ご依頼をいただいてトライ第二弾!!
とにかく美しい曲です。
打ち込んでて緊張すらしてくるような曲でした。
今回初めてこの曲を知って驚きと共に打ち込んでみたわけですが、曲構造というよりも全体の雰囲気が持っている緊張感にやられちゃった感じです。
近代和声の曲ですが、ちょっとポピュラー的に打ち込んでいますのでどっちつかずの解釈かもしれませんがよろしくお願いします。
今回もご依頼があってオーボエの音源を使用しました。いつものChris Heinです。
冒頭、五度のクリシェですが、魔物が迫ってくるようです。
三拍子って扱いやすいんですよね。三拍子自体が独特の仕掛け細工のような雰囲気を持っているからかもしれません。何か起きそうな雰囲気ですよね、三拍子。
DメジャーのV度Aからふわふわ始まり、AがIではないか?と感じられた頃、Em6がAのVmのような印象で現れます。
I-Vm-I はとてもダイナミックな響きであることはおなじみでL'adiuのメロもI-Vmでした。何十年も前に作ったのですが気にいっています。
そのあとのdim、D6⇨F/A の短三度移動、歌始まりのBb7⇨A7への半音下降の流れ、銀色と灰色の感情感。
C#m7 |Bb7 |D#/G |A7 |
Em7 |C# |F#m7(b5) |
A7 | D |Am |D |
Am | B7 |Dm |G7(9) F7|〜
歌の部分のコードを簡易的に還元したものです。
後半もD-AmというI-Vm的な動きが出ます。
C#⇨Bb
E⇨C#
F#⇨A
という短三度の根音の動き。
二⻑調(D)ダイアトニックコード
三和音;D Em F#m G A Bm C#dim
四和音;DM7 Em7 F#m7 GM7 A7 Bm7 C#m7(♭5)
曲で使用されるDメジャー該当の和音は、Em、A7 だけです。
キーが定まらない不定調性進行の楽曲と言っていいでしょう。
歌のメロディは十二音のうち、d#だけが鳴っておらず、あとは全て11音出てきます。
これは狙ったのか、狙っていないのか。
いずれにせよ不定調性進行の先駆けとも言える大先輩。
楽譜の B7 で d#をピアノが響かせていますから、12音全てが現れている、と考えることもできます。これは偶然でしょうか、それとも彼が望んだことなのでしょうか。
楽曲全体の響きがとても不気味で、ずっと銀と灰色の風景だけが続いていくような、それでいて気を許すと青や深緑の不思議な風景が見えるような不定調性的な楽曲で私個人的にはとても相性の良い曲だと感じました。
なかなか難しい人生を送ったような作曲家です。
自分の作品を発揮するような根性の持ち主。
なかなか見習えなさそうですが残った作品はどれも凄まじく魅力的です。
今回かなりまた音圧、リズムを自由にいじっています。現代音楽ですから。
自分の呼吸のペースに引き込もうとしている危険な香り。
しっくり来る違和感を求めて。
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元本
Extase (Duparc, Henri) - IMSLP: Free Sheet Music PDF Download
ポピュラーコードは還元されたものと捉えてください。解釈者の見方が変われば変わると思います。