前回
各モジュールの統一機能説明は省いています。下記もご参照を。
Ozone 11 User Guide、Ozone 12 User Guide
- Maximizer
- IRCメニューの読解
- Character
- Upward Compress
- Soft Clip
- Transient Emphasis
- Stereo Independent
- まとめ
- 余談1: デジタルノイズの話
- 余談2 LUFS問題(2024記)
Maximizer
IRC5一択??
ここだけの話、イコライザー800Hzを3メモリあげても聞き分けられる耳と環境を持っている人以外、Ozone12のIRC5常用で良いんじゃないか?と思うほどOzone12のマキシマイザーは優秀です。
IRC5モードについては下記にて。
マキシマイザーの基本的使い方
マキシマイザーの基本は下記の動画ほぼ把握できます。
モジュールの順番にセオリーはありませんが、マキシマイザーは一番最後に。
ヴィンテージリミッターを入れるならその前です。
Ozoneの各プリセットを見るとだいたい最後の方に入っています。

このマキシマイザーモジュール自体が最強リミッターなので、これ一つでリミッティングも完了します。最後の最後の砦です*1。
Total Balance Controlで概略を掴む
どんな劣悪試聴環境でマスタリングしていても、帯域の問題の有無はTonal Balance Controlを見れば目安がつきます。
これで万一コーヒーショップで100円ショップイヤフォンで"なんちゃってマスタリング"をしなくてはならないような状況でも安心です。(いいスピーカーで聞いた時を想定できる耳を持ってることが必須)。
IRCメニューの読解

Intelligent Release Control
各モード選びはPCパワーとの相性も関わります。
マスタリングに慣れていない方はまずOzoneにAIの自動計算(マスターアシスタンス機能)して概略を掴んでみてください。
IRC Low Latency : 低レイテンシーバージョン。CPU負荷も少ない。
・Ozone入れた時点でCPU負荷が激しいならIRC Low latency一択→PC買い替えを!
IRC 1 : ラウドネス最大化。先読み(look ahead)しないタイプのアナログリミッターなので入力信号に即座に素直に反応、そのかわりトランジェントが制限され(計算が遅れアタックが丸くなる)、結果温かみのあるパンチが効く音になります。
・なんとなく無難にゆるくマキシマイズ掛けっぱなしなら IRC1(ライブレコーディング、demo音源、スリーピース一発録音)
IRC 2 : IRC 1よりトランジェントを保持/最適化(丸くならない)。シャープでクリアに。先読みデジタルリミッター仕様。先読みできる分、低音部を丁寧に再現する=低音域を太くしたい曲が得意。
・IRC1よりがっつり録音の野太い曲にしたいならIRC 2。
IRC 3 : CPU負荷大。DAW側のサンプリングレートが48kHzを超えると、古いPCだとリアルタイムでIRC3 が使用できない場合あり。
しかしオールマイティに使えるマキシマイザー。
この3が問題なく動くなら、とりあえず初心者はこれ。
Clipping : アグレッシブで歪ませる色付け/クリッピングリスク最大にして最高レベルのラウドネスを実現→壮大な楽曲向き。
Crisp : ポンピング*2よりもディストーション優先→ラウドロック向き
Balanced :最も無難な設定だがポンピングが起きる場合もある(違和感がない位置に設定するセンスが必要)。→シンプルなアレンジの曲なら普通にいい感じになります。ボカロ曲や詰め込みアレンジ曲だとポンピング起きるかも
・IRC 3自体は繊細な耳を持つ経験豊富なエンジニア向きですが、CPU負荷が気にならないならIRC3-Balanced(足らないとこを耳で聞き分けて修正できるスキルを持つ人)を使ってOzoneのマキシマイザー感を堪能してください。
IRC 4 : ポンピング/歪み低減。信号が0dBFS を超えると、ピークに最も寄与する周波数帯域を制限。制限する必要がない場合、スペクトルは変更されない。
IRC 5の次にCPU負荷あり。リミッターの前にダイナミックEQがある感じ。クラシック曲とか、オペラティックなロックみたいな超ダイナミック最重要!な曲向き。
Classic : ミックス全体を全般的に強化(強弱が激しい曲向き)。
Modern : Classicよりも詳細で明瞭(通常のポップス曲向き)。
Transient : すべてのトランジェント保持最適化。さらなる明瞭さが必要な一部のミックスに役立つ可能性がある(グルーヴ重視、すごいプレイヤーによる豪華な録音で各音を際立たせたいときなど向き)。
・クラシック曲にがっつりかけるならIRC4 Clasic、IRC 3以上にガチガチのガチエンジニア向き。
IRC 5: Ozone初のマルチバンドリミッター設計。下記に紹介してます。
・信号を4つの周波数帯域に分割し、各帯域に最適化したアタックタイムとリリースタイムを設定
・これによりポンピング歪みを軽減
・よりラウドでクリーンな、透明度の高いマスターが得られる。
・若干の音色変化の可能性があり(耳がいい人が判断するレベル)。リミッティングが不要な場合はスペクトルは変更なし。
・IRC 3の応用モデル。すべてのIRCモードの中で 最もCPU負荷が高く、レイテンシーも最も高い。
あらゆるマスターに活用可能な統合マキシマイザー(マスタリングスキル要らなくなっちゃったかもモード)
今までの説明はなかったことにしてくれて、痛くなるくらいすごいマキシマイザーです。


ただし激オモ。
左がIRC4、右がIRC5です。同じデータの場所を再生しています。
acのApple M1 16GBです。リアルタイム処理が振り切ってプツプツいいます。
多くの古参ユーザーがOzone12購入を踏みとどまるレベルで重いです。
不安な人は、無理試用期間で必ず試してください。*3
ボーカル音源にそれぞれのIRCを試したデータ
IRC 4までですが*4
IRCモードを決めたらgainをコントロールしてかかり具合を見る
IRCモードを決めたら次にこの作業です。

gainとOutput levelがリンクしている(上記クリップマーク点灯)のを確認していただき、

gainをあげるとその分だけOutputレベルを絞ってくれます。
True peakは配信曲用に(あなたの好みですが)onにすると絶対割れません。この辺の絶対的信頼感がOzoneがガチ勢以外にも広く愛用される理由だと感じます。
ここの自動計算機能にお金を払っているようなものかも笑。(下記は復習です)
一部のデジタルリミッターは、そのままではデジタルサンプル間に発生する可能性のあるピーク(サンプル間ピーク) を捕捉するように構成されていません。そのために、サンプル間ピーク (一般に「ISP」または「トゥルーピーク」と呼ばれます) を捕捉するために特別にプログラムされたモードに切り替えることができます。
もちろんtruepeakボタンは上記のような心配を払拭してくれるボタンです。

上記のようにぎっちりデータの場合、gain0でもそれなりにリミットかけてくれます。
安全安心設計。まさにマスタリングのためのプラグイン。
ミックスでOzoneマキシマイザーをかけると変にキャラが変わったり、キラッとしすぎたり、総まとめにかかろうとしたり(そのトラックだけ独立して良くなり過ぎてしまう)、色んな意味でやりすぎてしまうので、変態勢以外はOzoneはマスタリングで使う、という定石通りで良いと思います。
Character

マキシマイザー処理の全体的な応答時間 (アタック時間とリリース時間) をカスタマイズするように調整します。使用されるアタック時間とリリース時間は選択したModeに依存し、各モードでクリッピング (0.0) から非常に遅い (10.0) までの連続した範囲が可能です。

こんなふうに下部分灰色文字でもイメージを伝えてくれます。
自動計算でポンピング感が強い場合には、これを右にずらしてslowにしてみてください。
この手のツマミは効果がはっきり区別/イメージできるくらいの耳を持たないと、無駄に上げ下げしてデジタルノイズを積らせかねないので、普段練習してからイメージを固めて一発で決めてください。それがスキルです。ごちゃごちゃ動かさない笑。
まず全体のアタックとリリースを決定した後の微調整として、一番気になるところを再生して、ちょうどいい値に持っていく使い方になると思います。
Upward Compress
楽曲の静かなセクションのゲインをブーストしてくれます、これだけでいい感じに音量が上がる、ので毎回使いたくなるんですが、かなり元音を変えてしまうので、あなたのミックスプライドを打ち砕いてきます。使い過ぎ要注意。

○I(まるにi)マークをクリックしてonです。
これはマキシマイザー処理ではなく、Ozone独自の処理のようです。
この処理が最終的なピークを超えて行われることはない、ということなので、安心安全に音圧の小さい所を持ち上げられる仕様になっています。つい使いすぎちゃうツマミです。

極端にやってみましたが、ヘッドルームに余裕があると本当に綺麗に持ち上げてくれます。
Soft Clip
少しだけ厚みを出したい、というときは、Soft Clipをいじるという手もあります。

Maximizerの前にSoft Clip処理がされ、その後にマキシマイズされます。
メインのパーセンテージはDry/Wetのブレンド割合であり、Soft Clipの純粋量ではありません。なので波形を見て、耳で聞きながらバランスをとってください。
ヘルプにはマキシマイザーのスレッショルド量を調節しながら、Soft Clipの%を下げながら調節が良いのでは?とアドバイスされています。
L=Light : -3 dBFSになった信号から持ち上げ
M=Moderate : -9 dBFSになった信号から持ち上げ
H=Heavy : -30 dBFSになった信号から持ち上げ。
(このSoft Clip機能ではモジュール内で計算された値において適切にかけていくのでこの値自体を気にする必要はありません。L→M→Hの順で音の厚みが増す、くらいに最初は覚えておけばいいです。)

このclip量の変化は耳マークDeltaで聞いた方がわかりやすいかも。
ただあまり上げる必要があるなら、IRCモードのgainを上げたほうが良いです。
soft clipは本当に音割れをさせて厚みをつくるからです。割れ、と言ってもサチュレーション的な位置付けなので、若干量ならマキシマイザーのGainをあげるよりも暖かくパンチが効く時もあります。
ちょっとノイジーな曲で、ちょっと賑やかさが欲しい、とか、ちょっと厚みが欲しい、だけどゲインあげると平坦になっちゃう、みたいな曲で利用を。
逆にクリアなアコギの澄んだ感じの女性ボーカル曲とかでは、これを使うと本当にクリップ感が清純さを濁らせてしまう場合もあるので、適材適所で。
でも最初は曲想を選ばずご自身の感覚で色々使ってみてください。
新サウンド見つかるかも。

ソフトクリップとハードクリップの基本的な違い=線型動作(緑)か非線形動作(茶)かどうか。Soft Kneeタイプのコンプに似ているそう。
(引用)
soft clipモードのH/M/Lのカーブ(Ozone10)こういうデータ図は、バージョンごとに刷新して欲しいですね。
この画像はプラグインドクターの画像なので自分でやれってことですよね。
ってことで、

これがOzone11のマキシマイザーのソフトクリップです。おそらく同じ設定です。
ただ詳細数値がわからないのであしからず。

こちらはその2枚を被せてフォトショップで透かして合わせたものです。
ずれていませんね。soft clipの設定は引き継いでいるように感じました。
(画像の部分ずれは、スクリーンショットによる歪みと思われます。論文用などではPC付属のスクリーンショットは使わないほうがいいです。)
Transient Emphasis

これもいじらなくて済むならいじりたくないパーツ。
リミッティングが行われる前にトランジェントの整形を調整してくれます。
マキシマイズを通した後でもドラムなどのシャープなサウンドの維持を図るものだそうです。
これも波形と耳、deltaで確認しながら行ってください。
使う前にドラムパターンとかで変化量のニュアンスを確認しておくと良いと思います。あげすぎても作業時には気が付けず、バウンスしてから、試聴環境を変えて、なんか変だな、って気がつくレベルの微細な変化です(通常の掛け量で考えています)。
Stereo Independent
これもいじらなくて済むならいじりたくないパーツ。
Transient Slider:トランジェント部分へのリミッター反応調整
Sustain Slider:サスティン音部分へのリミッター反応調整
Link:二つのリンク
トランジェントとサスティンが分かれているのはどうしてもこれを使ってできる音の理想を感じているときに、ステレオイメージを極力崩さず調整するためだそうです。十分にOzoneの音に慣れてから使ってください。
少しでもあげるとステレオイメージに変化が起きる可能性がある、ということでマスタリング素人には危険なパーツのように感じました。
ステレオ変化はクライアント自身にははっきりわかることもあるので、「この程度の変化は"表現の改良"だろう」とエンジニア側が思ってしまうとき、クライアントとの齟齬が生まれやすいです。
ステレオイメージが変わると、ゴージャスに感じたり、世界観がちょっと大きくなったり、小さくなったりします。アーティストが良いと思ってる世界観を塗り替えてしまうと迷わせますし、世界観が変わると、あれもこれも変えたい、となってしまうので、たとえ「原曲より良くなった」と思う結果がこうした機能で形成されたとしても、"原曲の求める限界"を超えていないか、みたいなことはよくよく考えないといけない気がします。顔の修正だって、いきなりあなたの顔が超イケメンになりすぎちゃったら"修正"ではないでしょ?
まとめ
結局IRCを選び慣れていないと、何にも決まらないモジュールです。
あとはガチプロ以外「いじらなくて済むならいじらない方がいい」ツールなので、モジュール自体は簡単だと思います。
実際にAIに計算させると、必ず細部のツールを使ってくるので、そんなにSoft Clipいる??とか思っちゃうんですが、マスタリングでは「すでにミックスがされ、バランスが整えられた曲」が多いので、そこまでガラリと変わってしまうような"余計な商業キャラ化"しないようにご依頼者と事前に相談しながら進めてください。
凄腕のエンジニアにしてみれば、Ozoneを使ってもあんまり変わらない、わけで「Ozone頼る必要ある???」的に言われます。
Ozone使ってもあんまり変わらない...なんて理想的です。そこを目指したいものです。
余談1: デジタルノイズの話
DPは20回保存しても、ボリュームフェーダーを上げ下げしても、データをマージしなければ、-130dBのデータでの変化はありません(これもプラグインが他に挟まっていたら違うかも)。
ボリュームフェーダーを0dBと-∞を四回上下に上げ下げしただけで、プラグインを挟まずにこのままマージしたとしましょう。他には何もしていません。
この作業のあとデータをマージします。

これは作業前後のデータの冒頭(DP上では無音に見えますね)を、-130dBまでRX10で拡大したものです。 すこーし頭部分が太くなっていますよね。

さらに先端を拡大して並べると、やはりちょっと拡大しています。
ボリューム上げ下げで何も変えていないのに、マージだけでデータが膨らんでいるんです。本当に微量ですがノイズが増えているんです。

これはわざと上下にずらしているのですが、-90dBまで拡大して範囲も広く取ったら、そんな変化など分かりません。
耳には聞こえない、デジタルノイズの変化ですから、ほとんど完成品には関係ありませんが、「デジタルノイズが増える」という意味では、やたらと試行錯誤して3000回焼き直したデータ、よりも三回で済んだ方が、ミクロレベルの変化は小さい、となります。
だからこそ経験豊富なマスタリングエンジニアにお願いすれば、作業も効率よく進み、余計なやり直しが少なく、かつ音も良い!が実現できるわけです。
一度すごいエンジニアに頼んでいただいて、そのデータと自分がマスタリングしたデータを比較してみてください。
マージ1回だけ。-130dBあたり、約0.4秒の世界の拡大です。

マージだけ10回、同じ部分、同じ箇所、同じ拡大です。

実際のミックスでは、ここにさらにエフェクト変化が加わってきますから、マキシマイザーなどで実際にノイズ音も大きくなって焼き付けられます。
できれば試行錯誤のやり直し作業は少ないほうがデジタルにも優しいですね。
マキシマイザーで大きくされてしまうと、こうしたノイズまでマキシマイズの効果がかかることになります。作業時間は短い方が音はクリアーだという話です。
しかし無駄に不安を煽りたくないので、、同箇所-70dBまで拡大した下記をご覧ください。

影も形もないので、耳にはほとんど関係ない世界です。
気にする人は気にしてください。
余談2 LUFS問題(2024記)

Learn Input Gainに設定したLUFS値に寄せた自動計算をミックスに施してくれます。
数値を設定したら、「Learn Input Gain」の文字をクリックすると、下記のように計算してくれます。場所によって変わるので、最大音量のあたりでおこなってください。

LUFS警察の方は別にして、メータリング信仰は各位の実力や、作っている楽曲の性質によってその効能が変わるので、たくさんリリースを経験してご自身なりのスタンスを作れるようにご活用ください。
初めて制作なさるなら最初数曲は-8、-11、-14、-20あたりで一度全部作ってみて、1回だけでもアップロードして実際をご確認ください。よほど巧みなウニ波形をミックスで作れないと結果はあんまり変わらない(違いを感じ取る機器や耳を持っていないが故わからない)と思います。
またストリーミングに乗せてみて、あれ?割れてる?みたいに気がつくのは意外とミックスの段階/マスタリングの段階で割れている(またはそういう質感になっている)のを聞き逃したりしている初歩的なミスでストリーミング側に落ち度があることはもはや少ないです。
なれないと環境を変えないと気が付かないことが多いです。
慣れれば予測できるようになります。
Izotope記事では、
Apple Music =-16 LUFS
Spotify はデフォルト -14 LUFS(ユーザー選択で-23 および -11 LUFS も)Spotify ユーザーの 87% 以上はデフォルト設定を変更しない。
YouTube は-14 LUFS
Soundcloud I/O オプションで「True Peaks」の検出をオンにし、MP3 128 kbps コーデックを通じてリスニング。
的なことを意識した方が良い、的に勧めてくれます。
一応外部のページのデータです。

What are LUFS and Why are They Important?
これらの設定はサービスごとに年々変わる可能性もあります。
音量が変わっても音質には変化がない工夫がなされている(その精度もどんどん進化している)ので、どの程度どう解釈してどう受け入れるかは人によって変わると思います。
Spotifyにアップした音源をダウンロードしてRXなどで開いてWaveform Statisticsを見てもらえば音量自体は-14.0〜-14.3LUFS/LKFS(Integrated Loudness=楽曲全体のラウドネス値)あたりになっています。
これはspotify側で上手に下げてくれているので、爆音で作ってもちゃんと下げてくれます。変なコンプレッション感ももはや感じません。
制作時にLUFS数値自体を主体に考えないと絶対ダメ、ということはないように私(如きのレベルで)は感じてます。

あとはこれを意識して-14あたりで完璧なものを作るか、全く関係なく逆にSpotifyの圧縮後のサウンドを考えてデカい音で作っちゃう、とか、それぞれの信念でお作りください。スキルや経験によって信念も変わってきます。
慎重にお造りになりたい人は、各サイトのポリシーをご覧ください。
一般の人は、そこまで違いを気にしないので、この手の設定や努力は、個人がひっそり研究して実施していくべきことでしょう。
基本的にはコンプレッサーの話です。前回のdynamicsモジュールの記事の最後にこの動画の要点を触れています。
*1:
マキシマイザーも原音を加工することに変わりはないので、本来はマキシマイザーもリミッターも入れないで済むならそれが一番です-90dB以下のデジタルノイズが増える=聞こえないノイズ。最後の最後でいろんなことをしてしまって、なんだか全体がのっぺりとしてしまったという経験はありませんか?
要は最小限の作業で最適化できるスキルがないと、マスタリング作業自体が音をミクロに濁らせてしまうということになります。言うほど簡単ではありません。マスタリング専門の人以外、「マスタリングはできない」と自覚して慎重に作業したほうが良いのでしょう。我々マスタリング素人がやっているマスタリングは、ミックスの延長にすぎません。
Ozoneマキシマイザーもプリセットを作っておいて、挿して3ステップくらいで決められるスキルを持ちたいものですね。そういうのがほんとうのスキルだと思います。
*2:(コンプによる音の波打ち現象=聴いててなんか変なエフェクト感/違和感)
*3:
IRC 4まで・以下はPluginDoctorのハマーステイン分析です。わかる人用。
それぞれディフォルトからGainを+5にしただけです。
これはうちのディフォルト設定のOzoneで用いた値なので必ず各位の分解能設定でご確認ください。



下記はSweep sineの2D指数です。わかる人用。





各種ノイズのような影は、実際ノイズなのですが、これがOzoneらしい厚み、明瞭さ、圧を作っています(マキシマイザーは、このように最終ミックスにノイズを乗せて音を作るプラグイン、と知りましょう)。
*4:

設定は左部分のみです。とりあえず+5かけました。
-0.1でtrue peakも入れておきます。
Caracterは個人的にはslow側が好きなのですが、今回は真ん中の5.0で。
ボーカルファイルは短いアカペラDryファイルです。
音声は著作権があるのでデータのみで。
OzoneなしとLow latencyを比較したのが最初の赤画面です。
一時停止しながらご覧ください。
白い線がLow latancyで持ち上げられた最大値の履歴です(最大値のみが記録されたもの)。
それ以降の青の画面は。Low latencyをベースにどんどん薄い線(他のIRC)が変化してゆきます。
これだけ見ると、
・low latencyは綺麗に元を持ち上げる。4classicはlow latencyに似ている
・1と2は音量は変化せず、帯域別のダイナミクスが変化するラウドネスの質が変わる
・3の四種類は2をベースにほとんど変化せず
・4modernとtransientも2をベースに類似している
...とスペクトラムだけ見て最大値を判断すると、こんな結果が出ました。
low latancyか、IRC1か2のニュアンスを土台にして選ぶ感じでしょうか。
質感の変化を指摘しづらいので、この3種のうち、どれが主体になるかを最初は慣れないといけないです(そして慣れないうちにOzone12が出た)。
耳に一番わかりやすい音量、ダイナミクスの質感の違いをどのように変えてくれるかを目安にした選び方です。マスタリングの耳を持っていないのに、自分が良い音と感じたから基準で選ぶとミックスは破綻します。
ご参考まで。





ここだけの話、本当のエキスパートでないと、これらのすべての帯域の変化の相関を感じ取ることは普通の人間にはできません。