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音楽と教育と経営の雑記ブログ~不定調性論からの展開

三度を曖昧にできる理由;長調と短調が激しく混ざり合うブラックミュージックの根元について〜スティービー・ワンダーレポート3-2

2019.3.20⇨2020.1.22更新

スティービー・ワンダーの和声構造

~非視覚的クオリアを活用した作曲技法~

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事例3;Mary Ann (CDタイム 0:42-)

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G7 |G7 |G7 |G7 |
C7 |C7 |G7 |G7 |
D7 |C7 |G7 |G7 |


=degree= Key=Gブルース
I7 |I7 |I7 |I7 |
IV7 |IV7 |I7 |I7 |
V7 |IV7 |I7 |I7 |
レイ・チャールズの作品。

オーソドックスなブルース進行でV7がIに帰着しないタイプのブルースの特徴的進行例、またコーラスの最後からIに戻る際もVを挟まず、Iのままブレイクを作り戻る→ブレイクそのものが「ドミナント性」を体現している例です(ハーモナイズポイント=不定調性用語)。

これも機能に頼らない一つの方法です。

盲目のスティービーにとってもこうした"目に見えないけど明らかに区別でき、メンバー間と共有できる時間的な差異=時間による音楽の機能感"による楽曲展開は理解しやすかっただろうと感じます。

ブレイクは目が見えなくても、音楽の知識がなくてもハッとします。そこには変化、緊張のクオリアがあります。これがドミナントの代わりになるわけです。

 

CM7 Dm7  |Em7   A7 |Dm7   | ■  |CM7

というように、ブレイクにしても、このお休みの小節ではドミナントを感じるように教育されています。

 

(CDタイム1:24-)
曲に変化をつけるため、シャッフルビートになっています。

ブルース音楽のリズム変化は程よいエキサイティングを提供します。「リズムの転調」というのもあるでしょう。またリズムが変わればイメージも情感もすべて変わります。

不定調性論は和音の連鎖論なのでリスムは専門外です。というか逆にリズムは好きな学習法を取ってください、という意味であり、また逆にリズムもまたクオリア的な「イエメージで選ぶ」ということが和音練習から培われていくと思います。

 

リズム変化、5曲作るなら、一曲ぐらい入れても良いですよね。

また2:28-にみるようなブレイクもまた、まさに奇抜なドミナントコードが挟まれたのと同じ効果があるように思えます。

学ぶことありすぎブラックミュージック。

 

事例4;Sunset (CDタイム0:11-) 

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F5 E♭5 E5 |F5 E♭5 E5 |F5 E♭5 E5 |F5 E♭5 E5 |
F5 E♭5 E5 |F5 E♭5 E5 |F5 E♭5 E5 |F5 E♭5 E5 |
※ここまでのメロディ音にF7の7th音、3rd音などが音価を持っているため、F5はF7に該当すると解釈できます。
B♭m /A ♭ /A |B♭m /E♭ /E |F5 E♭5 E5 |F5 E♭5 E5 |C |B♭ |

 

=degree= key=F
I5 VII♭5 VII5 |I5 VII♭5 VII5 |I5 VII♭5 VII5 |I5 VII♭5 VII5 |
I5 VII♭5 VII5 |I5 VII♭5 VII5 |I5 VII♭5 VII5 |I5 VII♭5 VII5 |
IVm /III♭ /III |IVm /III♭ /III ||I5 VII♭5 VII5 |I5 VII♭5 VII5 |

この曲はスティービーもクレジットされています。

 

ブルース的進行の中でIVmが変化を与えています。


※F5ではM3rd音と、m3rd音がメロディに共存しています。

この辺りは不定調性論の第五章でも述べている通り、ブルースは四度音程を軸にしている、と考えられるので、五度領域部分の三度にあまり重きを置く必要がない、という特性の体現、となります(これは不定調性論の論法なので、歴史的な事実ではない)。

 

五音音階を基調に音楽を考えようとすると、どうしても五度ではなく四度を主体にしなければなりません。そうして三度の浮遊性と七音音階との差によって現われるブルーノートの存在が明らかになるわけです。

あなたは考えたことがありますか?

「ブルーノートって和音から外れてるのになんであんなにカッコよく響くんだろう。」

私はあります。不定調性論では「反応領域」という考え方で響くベクトルをコントロールできるので、一回「良い!」と思ったら次からはそれが反応するように感じることができる、という人の感覚をうまく活用できるようにしました。するとかっこいい、と思うアウトな音はブルーノートだけでないことが明らかになります。

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事例5;My Baby's Gone (CDタイム 0:17-)

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E♭ |A♭ |E♭ |A♭ |E♭ |A♭m |E♭ |B♭ | 〜


=degree= Key=E♭
I |IV |I |IV |I |IVm |I |V | 〜


Berry Gordy, Jr.の楽曲。

I-IVの交換から、変化をつけるためにIVmを使用、長調感と短調感が即座に入り交じっています。これは先の曲と同様に、三度の交換性が容易なため、長短調がほぼ同等に存在する価値観を持った民族性(アフリカ音楽では常識;参考

『アフリカ音楽の正体』から不定調性論第六章への展開)。

 

これもブルーノートの三度に対する広義な解釈の発展した姿と考えてみてはどうでしょう。


ここで考えて頂きたいのは、盲目のスティービーにとって、短調と長調の劇的な変化の雰囲気がいったいどのような存在であり、概念としてとらえられていったのだろうか、ということです。

よく光と陰りというが、彼は光が認知できません(どの程度光源がみえるのかは不明)。

そうなるとイメージや感情的な喜怒哀楽にこの二つの概念を落とし込むことになります。

この辺りの謎解きが本レポートの目的でもあります。

この段階ではまだよく分からない、という結論で先に進めたいと思います。

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==コーヒーブレイク〜M-Bankロビーの話題== 

スティービーのハーモニカ・・。かっこええ。。

HOHNER ホーナー スーパー 64 C調 7582/64

情報源はこちらです。

theharmonicacompany.com