音楽教室運営奮闘記

音楽と教育と経営の雑記ブログ~不定調性論からの展開

和声の機能を賞味期限切れさせるコンセプト〜ビートルズ楽曲topic★★★

ほぼ全曲ビートルズのコード進行不定調性考察「Magical Mystery Tour」3(2017)

全ての記事はこちらから

www.terrax.site

69、ストロベリー・フィールズ・フォーエヴァー - Strawberry Fields Forever   

歌い出しの部分です。

open.spotify.com


A |A |Em7 |Em7 |
F#7 |F#7 |D F#7 |2/4 F#7 |
6/8 D D/C# |4/4 A |
変拍子が凄いです。

まずコードが二小節に渡っている点から考えてみましょう。
Aを二小節、Em7を二小節、F#7を二小節。
結構長いですよね。
こうするとどんなことが起きるように感じますか?

このような長い拍数での使用は、コードの機能が独立すると思うのです。
最初のAはトニック的だとしましょう。暫く1コードが長いと、機能や調の感覚から離脱し、モーダルな感じになってきます。

そのあとEm7が来ると、一瞬Vm7ぽいですよね、変化した瞬間は。

でもそれらがまた連続すると、どんどんまた機能感が剥離し、独立していくように感じられます。Vm7感がどんどんIm7感になっていきませんか?

 

そして、F#7が来た時には、Em7=Im7にしたII7感、またはEm7がDメジャーキーのIIm7で、F#7がそのIII7的な感じがする方もおられるかもしれません。

コードは長く鳴らせば、その響きが独立し、機能感や連鎖した印象をまた変えることができる、又はそう感じる人がおられる、ということですね。


ジョンがこうしたことを意識していたかどうかは問題ではありません。

そう感じることでそれを「自分の用法」として咀嚼し、どんどん自分なりに活用すればよいのだと思います。

 

ちょっと試してみましょう。
例;
CM7 |% |Dm7 |% |BbM7 |% |FM7 |% |
Em7 |% |F#7 |% |Bm7 |% |Am7 |D7 :|
不思議な感じだと思います。
"言い出せない男"みたいななんとも、あっちへふらふら、こっちへふらふら。という感じです。

 

また、

CM7 |CM7 |CM7 |CM7 |

CM7 |CM7 |CM7 |CM7 |

FM7 |FM7 |FM7 |FM7 |

FM7 |FM7 |FM7 |FM7 |

こんなに1コードを続けたらさすがに機能が賞味期限切れを起こします。

それぞれ世界中の個人が、必ずこのコードになると機能をかじなくなる、という特定はできません。それを無視してFM7をCメジャーにおけるIVである、とただ書いてしまったとき、それは将来的に無意味な学習になります。

これ「どのくらい続けたら機能がなくなるか」なんて個人の価値観です。

だから「音楽理論」があなたに成立するのはほんの表面だけです。

そこから先は、自分のやり方を想像していく必要があります。

     

70、ペニー・レイン - Penny Lane

open.spotify.com


このアルバムの頃は、凄く転調に対する意識が高まっているような感じがします。この曲も激しい転調をスムーズに行っています。
マジカルミステリーツアーあたりから起きたこの雰囲気の変化は、当時の彼らの作曲技法マイブームだったのでしょうか?

歌い出しの部分~です。
B |C#m7 F#7 |B |Bm7 |
G#m7(b5) |GM7 |F#7sus4 F#7 |F#7sus4 F#7 |
B |C#m7 F#7 |B |Bm7 |
G#m7(b5) |G |F#7sus4 F#7 |E |
サビ
A |A |D |D |
A |A |D |F#7 |~

一段目のB→Bm7のトニック転調はポールの得意技。

そこからG#m7(b5)→GM7の展開です。
このコードの流れは、ギターだと、ベ-ス音が下がるだけなんです。
G#m7(b5)=G#,B,D,F#
GM7=G,B,D,F#
でG#→G音の移動があるだけで、簡単に演奏ができます。

それでもこの憂いを持った進行感は、私などは「ペニーレインのあれ」で通じます。スタンダードジャズなどにも出てきますが、ポピュラーでどのように使い、どんな雰囲気を作れば良いか、をビートルズも示してくれています。こうした和声変化を不定調性論では、動進行と静進行という考え方で分類します。

 

これがまた半音でF#7sus4に降りてくるところがビートルコードですね。

これがビートルズが作りあげた新しい商業音楽的進行であり、不定調性進行~様々なジャズ的転調のポピュラー的認知につながります。


これでそのままサビに行かず、F#からVIIb感を持つEに一端行き、がらりと変えてこのEを続くAメジャーキーのV7の印象を作ります。弾いてみて体感してください。

 

そしてサビに行き、今度はIVであるDから、VI7であるF#7に一旦変化をつけて、このF#7をBメジャーキーのV7にしてしまうんですね。

ドミナント感という誰でもなじみのある進行感をベースに、ジグソーパズルでも作るかのようなコード進行がポップに使われているビートルスの進行、そのエッセンスやアイデアだけでもぜひ自分のものにしちゃってください。

単純に"知っているコードをどの程度自由につなげて、音楽的脈絡を作れるか"という問題です。