形式で昔ながらのサウンドで作りたい時はこのヴィンテージtapeは必ず使うと効果発揮しやすい、となりますね。

 

また必要以上にこの値を上げると、今度は現代機器の"心なしかLow太め"なサウンドも作れます。

バスドラのボワ!の音域あたりが強調される感じです。

 

High Emphasis

高周波損失を補完し、耳障りすぎたり明るすぎたりすることなく、オーディオにエネルギーを与えます。

デフォルト設定の 4.0 では、安定した高周波処理応答がなされます。

>低い値: 高周波数に緩やかなロールオフを加えます。

>値を高くすると、高級な輝きが追加されます。

 

これらはこのモジュールを刺した時点で効果がかかってしまってる系です。

テープマシン独特の高音特性が欲しい、と理解している人が使うべきでしょう。

 

 

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上記要点は下記に。

非常に有益なのでぜひご自身でご覧ください。内容はマキシマイザーでのモード解説も含むのでそれらの解説はマキシマイザーの記事に書いてあります。

・ラジオ時代に使われたアナログ時代のリミッターは、レベルにバッファがあり爆発的な急激な音量を適正音量に自動的に収めて割れることもなく再生してくれる便利グッズだったが、現代におけるリミッターはバッファのない0dBFSという表現できる音量に限界があるデジタルの世界において、音が出せる限界値をあらかじめ指定するためのツールとなった。

・リミッターを使用すると一番低い帯域の情報は損失する可能性があり、高周波部分には歪みが追加される可能性がある。もっもパワーのあるベース/バスドラに真っ先にリミッターがかけられるからだ。

・リミッターのリリースが遅いと音が歪むので、通常は速いリリースを設置しているだろう。その速いリリースが高周波の歪みを作り出す。低鬼機がリミットされる帯域を繰り返し聞いてほしい、そこでボーカルの熾烈音が大きくなったり、ハイハットが大きくなったりしてはいないか?その程度は適正か。変に高調波が目立ってきていないか?
それに配慮してリミッターのリリースを決めてほしい。

・リリースが長ければ音は柔らかくなり、早ければトランジェントが維持される。

 

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こちらは実践編です。今説明してくれたことをやって見せてくれます。

この辺の帯域が最初にリミッターが効くところ(40Hz-100Hz)だよ、とか教えてくれます。とても親切。

100Hzのサイントーンにリミッターをかけると、

かつリミッターのリリース設定が早いとこんなに高調波が出るよ?

と。これが先の動画で言ってた内容です。

リリースタイムをゆっくりにすれば、

歪みも減ります。このトレードオフな関係とのちょうどいい場所を探さなければなりません。

その他、一定のボリュームでいつも聞くことで、今作業をしている曲のボリュームが正当化どうか、という初心者でも把握できるインフォメーションがいっぱいなので、皆さんそれぞれのレベルで手に入れられる情報があると思いますので、ぜひオーソリティの動画をご覧になってください。

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