前回
それぞれのモジュールで統一した機能の表記は省いていますので前回以前のページや
こちらを日本語訳して参照し慣れてください。
今回はEQの話ですが、専門家ではないので、話半分に聞いていただき、専門にやられている方に指導を受けてください。
Equalizer

こちらの紹介で基本的な使い方は網羅されてますので必ずご覧になって一度触ってみてください。
optionについて

普通に(?)音楽やる人は初期設定を変える必要はないと思います。
・Spectrumはソロ地獄聴きの時の帯域幅で、狭くしたり広くできるので調節してください。数を上げれば狭くなります。
・Show Extra Curvesは後で説明します。
・Soft SaturationはアナログEQ的な質感をEQ処理に加えるとのことです。


結構攻めたノイズ(高周波)が-30dBあたりまで伸びてきます。グラフの見方はこちらで。量は調整できないようですね。
・Buffer SizeとFreq. Resolutionも初期設定でまずはOKです。Freq. Resolutionはデジタルモードの時の一度に処理する帯域幅の範囲を3Hz幅から6,12,24,48Hz幅(人間がまとまって感じられる帯域幅の目安としての区分け)より選ぶことができます。ただ一度選ぶと随時帯域ごとに選べない、ので音楽のこと細かくわかっている方は3Hzにしても良いですが、そのぶん一回にパソコンが計算できる量が増えます。
20秒間に10個の円をなるべく正確に描くのと、3分間で同じ作業をするのではどちらが正確にできるでしょうか。
3Hzにする、とまさに10秒間で10の真円を描こうとするようなもので流石のハイスペックパソコンも作業が荒くなります(Ozoneの遅延とは関係ありません/どんなに遅く作業をしてもらっても処理できる限界は決まっています)。とくにデジタルEQをリニアフェーズで使うと一度にできる処理量が増えるのでEQの効きが甘くなると感じるかもしれません。
どうしても3-6Hzで行う場合、バッファも増やしてみてください。
あまりに細かい処理はEQだけでやろうとせず、Low End Focusなども駆使して最適解を見つけてください。安定動作のためにも12Hzをまずはお勧めします(初期設定)。
つまりいじらなくてOKということです。
OzoneEQカーブについて
EQを使う時はフィルター選びが大事です。ランナーのシューズ選びです。
と言って私はその区別があまりつかないので、玄人さんの知識を追っかけてください。
とくにデジタルEQは各種設定によってカーブの癖ありすぎ〜なので自分が選んだカーブが帯域によってどう変化するか十分に事前に確認してから選べるようにしてください。ほんの少しのことで上がってはいけないところが上がってしまう、下がってしまう、ので、気がつかないうちに処理を重ねてなんだかみえなくなってしまう。。。大抵EQのフィルター設定がそもそもの発端だったりします。
だから最初にEQを入れないで、Ozoneの便利なモジュールで処理した後、それでも満足いかない場合はEQを後から適宜挟んでいきます、二つ挟めますので。
これだけモジュールが増えると、EQの立ち位置自体が変わりますよね。
analog:
最小位相 IIR (無限インパルス応答=Infinite Impulse Response filter) フィルター。
IIRは基本的なEQの計算方法ですが、高い技術力が網羅されているようで、EQ自体を自分で作ったことがない素人は黙っとれ的匂いがプンプンします。
黙って使わせていただきましょう。いえ、なにもわからないときはデジタルよりアナログでまとめた方が良いです。
アナログEQ=その帯域の雰囲気を整える
デジタルEQ=その帯域の雰囲気を変える
くらいの差があると思います。後者はたくさんミックスしてから使ってもいいくらい。
また気になる人はBaxandall EQ(位相シフトが抑えられ、柔らかくクリアな変化をもたらすタイプのカーブ)についてとか一度カーブの奥深さとか調べてみてください。
モデルになっているEQによって、選ぶフィルタの形/角度によっていじった帯域以外の音の質感が必要以上に変わった感じを与えることも経験的に想定できるようになってEQを選べるようにならないといけないようです。

Digital :
リニアフェーズ FIR=finite impulse responseフィルター。CPU 使用率高。
機能フェイズ画面表示やSurgicalフィルターが選べます。


IIRとFIRのフィルターの話は難しいので計算量が多い(重い)のがFIRと覚えておいてください。非常に高精細処理を行う分、微細なデジタル作業ノイズが積もる可能性(耳に聞こえないレベルだけど)があることも一応頭に入れておいてください。
ディフォルトでPhase0%でリニアフェイズ設定になってる、という意味です。
EQよもやま話

いろんなタイプがありましょうが、EQでは元の音と変化させた音をミックスして得たい音を得ます。
各帯域での加工処理が少しでも遅れると、アウトプット時に原音との混ざりにタイムラグが起きるので、その時位相差が生まれます(上図参照)。しかしここはミックスする人の技術レベルによってその微細な位相差を「暖かさ」とか「デジタルさ」と感じることで処理されることもあります(ただの位相ずれなのに!)。
リニアフェイズはこの位相遅れをなくすシステムですが、音楽はEQだけが刺さっているわけではないので、必ずしもリニアフェイズが「完璧な音」を自動的に生み出すとは限りません。
またEQオプションでShow Extra Curvesをチェックすると、

下記の三つの波形もみることができます。これはすごく目安になります。

(マスタリングでこんなに下げることはありません/あくまでこの記事用です。)

Phase Delay : 時間 (ms) で表される位相応答ずれの計算。
Phase Response : 度数で表される位相応答ずれ表記。この曲線は、アナログまたは最小位相イコライゼーションを使用する場合に最も役立ちます。
Group Delay : 時間単位での振幅エンベロープの遅延の計算 (ミリ秒)。このカーブは、トランジェントを扱う場合に最も役立ちます。
これらのミリセカンドのズレが先ほど述べた、変調させた音を原音とミックスする時に起きる時間のずれです。時間がずれれば位相ずれが起き、コーラス効果が起きてしまいます。
波形が同じ画面で配置されるので分かりづらいですが、画面の右側にはそれぞれの目盛りがあるのでグラフの見栄えではなく数値の方をご覧ください。

同じ量でかけたEQラインでもデジタルとアナログでは微妙に異なります。変調させる帯域によって処理にかかる所要時間が変わるからですね。EQによって全部こういうのは変わるから、何KHzをどのくらい下げる、とかう発言は全く意味がないことがわかります。
EQを使えば使うほど音データが発信されるとき"歪む=耳に聞こえない超微細なデジタルノイズ-後述-の発生源となる"というのもわかると思います。
そもそもアナログEQは、あらかじめ決められた帯域をそれぞれの電子回路の中に配置された電子部品を使って音を変えていくもので、それぞれの機種にそれぞれの良さがあります。結果として変わる音、自体が"このEQっぽい音"として歴代認識されていました。
「あったかい音になる」的な表現は、「低音の方に耳に聞こえないノイズがたくさん載っている」という意味かもしれないですよ???(ここは適当)アナログのシミュレーションはそうしたノイズ感の再現を行う分ノイズに寛容、という先入観あるのでデジタル処理のほうがクリアなんじゃないか、みたいに感じるかもしれません。
同じノイズになったとしても自分が扱っている状況で感じ方が変わるかもしれませんし 実際のノイズかもしれません。
プラグインにせよ、ハードでのEQにせよ、本当に偶然に直流ノイズが入ってしまうと DC オフセットが起きますので、マスタリングなどでEQを用いる場合には、Ozone、WaveLABなどマスタリングに特化したEQを用いて、高負荷でノイズが乗る可能性が出てしまう急峻な設定は避けられるように全体を整えてかけていくといいとされます。

機種によって、扱える帯域が異なり、つまみが固定され、できる処理があらかじめ決まっています。
現代っ子からすると信じられないかもしれませんが、当時は加工する帯域はバンド編成などで大体決まっていたんです。現代のようにあらゆる効果音や楽器が音楽につかわれることは少なかったわけです。
お金のないバンドはギター2本、ボーカルとベース、とかってだいたい編成が決まっていたんです。そういうバンドが星の数ほどいたんです。
効果音にサンプル使ってグラニュラーエフェクトかける、的ミックスは存在しなかったんですね。
よってぶつかる帯域も似通っていました(ミックス考えてぶつからないようにアレン使う場合はあまり 急峻な設定で用いなくても済むように整えジしろ、くらいまで徹底できました)。だからバンドの音よりもEQの音が基準になり、そこに(エンジニアのやり口に)合わせるように皆でツラ付き合わせてサウンドメイキングした方が、エンジニアと、スタジオと、ミキサーと相性のいい音が作れました。
今みたいに、訳のわからんデータが訳のわからん人からわけわからん形式で送られてくる時代ではなかったんですね。
自分のミックスはEQ三種類しか使わない、的な人の方が本当は"いい音"、かつ"個性的な音"が作れると思います。その3種全てを極めている人なら、どこをどう変えれば、元の音を活かしつつ、さらに洗練できるかが瞬時に予測できるから余計なこともしませんし、予測通りの音ができます。
下記をご覧ください。
analogのGloup delayです。
一番右です。

DigitalのGloup Delayです。

それぞれ同じ帯域幅で-4だけカットして、現れる波形への影響を計算してカーブを書いてくれています。白い点線が遅延の度数です。
EQで困ったことにならないように、録音時のマイキングや音作りも重要になります。
エンジニアは録音された理想を忠実に仕上げるのが仕事で、悪いものをよくする(ディレクターの仕事領分)わけでも、普通のものをもっと良いものにする仕事(プロモーターの仕事領分)でもありません。
位相の遅延とは、周波数を変化させる処理が、帯域別に違うために入力から出力において多少の遅延が生じることを意味します。大したことない、と思うかもしれませんが、位相の遅延とはつまり位相ずれです。帯域の変化だけでなく音の出力、アタックに変化感が生まれる可能性があるわけです(マスタリングでこんなに下げないけど)。
下記のように発音するタイミングがEQをいじったところからずれていく、わけです。上手右にmsとありますが、ミリ秒のズレが起きます。
これが目で見ながらわかるのが初心者にはありがたいです。音が耳に感じられないレベルでどうずれているかが分かるからです。

しかも帯域でそれぞれのズレがあり、デジタル、アナログでそれぞれ違うずれ方をします(参考)。コーラス効果とは言えない微細なこれらの変化を時には「暖かさ」とか表現してきたわけです。悪いことばかりではないのですが、ある程度の変化を必要とする作業では変化による全体のくぐもり事故が起きる可能性もあります。昔は頑張って「暖かさに聞こえる範囲に落ち着かせるしかなかった」ともいえます。それこそ職人芸です。
EQでこんなにいじるなら「ダイナミックEQでこの帯域だけカットした方がいいかも」と、よりシンプルな変化で、同じ効果が得られる方がデジタルのノイズの堆積を減らせます。いずれにせよバウンスする前はいい感じに聞こえても、バウンスした後デジタルノイズが変に全体を邪魔する可能性があります。
デジタルノイズについては下記で少し触れています。
EQは無難なツール、とか思わないことも時に必要です。マスタリングの場合はクライアントがある程度満足した音色で依頼してきたわけで、激しいEQマスタリングはその根本を変えてしまう恐れもあります。
最上の音調整が、緻密な設定が逆にノイズを産んでしまったり、彼らの"健全な荒削りさ"を整えすぎてしまうことで勢いを失速させてしまう場合もあります。

右の数値部分をドラッグすると該当値まで見れます。ここでは-10ミリ秒遅れることになります(こんなに下げないけど...でも人は1ミリ秒でも聞き分けられます)。このGloup Delay(うなりのピーク差平均=このくらいずれてるよというビジュアルイメージ)はトランジェントなどをシビアに処理するときに目安にできると思います。
逆にこのミリ秒の遅延こそがアナログの質感だということもできます。
クールな曲で低音域にEQをかけなければならない時、アナログよりもデジタル処理の方が、遅延が少なく、固いサウンドが保てる、みたいな発想もできます。
たいていは低音域の方が処理が重いですが。
EQでカットしてもデータがクリップする時があると思います。カットによってカーブで歪みが強化される帯域などがあり、音量が持ち上がります。難しいですよね。
同様にPahse Delay(信号のピーク差=信号の頂点について入力と出力でこれだけずれますよという数値指摘)も表示できます。
アナログ

デジタル

高音のピークはほとんど変わりません。やはりアナログの方が大きいです。
デジタルEQの冷たさ、硬さは帯域の音色が変化したのに、その変化が周囲に及ぼす影響が小さいから、とも言えるかもです。反対意見認めます。
下記はPhase Resonance=位相応答を度数で示すものです。
右側の数値が何度ずれてるかわかります。さらに下の図のdegreesが角度です。
ミリ秒で示すか角度で示すか、イメージのわかりやすい方を自分の判断目安にすると良いです。
曲や音像、音質によってガラリとイメージ変わります。
analog

degital




こんなの見てもわからないのですが、へーこんなにズレるんだ、ってすぐにわかって勉強になります。アナログEQだと雰囲気だけで現実の数値データは見られません(昭和はそれでやってた)。
そしてDigital設定でPhaseを0にする(初期設定がリニアフェイズです)と、今まで示してきた位相のずれが全てなくなります。
これがリニアフェイズEQです。

リニアフェイズにはプリリンギングというディメリットがある、とされています。
スペックの低いPCだと位相ズレを解消するためにアタック部分がぼやける、という現象ですね。これがリニアフェイズEQの問題点だ、としていますが、この辺りはizotopeさんは優秀ですし、リニアフェイズにおけるプリリンギングの注意とか説明書にありません笑。これは、もしプリリンギングが起きるなら、その帯域はリニアフェイズ以外を選択すれば良い、的な発想自体が当たり前だ、とでも言わんばかりです。低音域はプリリンギングが起きやすいので、それもわかってつかってね当たり前でしょ的な感じもします。
そういうとこ秀才揃いの会社は怖い。
例えば低音の位相ずれを戻すために、それぞれのphase値を変えたり、

その近所に別のnord(EQの点)を設けて、そこでフェイズ調整すると、若干低音の位相ずれが解消されたりします。
目で見て位相ズレがわかる以上なんでもできるので気が済むまでいじってみてください。こういうのを耳だけで「暖かさ」「ふくよかさ」という質感、聴感に落とし込んだ昭和のエンジニアの文化を感じます。
なんかこんな感じなんだぁ自分の音、とか思ったものです(ギターでした)。あれはエンジニアの腕が悪かった、とか言ったりしてましたが、なんてことはない、私に音響の知識がなかったから、お任せにした結果だったのです。言われて出された音を「これがまあまあいい音じゃん?」と言われたら無知な人は従うしかありません。
理屈や慣習の勉強だけでも必要、と感じました。
EQはカットとブーストだけが役目ではありません(カッコイイコトイッタ)(当社比)。

要はこの三つのカーブを表示できていれば、何が何でもリニアフェイズにする必要性が減るし、別の方法で同じような効果を得ることができる、というわけです。
逆にDeEsserだけで済んだ、とか、仲間内サービスミックスなら「もっとボーカル下げてミックスもう一回やって」の方が良かったり。なんでもエンジニアに任せると自分に皺寄せがくる。
また、あとで説明するmid-sideモードで合わせ掛けしてサイドのトランジェントを持ち上げる、とかサイドのhighをあげてリニアフェイズのボケた感じを音像の上で解消する、とか。
これは耳で聞き取れるレベルではないのでこだわる人は、、、の話です。

EQもいじらないに越したことはない、という結論になりますが。
そしていじった音に対して「温かみを出した」「今っぽくくっきりさせた」みたいに位相ずれを巧みに弁解表現されても、通例無知だと「ああ、そうなんですね...」と答えるしかありません。作業ミスを証明することができない世界だからです。
なーなーで"なんとなくよくなった"で済ませられてしまうこともあるでしょう。
Ozoneを使うと、完成形をイメージできていない人ほど「Ozoneやべー」って思うはずです。
帯域地獄聞き。

ピンポイントで聞く時はalt+クリックで聞くことができます。
この時マウスホイールを回すと、
聞ける帯域が広がります。

また、ノード帯域別にソロ聞きしたい時は、soloボタン以外に、より簡単にalt押しながらノードの頭ボタンを押すとそのQ幅帯域に応じた範囲がソロで聞き取れます。そのまま右クリックもすると、指を離してもソロ聞きの状態になりますので、Q帯域を広げるなどの微調整も行えます。
マニュアルにも書いてありますが、下記動画で青木氏が27-29:00ごろ実演してくれてる感じを見た方が感動します。
alt+左クリックのまま→右クリック
と押すことで、クリックを離しても解除しないまま限定視聴できます。
これを解除するには、
alt+右クリックのまま→左クリック
で解除されます。
Dinamic EQ

EQのように完全に音を変えてしまうことなく、必要な出っ張り部分だけ音を抑える、という使い方ができるのがダイナミックEQの特徴です。EQよりも音に変化を与えないのでピンポイントでここだけ直したい、という状況ではEQを挿して大雑把に音を変えて主張するよりもダイナミックEQの方が元の音像を守ってくれます。
基本はEQの考え方と同じなのでサクッと行きます。
・その楽曲のあるパートのその帯域の一部の音だけ上げたい/下げたい
・スレッショルドでその帯域部分がブースト/カットに反応するラインを曲を流しながら決める
・必要ならアタックとリリース値、オフセット値=基本ゲイン値を決める


この四種類のモードがある、ということですね。
上げて引っ張る
上げて抑える
下げて引っ張る
下げて抑える
元の音を強調してさらに上げたいか下げたいか、抑制して戻したいか、さらに押さえ込みたいか。状況によってさまざまニーズに応えます。

Auto Scaleはアタックリリースを自動計算してくれるそうですが、Auto Scale入れてみてご自身が与えた数値と違う値でしたら調節してください。
帯域を変えると自動的に変わってくれます。
ディフォルトでonになっていますからizotopeさん的には自信があるんでしょう(遠い目)。。。
VintageEQ

VintageEQは上部はPultec EQP-1A、下部はPultec MEQ-5がモデルだそうです。
われわれDTM後続部隊は、ヴィンテージのEQ実機を触ったことがありません。
もうその時点で問題なのですが、私などは、波形が視覚で追えず、いじれる帯域も限定されている"古いEQ"のどこがいいのか、とか最初は本当に思ったものです。

こういうイメージですね。UADなら下記のようなセットと言えますね。

アナログEQは画面左をinにしなくても音が変わる(少しレベルがあがる)という伝統がありますが、Ozone VintageEQを挿しただけの波形とバイパスの波形を見てみましたが、そこまで視覚でわかる変化ではなかったです。
VintageEQon

Ozoneバイパス

重ね合わせ。ほとんど変化ありません。

よって、このOzone vintageは「挿しただけで変わる」とか思わなくてもいいのかな、と。
ヴィンテージEQのカーブを真似てくれている、ということで聞き馴染みのある低域、高域を作れますが、扱いは全く別物です。
カーブが視覚的に見える時点で、クリエイティビティが違います。
ヴィンテージEQのカーブの独自性は、

イコライザーモジュールでもヴィンテージEQのカーブの特性を真似たものが使えます。
カーブを持ち上げるとその分反対側が潜り込む/膨らむ領域がある、というのが特徴です。この特徴で音量が変化しすぎることが防げますからね。


Low45Hzでカットを一定にして、ブーストをいじったときのカーブ差です。
なかなか色っぽいカーブですよね。デジタルEQのこじんまりとした波形の動きに比べ、大きな範囲に影響が出ます。
大きな変化でサウンドがガラリと変わる分、どこまで変化させていけばいいか、いじりながら掴めてくるんですよね。「あ、そこまでそうならなくていんだよな」とかイメージが湧いてくるんです。大きなカーブなので変化感を聞き取りやすいからです。
よく「つまみいじってもどう変わったのかわからん」みたいな繊細すぎる現代的プラグインは(耳の良くない)私などは、使いながら着地点がわからなかったりします。
バイパスしたこと忘れてツマミをカッコよくいじって「あー、こんな感じかなぁ」とか平気で言ってた笑
変わってねーっつーの。

こんなカーブは極端すぎますが、大体変化させる音の帯域を「ピアノの最低音以下」「ピアノの音域」「ピアノの最高音より上」と分けると、どの辺にカーブの軸が来るか、それぞれの帯域のキャラクターがざっくり作れます。細かい波形が目で見れなかったヴィンテージならではの工夫だと感じます。この大きなカーブに合わせてサウンドを作ったものです。ちゃんとEQがかからないバンド(EQに合わない)は「お前らレコーディングのこと何も分かってねーな、ちゃんと事前にここがなんのEQ使ってるか調べて音作ってきてねーだろ」とか言われたものです(平成初期)。
良いバンドサウンドは大体同じカーブを描くから、そこに揃えるくらいは下手くそでもできるだろ、自分の音ばかり出してんじゃねーよ、と言いたかったんですよね。
今思うと理屈がシンプルでやることも明快だったのに、無知でそれすらできないなんて。売れねーわ。

High-Midの3Kをブーストしても上がってるのは4Kあたり、みたいなのがヴィンテージEQです。ハードだと波形が見られないので、つまみの数値設定の癖把握がとても重要です。
この辺も先に述べた「自分が使うEQを知り尽くしている」癖を体感で把握している人なら関係ないですね。
昭和的にいうと、あそこのカレー、店主の機嫌がいいと盛りが多くなるよなぁ、店入る前に顔見て判断できるかどうか事だ、的な理不尽な目分量を楽しんでいた時代がありました。機材も当たりハズれがあって、ハズれた!と思っても10年使うといい音作れるようになれたりしたものです。今は半年単位でもっといい機材が出ちゃう。
すみません、もちろん現代の利便性には手放しで感謝しております。
実際EQいじったときのカーブの特性を見たければ下記をご参照まで。
EQも仕事やった感が出せるツールであり、その根拠を言語的に捏造しやすいので、本当は原子力施設の機材を扱うつもりになって慎重に扱っていくと良いと感じました。
マスタリングでのEQはクライアントが求めた音の"理想の復元"のための行為が主体、という話から、非常にわかりやすくEQツールについて全体像を示し、中半から実際にマスタリング作業におけるEQの使い方をOzoneで実践してくれます。この作業もイヤフォンで聴けるほど明瞭に良くなる実演で、聞いてて楽しいです。
ぜひ、特にミックス中級者の方でマスタリングにあまり明るくない(私のような)方は、ぜひ上の動画で一流の技をご覧になってみてはいかがでしょう。すぐ真似できると思わないでください。いきなりオリンピックに出る人の技を真似ようとするようなものです。
30分の有意義な社会科見学です。
一流人の井戸端会議が見れます。
いろんな人のミックスをそんなに長時間みなくても良いとは思いますが、ファンの方にはたまらないでしょう。
ご自身が好きなエンジニアの作業を見てインスパイアを受けられるなんて良い時代ですね。
