この時期から「ミュージックアポリア(音楽的思塞疑窮)」という言葉を使い始めています。不協和な世界、不定調性が作る世界を思索が行き止まりになるような、しかしそれでも進んでいこうとする意欲、と言ったニュアンスを感じる、という意味です。
下記作品の感じがわかりやすいでしょう。
- 赤と黒の戯れ〜和声崩散/旋律心象層/連奏不明協和音
- レメディオス・バロの夢〜崩移旋律飾
- じべたに咲く華
- Electro Synesthesia
- 歌のないアルバム1〜花がふってくると思う
- 青い船に乗って
- Marine Monday
- RAIN SLEPT
- 夢のくゆり
赤と黒の戯れ〜和声崩散/旋律心象層/連奏不明協和音

このように和音を鳴らした後、一つ音が飛散するような表現を「和声崩散」「和声擦寄」と言います。せっかく安定した和音を崩したり、疑問符をつけるような後から生まれる音を置くことで、抽象的な訴えかけが生まれます。この崩れは、旋律でも用いられます。アプローチノート的な利用を指しますが、不定調性というコンセプトがある場合、アプローチ音は自由ですので「旋律崩散(崩れるように元の旋律型の音に散る感じを与える)/旋律擦寄(本来の旋律に前打音がついて、にじり寄るように適切な音に寄っていく)」

またこのように一つの旋律を高さを変えて重厚な響きにする技法を「旋律心象層」と言います。必要に応じてヴェロシティを変えたり、タイミングを微妙にずらしながら非言語的な訴えを表現します。

また、アルペジオとまではいかなくても、不協和音を段階的に発音することで、複雑な和音の輪郭をぼやけさせ、かつ不協和音を適切な音量バランスで表現するやり方を、「連奏不明協和音」と言います。昔から使っています。微妙なタイミングでアルペジオ的な旋律に聞こえるくらいアタックのタイミングをずらすこともあります。
「鎮痛」がテーマです。なんかそういうことにその時感情が動いたから作りました。
レメディオス・バロの夢〜崩移旋律飾

このようにtopまたは内声・ボトムが旋律をなしている時、その周囲を同じタイミングで打音して旋律に表情や厚み、不可思議さを出す方法を「崩移旋律飾」と言います。一般には「細密改編」などという場合もあるかもしれませんが、ここではより自由に行うためセオリー通りに行う場合の名前の流用はしません。
このように旋律線を増やしたり、
二つの旋律線がタイミングを重ねて混沌さを出すなど、さまざまな使い方をしています。
シュルレアリズム絵画と夢の中での気分をそのまま音楽にしました。
私の夢の中とか、寝る寸前に聞こえてくるどうしようもない不安の音、フレーズ感、音楽的なクオリアをフレーズにしています。
じべたに咲く華
Electro Synesthesia
歌のないアルバム1〜花がふってくると思う
青い船に乗って
反復文脈化と崩移旋律飾による実験曲といえます。同一の旋律を繰り返し、そこに和音を当てはめ、出来上がる響きの不思議さ、ミュージックアポリアを楽しんでいるようです。崩移旋律飾自体もかなり和声崩散や旋律心象層などが組み合わされ拡大するなど駆使されています。
Marine Monday
RAIN SLEPT