音楽教室運営奮闘記

不定調性論からの展開紀行~音楽と教育と経営と健康と

スティービーのコード進行へのチャレンジが始まったアルバム;スティービーワンダーレポート9-2

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事例32Don't Know Why I Love You (CDタイム 0:11-)

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B♭ A♭ |G♭ |D♭ |E♭ |

G♭ D♭/F |G♭ A♭ |B♭  |B♭ F |

=degree= センターコード B♭

I  VII♭ |VI♭ |III♭ |IV♭ |

VI♭ III♭/V |VI♭ VII♭ |I♭  |I♭  V |

この曲もセンターコードをB♭と置いて、同主調を行き来するビートルズ的な進行と考えたほうが分かりやすい。

スティービーもクレジットがされています。

この曲は、この8小節が最後まで繰り返されます。スティービーの曲は、転調で盛り上がっていく曲と、1コードで盛り上がっていく曲、同曲のようにパターンを繰り返して盛り上がっていく曲想がバリエーションとして確立されていることになります。

 

   

事例33I'd Be a Fool Right Now (CDタイム 0:06- )

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Aメロ

A♭ A7(♭5) |E♭7 A♭7 |D♭m7  G♭7 |Fm7(♭5) |

Em7  Em7/C#  |BM7 A♭m7 |B♭m7(♭5) |E♭7 |×2

サビ

A♭M7 D♭7 |E♭M7  E♭7 |A♭M7 D♭7 |E♭M7  E♭7|

A♭M7 D♭7 |E♭M7  E♭7 |A♭M7 D♭7 |B♭m7  E♭7|

=degree=

Aメロ=センターコードA♭

Bメロ=センターコードA♭からkey=E♭の重心を感じる

変化記号の多いキーは、彼が盲目であるが故に指の感覚で鍵盤の位置を把握するためだ、とされています。

私は良く調べられていないのですが、初期のころからこうしたケアが作曲家陣によってなされていたのだろうか、と思ったりします。

これまでの作品群で一番コード進行がビ・バップ的なブロックチェンジ(ここでは二拍ずつの変化を基調にして雰囲気を構成していく流れ、という意味で)がハーモニックリズムを作っています。

一小節目のA7は回遊コードで、ふわりと浮いた不安定さを醸し出し、続くE♭-A♭はIVに行こうとする進行感を活用しています。

そしてA♭7はIVm感を持つD♭m7へ進行し変化を付け、そのままII-V形を用いるが、G♭7もBM7等には進行せず、半音下降のm7(♭5)からEm7へ流れ、BM7へサブドミナントマイナー終止感を起こし、そのままBM7をIII♭M7として、A♭マイナーキーのダイアトニックコードのII-Vを組みます。

 

サビはII-Vから来たトニック感を持つA♭M7がIVM7感を持つコードだということが、E♭への帰着感が明確になることにより判明します。

こうした「進行感を用いた和声の流れ」を持つ曲としてはもっともそのコンセプトが前面に押し出された最初のスティービーナンバーであると言えます。

この曲も共作ですが、スティービーの中にこうした進行感の連鎖だけで音楽が出来る、そして、それが実際にレコードになって、世界に認知されてゆく面白さを知っていったかもしれません。

 

事例34Ain't No Lovin' (CDタイム 0:09-)  

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Aメロ

GM7  |F#M7  |D♭M7 | E♭m7 A♭ |

GM7  |F#M7  |D♭M7 | E♭m7  |

Bメロ

A♭m7 |D♭m7 |G♭m7 Bm7 |Bm7/E  F# |

サビ

Bm7 Bm7/E |AM7  F#m7 |Bm7 Bm7/E |F#M7 F#7 |

Bm7 Bm7/E |AM7  F#m7 |Bm7 C#m7 D D#dim7  |E7    |

Cメロ

AM7 |DM7  E|AM7 |DM7  E|×2〜Aメロへ

=degree=

Aメロkey=D♭

IV#M7  |IVM7  |IM7 | IIm7 V |

IV#M7  |IVM7  |IM7 | IIm7  |

Bメロ センターコードA♭m

Im7 |IVm7 |VII♭m7 III♭m7 |III♭m7/V#  VII♭ |

サビ key=A

IIm7 IIm7/V |IM7  VIm7 |IIm7 IIm7/V |VIM7 VI7 |

IIm7 IIm7/V |IM7  VIm7 |IIm7 IIIm7 IV IV#dim7  |V7    |

Cメロ Key=A

IM7 |IVM7  V|IM7 |IVM7  V|×2〜Aメロへ

先の曲に続いて、アルバムの後半に配置された曲らしく、実験的です。これも共作者としてスティービーも名を連ねています。

 

AメロでいきなりIV#M7からIVに着地するという流れスタート。

またBメロも実験的である。手法としてはこれまで使われていたものに相当するので、ここでは解説を割愛する。

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