音楽教室運営奮闘記

不定調性論からの展開紀行~音楽と教育と経営と健康と

制作メモ;アンリ・デュパルク / extase〜DTM実作-ピアノとオーボエ

ご依頼をいただいてトライ第二弾

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とにかく美しい曲です。

冒頭、五度のクリシェですが、魔物が迫ってくるようです。

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三拍子って扱いやすいんですよね。三拍子自体が独特の仕掛け細工のような雰囲気を持っているからかもしれません。何か起きそうな雰囲気ですよね、三拍子。

 

DメジャーのV度Aからふわふわ始まり、AがIではないか?と感じられた頃、Em6がAのVmのような印象で現れます。

I-Vm-I はとてもダイナミックな響きであることはおなじみでL'adiuのメロもI-Vmでした。何十年も前に作ったのですが気にいっています。

制作メモ;L'adiu 協和による不協和、秩序による混沌。

 

そのあとのdim、D6⇨F/A の短三度移動、歌始まりのBb7⇨A7への半音下降の流れ、銀色と灰色の感情感。

 

C#m7 |Bb7 |D#/G |A7 |

Em7 |C# |F#m7(b5) |

A7 | D |Am |D |

Am | B7 |Dm |G7(9) F7|〜

 

歌の部分のコードを簡易的に還元したものです。

後半もD-AmというI-Vm的な動きが出ます。

 

C#⇨Bb

E⇨C#

F#⇨A

 

という短三度の根音の動き。

 

二⻑調(D)ダイアトニックコード

三和音;D Em F#m G A Bm C#dim

四和音;DM7 Em7 F#m7 GM7 A7 Bm7 C#m7(♭5)

 

曲で使用されるDメジャー該当の和音は、Em、A7 だけです。

キーが定まらない不定調性進行の楽曲と言っていいでしょう。

 

歌のメロディは十二音のうち、d#だけが鳴っておらず、あとは全て11音出てきます。

 

これは狙ったのか、狙っていないのか。

 

楽譜の B7 で d#をピアノが響かせていますから、12音全てが現れている、と考えることもできます。これは偶然でしょうか。

 

アンリ・デュパルク - Wikipedia

なかなか難しい人生を送ったような作曲家です。

 

同曲をアナリーゼしたい方に。

元本

Extase (Duparc, Henri) - IMSLP: Free Sheet Music PDF Download

ポピュラーコードは還元されたものと捉えてください。解釈者の見方が変われば変わると思います。

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